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2026年11月06日 パッケージデザイン メールマガジン 商品開発 【第841回】10年前の予測は当たっているのか?売れるビール、売れないビール

さて11月です。今週は忙しくて、

  • 月曜日から宮崎 → 水曜日に鹿児島 → 木曜日に愛媛 → 土曜日に埼玉

という謎スケジュールです。まだ師走じゃないのに、もうワタクシ走りっぱなしですよ。

と書くと、自分をまるで「先生(師匠も走ると書いて師走)」のように位置づけているかのようですが、デザインとかブランディングに関しては、たいへん僭越ながらそう思っております。

ちょっと前に、お客さまとの会食で私の書いたコラムのある回のお話になりました。

そのコラムでは、デザインやブランディングの先生として、

  • カルビーのポテトチップスは白黒パッケージにして最初はいいがそのうち売れなくなる

と書かせていただきました。

そのお客さまは、その後のカルビーの動向をチェックされたそう。そして本当に業績を落としたのを知り、「津久井さん、すごいですね!」とおっしゃってくださいました。

いやいやいや、ありがとうございます。このくらいの予測でしたら〜、なんてそのときは謙遜しましたが、つい先日、カルビーが「白黒パッケージをやめる」というニュースを見て、思い出したことがあります。

「10年前くらいに、新発売の缶ビールが売れるか売れないかを予測したコラムを書いたな。あれ、結果どうなったんだろ?」

そこで今回、当時の記事を掘り返して答え合わせをしちゃおうの企画!当たっていても外れていても正直に言います!それではいってみましょう!!

 

前提として

まず前提として、私がなんで缶ビールの「売れる売れない」を予測できるかというお話を2つしたいと思います。

ひとつは、ビールに限らずですが、パッケージデザインの売れる売れないを測る指標を持っているからです。

それがこのコラムでも何度も登場する「メリコの法則」です(みなさんもう耳にタコができるほどお聞きになっているかもしれません)。

「メリコの法則」は、

  • メ:目立つこと
  • リ:理解できること(〜〜っぽい/〜〜らしい/わかりやすい)
  • コ:好感が持てること

の頭文字を取っています。「良いデザイン」のフレームワークというわけですね。

ちなみにこの法則を考えたのは私ではありません。私の師匠の伊吹卓先生です。

伊吹先生は、1932年生まれで残念ながら数年前(2022年くらい)に亡くなられました。著書は100冊にもおよび、松下幸之助や小林一三など、名経営者に直接話を聞き、執筆の材料にすることもしばしば。

そして何より、伊吹先生は、あの「アサヒスーパードライ」のパッケージデザインをコンサルティングされた先生でもありました。

そんな伊吹先生から(正確にはその一番弟子から)、とある修行を言い渡されたことがあります。それが、

  • 売れる色は何色か調べてこい

というものでした。調べ方など一切のヒントなし。どうしようと思い、考えついたのが、

  • いくつかの商品ジャンル
  • いくつかの場所

で、

  • 実際に売れているものベスト3
  • 実際に売れていないものベスト3

を買ってくる、というものでした。そして、その中のひとつが「缶ビール」でした。

これが、私が「缶ビールの売れる売れないを予測できる」であろう、2つ目の前提です。

とはいえ、最初に言い訳しておくと、今回の「10年前の答え合わせ」は外しているものもあります(汗)。そこはご愛嬌で。

ちなみに、当時の予測記事はこちらです。

【第274回】缶ビール新商品、売れるか売れないかを大予測します!

当時はまだ、今のように記事更新型ではなく、メルマガ配信型でした。こちらのページはそのときのバックナンバーです。画像などはリンク切れを起こしています。

今回、AIを使って当時のパッケージデザインを探してもらいました。

では、予測した商品ラインナップを見てみましょう。

  • 【エントリーNo.1:サントリー ラドラー】
  • 【エントリーNo.2:サッポロクラシック(2015年春の商品)】
  • 【エントリーNo.3:アサヒスーパードライ エクストラシャープ】
  • 【エントリーNo.4:ヱビス ロイヤルセレクション】
  • 【エントリーNo.5:キリン 一番搾り 小麦のうまみ】
  • 【エントリーNo.6:アサヒ クラフトマンシップ】
  • 【エントリーNo.7:サッポロ 百人のキセキ 魅惑の黄金エール】
  • 【エントリーNo.8:サッポロ生ビール黒ラベル The北海道】
  • 【エントリーNo.9:サントリー クラフトセレクト】
  • 【エントリーNo.10:キリン “地元うまれ”の一番搾り】

では、結果発表にいきましょう!

  • ※今回の「売れた売れない」の判定はAIに調査させたものとなります。そのため、正確性の面で一部事実と異なる場合があることをご了承ください。
  • ※画像については、AIに調べさせ、出典を明記して掲載していますが、当時の画像と同じものかどうかが疑わしいものもあることをご了承ください。

 

【エントリーNo.1:サントリー ラドラー】

画像はマイナビウーマンより

当時のワタクシの予想は「中ヒット」でした。

理由は、当時のビール市場が「バリエーションの時代」に入ったと推測したこと。その結果、ラドラーのようなフレーバービールはバリエーションとして悪くないとしたことがひとつ。

もうひとつは、ビールのパッケージに緑色を使うのは悪くない(ビールでは売れる色と考えられる)という点でした。ハイネケンとか青島ビールとかハートランドとか、緑色の瓶のビールは意外と多いです。

では結果はどうだったのか。

「ハズレ」です!いきなり外しました!!!

予測のコラムを書いたのが、2015年6月でしたが、AIの調査によるとその年の10月には終売になっていた模様。

メーカーの公式な販売データは見つけられませんでしたが、半年前後で終売となっているのであれば、売れなかったと言っても過言ではないと考えます。

でも、今さら言うと超言い訳っぽいけど、このデザイン売れない気がする。だって甘い飲み物っぽいもん。メリコの「リ」が満たせていません。

伊吹先生に出された修行の調査のときは、「ビールで甘い飲み物に見えるパッケージはダメ」という結論を出していました。

それが、まだ「プレミアムモルツ」を出す前の「サントリーモルツ」。

ビールを連想させるデザインや文字を外すと、「カフェオレ」のようなパッケージになってしまっていました。その結果、まあまあの長寿ブランドだったモルツは苦戦。

って、自分で分析した結果を出していたのに、なんでこのときはそれを考えなかったんだろ(汗)。

たぶん、ドイツの国旗をパッケージから消したらさらに甘い飲み物に見えると思います。

 

【エントリーNo.2:サッポロクラシック(2015年春の商品)】

これ、当時は売れないと予測していました。

でも、サッポロクラシックってけっこう売れてますよね?ていうか、自分でも買ったことあるし。おいしいと評判だった気がする。

AIの判定によると、「売れたか売れてないか判定不能」とのことでした。でも、サッポロのサイトを見ると、サッポロクラシックのページがあって、先ほど「買ったことがある」と言ったとおり今も売れているわけですよ。

で、当時の写真が見つからないのですが、サッポロクラシックのサイトの内容から察するに、これが当時のデザインのようです。

画像はサッポロのサイトより

今もあまり変わっていない。マイナーチェンジしかしてない。。。そう考えると。。。

これも完全に外したと言って差し支えないと思います(汗)。ヤバい!先生としての威厳が!!

なお、当時の私が書いた予測がこちら。

売れません。

パッケージに青を使ったビールで売れているのはサントリーの金麦(青と金)とプレミアムモルツ(金と青)だけです。特に青の色は重め(濃いめ)のものを使っています。

このパッケージは白場が多く、青が軽い色に見えてしまいます。軽い青を使ったパッケージのビールは売れません。

 

【エントリーNo.3:アサヒスーパードライ エクストラシャープ】

こちらはAIが写真を探してくれました。当時のパッケージはどうやら以下の画像のようなものだったようです。

画像は麦酒男さんの生ビールブログより

こちらの画像をお借りした麦酒男さん、かなりさまざまなビールを呑まれていますね。ビールとパッケージデザインについてインタビューしたい。

それはいいとして、こちらのビール、私の当時の予想は、「売れない」でした。

売れません。上記(※サッポロクラシック)と同じ理由です。

スーパードライのブランドを冠しているので初動は悪くないかもしれません。しかし時間の問題かと思います。

ブランディングの第一人者であるアル・ライズは売れているブランドの安易なヨコ展開はやってはいけない、と言っています。海外のビールメーカーでこれで業績不振に陥ったブランドがいくつかあります。

アサヒビールはチューハイのパッケージが下手くそだと個人的に思っているので、スーパードライ、クリアアサヒについでのヒット商品がそろそろほしいところ。

その焦りを安易なヨコ展開からなんとなく感じます。深読みし過ぎかもですが。

では予測は当たったのか?AIによると、「半分当たり」ということのようです。どういうこと??

目標250万箱に対し、第1弾+第2弾合計で約170万箱。ただし「好評」として2016年に再発売。

アサヒビールの公式見解が上記のようなものだったそうで、AIには完全に売れなかったと判断できなかったようです。

でも目標届いてないんだから、売れなかったって言っていいんじゃない?いいよね??

ということで、首の皮一枚つながった感じ(笑)。

 

【エントリーNo.4:ヱビス ロイヤルセレクション】

画像はお酒大好きさんのブログより

濃いめのブルーのパッケージデザインで、あの定番の金色缶のイロチ(色違い)というイメージ。

こちらは、当時は「あまり売れない」と予測していました。

うーん、難しいな。

でもあまり売れないと思います。ブランドヨコ展開の一種ですし。

個人的には少し呑んでみたいです。

しかし、私はちょっとひねくれたタイプで定番があまり好きではないです。日本人は定番が大好きです。

ヱビスビールは実は缶ビール市場ではそれほどシェアは大きくない上に、ゴールドのパッケージのものが定番化しています。

ヱビスビールがヨコ展開するたびに全部試してみるコアなファンはいますが、ビール市場全体から見たらインパクトが出る(売れてる!と感じる)とは考えづらいです(※前述の「アル・ライズ」の話がこれも当てはまると考えた)。

で、結果はどうだったのか。クロちゃんが言うには、まあ、両方の見方があるよね、とのこと。

●「それなりに売れた」と見る根拠
2014年に計画を上回ったため、2015年は販路を全国のスーパーへ広げ、お中元ギフトにも入れるなど、売り方を大きくしています。メーカーが期待をかけていたことは確かです。

●「伸び悩んだ」と見る根拠
販路を広げたのに、2015年を最後に発売が止まっています。2014年のコンビニ版のように「計画比○割増」といった好調の発表も、2015年版については見当たりません。
これは第274回で書かれた見立てと一致します。ヱビスの横展開は、全部試すコアなファンには売れても、市場全体で「売れている」と感じさせるほどにはならない、という見立てです。

どちらの見方も間接的な証拠しかなく、決め手はありません。強いて言えば「伸び悩んだ」寄りですが、確信度は低です。

両論併記っぽい見解ですが、最後に【強いて言えば「伸び悩んだ」寄り】と言ってくれるところにクロちゃんの優しさを感じます(笑)。予測が当たったかどうかは「引き分け」ということでいいですかね(なんじゃそりゃ)。

 

【エントリーNo.5:キリン 一番搾り 小麦のうまみ】

画像はキリンビールのサイトより

これは絶対的な自信を持って「売れない!」と予測していました。

正確には、「売れない(女性に少し売れる程度)」という予測。もう、パッケージを見た時点で分かっちゃうもんね。

そのときの自信満々の予測がこちら。

売れません。結構断言できるレベル。

パッケージが全然イケてません。

前回の調査の時に発明したパッケージ診断方法があります。

  • ダイレクトイメージブラインド法

と名づけたのですが、簡単にいえば、ビールであればビールだとわかるものをパッケージから排除した時に何に見えるか、を調べる方法です。

この場合、

  • キリンビールのロゴ
  • 一番搾りのロゴ
  • お酒のマーク

などを隠した時にビールをイメージできないデザインになっています。

女性にちょろっと売れるくらいでしょうか。

で、結果はどうだったのか。

クロちゃんが言うには、私の予測は「外れ寄り」なんだそう。あれ。。。

  • 2015年3月より期間限定で発売、販売予定数は約70万ケース
  • 同年5月に製造を終了したが、2016年3月15日にリニューアルの上、再発売された
  • 2015年版は特に若年層や女性を中心に好評で、アルコール度数を下げてリニューアル
  • 販売予定数は約47万ケース(6,000KL)で、2015年の約70万ケースから約3割減
  • アルコール分は5%から4.5%へ下げられ、パッケージもわずかに手直し
  • 2017年以降に再発売された記録なし
  • その後の一番搾りの限定品は、2018年の「超芳醇」など別の商品に移行

    とのことで、え?これで「外れ寄り」って急に手厳しくない?クロちゃんいわく、

    • 製造は約2か月で終わっていますが、数量限定品だったため、予定どおり作りきって売り切った可能性があります。
    • 翌年に再発売されている以上、少なくともメーカーが「失敗だった」とは判断していません。

    ということだけど、「もうちょっと詳しく調べて」とお願いしたら「そのため判定は、前回の『外れ寄り』から『半分当たり』に近いと見ることもできます」と一応フォローしてくれました。

    なので引き分け!(笑)

     

    【エントリーNo.6:アサヒ クラフトマンシップ】

    売れません。上記と同じ理由です。

    本質的なイメージは甘い飲み物です。

    せっかくのポーター、エール商品で、時代的にはマッチしそうですがそれ以上にパッケージが悪いです。

    と、けっこうバッサリと予測していましたが、結果は。。。

    こちらとこちらの記事の画像をチャッピーで加工

    ポーターとペールエール、同時発売だったようです。で、「パッケージが悪い」と書いたとおり、

    ・パッケージがごちゃごちゃしている
    ・ペールエールはまだいいとして、ポーターはビールでは売れない色(甘い飲み物)

    という予測(だったと思うの)ですが、クロちゃんの判定では「どちらとも言えない」という、AIすら回答に困るナゾ現象が起きました。クロちゃんが言うには、

    ●「売れた」と見る根拠
    第1弾のドライポーターは、メーカーが用意した分を約2か月で売り切っています。
    年4回という予定どおり、第4弾まで発売され、さらにクリスマス版も追加されています。

    ●「定着しなかった」と見る根拠
    販売目標が第2弾の10万ケースから、第3弾では5万ケースへ半減しています。売れ行きが好調な商品なら、目標は増やすのが普通です。
    2015年の1年間で終わり、通年販売される商品は1つも出ていません。
    クリスマス版では麦芽100%をやめて米などを加え、売り場も全国に広げています。「こだわりのクラフト」という当初の方向から、一般向けに寄せたように見えます。
    規模の比較として、同じ年のエクストラシャープの目標は250万箱でした。クラフトマンシップは最初から、ごく少量を売り切る前提の商品でした。

    ●第274回の予想との照らし合わせ
    第274回では、ペールエールについて「時代的にはマッチしそうだが、パッケージが悪い」として「売れない」と予想していました。
    予想対象のペールエールが完売したかどうかは、確認できていません。完売が確認できたのは第1弾のポーターだけです。
    予想の「売れない」は、「限定数量は売れたが、ブランドとしては1年で消えた」という結果と照らすと、外れとも当たりとも言い切れません。判定は「どちらとも言えない」とするのが正確です。

    え?これ、私の勝利ということで良くない?ダメ?一応引き分けにしておきますか。。。

     

    【エントリーNo.7:サッポロ 百人のキセキ 魅惑の黄金エール】

    これまたバッサリいってます。

    売れません。

    これもビールのイメージから遠く、メリコの法則の「リ」、「理解できる、〜らしさ」がないからです。

    実物はこんな感じ。

    画像はPR TIMESでのプレスリリースより

    では、クロちゃんの判定はどうだったのか?判定結果は「わからん!」だそうです(笑)。

    ●発売までの流れ

    • 2013年3月:百人ビール・ラボの第1弾「百人のキセキ」をネット限定で発売しました。担当者は1か月ほどで売り切れればと見込んでいましたが、実際は約1週間で完売しました。
    • 2013年12月:魅惑の黄金エールの原型を、サッポロのネットショップで数量限定で発売しました。味や名前などは、約1万件の投票で決められています。
    • 2014年8月:第1弾を缶にした「至福のブラウンエール」を、全国のコンビニで販売しました。数量は10万ケースでした。
    • 2015年5月19日:魅惑の黄金エールを、全国の主要なコンビニで発売しました。販売計画は10万ケースで、前年のブラウンエールと同じ規模です。
    • 2016年:ラボの次の商品「カンパイエール」をコンビニで発売しました。
    • 2016年末:ラボの活動は休止しました。休止の理由として、社内で何のために続けるのかという議論になったことが紹介されています(法政大学・西川英彦教授のコラム、2017年)。

    まあ、売れりゃ出荷数が増えるし定番化もするだろうからね。売れなかったってことで良くないですか?(爆)

    でもこのあたりのちょっと実験的っぽい商品は難しいですよね。前述しましたが、日本人は定番が大好きですから。

    いかにも「実験でーす!」「オリジナリティめっちゃ出していきまーす!」という商品は、そもそも売れづらいのかも。

    しかも、そんなスタンスだから、パッケージまで実験的というか、定番とは違う方向性にいきがちなんでしょう。

     

    【エントリーNo.8:サッポロ生ビール黒ラベル The北海道】

    売れません。

    この色の缶ビールは売れません。プレミアムモルツが出る前のサントリーモルツがこれで失敗しました。

    これもバッサリいってるんですけどね。ちょっと写真が見つからなくて。。。

    で、判定としてはですね、クロちゃんには「ハズレ!」と言われました。つまり、クロちゃん的には「売れた」と。

    • 2013年から5年連続で発売されていたこと

    これが売れたという決定的な理由のようです。たしかに。しかし、さらに重要な情報をクロちゃんが持ってきてくれました。それが、

    • 翌2016年に、缶の色が「品質感を出すため」金色に変えられたこと

    そのときのパッケージがどうやらこれらしい。

    これなら売れるわ。ちょっと黄緑が気になるけど。あと写真は金色というよりクリーム色っぽく見えるけど(クリーム色なら売れないと思われる)。

    私が売れないとした理由は、「プレミアムモルツが出る前のサントリーモルツがこれで失敗しました」とあるとおり、甘い飲み物感が満載のデザインだったことが一番の理由だと思います。

    というわけで、こちらも「引き分け」でいいじゃまいか(いいじゃないか)。

     

    【エントリーNo.9:サントリー クラフトセレクト】

    画像はマイナビウーマンより

    こちらは「売れる」と予想していました。その結果、クロちゃんの判定では「当たり!」とのこと。やっと明確に「当たった」と言ってもらえた(笑)。

    しかし、当時の私はけっこう悩んだ模様。

    ちょっと悩みますね。定石からいくと売れる色使いではないです。

    しかし、小ヒットくらいしそうな気がします。

    バリエーションの時代にエールが合っていることと、色使いはダメでもパッケージトータルで見ると思いの外「らしさ」を殺しきっていないところでしょうか。

    これに対し、クロちゃんの見解。

    結論:第274回の「小ヒット」という予想は、当たりと判断します。(確信度:中〜高)数量限定で始まったシリーズでしたが、翌年にペールエールが通年商品になり、2017年からは「TOKYO CRAFT(東京クラフト)」と名前を変えて、今も続く定番ブランドになりました。ただし、販売数量はどの段階でも公表されていません。

    通年商品になったら、もう当たりって言っていいんじゃないでしょうか?しかも、この商品はグッドデザイン賞を受賞したらしい。

    ただ、気になる点があります。販売数量が公表されていないのと、2017年に通年商品になるときにパッケージデザインも変更されていること。。。それがこちら。


    画像は酒楽さんのブログより

    え?変更される前のほうがよくない??ちょっと解像度低くてボケているせいなのかもしれませんが。

    青の色がだいぶ眠く甘い色になってしまった。元のパッケージに入っていた濃い青からのグラデーションがなくなってしまったことで、軽い色使いになってしまいました。

    この後、この商品はなんでもデザイン変更をしているらしいです。ということは、味は良くてもパッケージがよくない可能性があるな。パッケージ迷子になっているな。

     

    【エントリーNo.10:キリン “地元うまれ”の一番搾り】

    最後、こちらの商品については、以下のような予測をしていました。

    これもわかんないんだよな〜。

    でもまあ小〜中ヒットと予測します。

    まず、各地のビールを試せるという仕掛けは確かにある程度の反応がとれると考えます。

    パッケージのメインカラーも微妙なのですが、ギリギリ「らしさ」を殺していないかな。

    少し専門的な話をしますと、アルミ缶のような銀色の素材のものにそのまま印刷を施すと、メタリックな色になります。

    たとえば、銀色のアルミ缶に
    赤をそのまま刷るとメタリックな赤に、
    青をそのまま刷るとメタリックな青に、
    緑をそのまま刷るとメタリックな緑に、
    といった具合です。

    メタリックにしたくない時は一度白いインクを印刷してからその上に色のついたインクを刷ります。

    ポテトチップスのパッケージなどは銀色のアルミ素材のフィルムを使いますが、白を印刷してからカラーのインクを刷るのでメタリックになっていません。

    で、ビールの場合はメタリックのほうが良いです。

    この「キリン “地元うまれ”の一番搾り」は使うべきじゃない色をメインに使っていますが、メタリックにしている(と写真からは見て取れる)点、各地のビールが楽しめる点などから小〜中ヒットと予測しました。

    前述の「サッポロ生ビール黒ラベル The北海道」を売れないと予測したのもこういった理由(メタリックになっていない)からです。

    実際にクロちゃんの判定はどうだったか。「当たり(規模は過小評価)」ということです。どゆこと?

    結論:第274回の「小〜中ヒット」という予想は、売れるという方向は当たりましたが、規模は大きく見誤っていました。2015年は約90万ケースを売り、キリンの社長が「予想の3倍」と振り返るヒットになりました。翌年には47都道府県版に広がって約270万ケースを販売し、日本マーケティング大賞も受けています。今回の10商品の中で、いちばん売れた商品です。(確信度:高)

    それはもはやハズレなんじゃ。。。以下のようにフォローはしてくれてますけども。。。

    「各地のビールを試せるという仕掛けは、ある程度の反応がとれる」という見立てどおりの結果でした。売り方の仕掛けが効く、という読みは正しかったと言えます。

    外れた点としては規模の見積もりです。「パッケージのメインカラーが微妙」という減点を重く見て小〜中ヒットにとどめましたが、実際にはパッケージよりも「地元の一番搾り」という仕掛けの力のほうがはるかに大きく効きました。

    デザイン(色)の弱点があっても、仕掛け(売り方・物語)が強ければ売れることがある、という例になります。第274回の「メリコの法則」や色の分析だけでは測れない要素があった、とまとめられます。

    というわけで、予測って本当に難しいですね(笑)。超絶言い訳がましいですけれど、写真じゃなくて売り場を見たほうがもっと正確な予測ができると思います。

    なぜなら、実際にショーケースや棚に並んだときの見え方、競合商品との関係(どちらがメリコ性があるか)などは、単品の写真を見ただけではわからないからです。

    答えは現場に眠っていることが多いですからね。

     

    今回はここまでです!

    津久井

    投稿者プロフィール

    津久井 将信
    津久井 将信
    ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。

    かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。

    2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。

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