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2026年06月19日 デザイン メールマガジン 人間の能力 心理学 法則・ノウハウ 【第822回】AIよりゴリラのほうが頭がいいかもしれないという話

ワールドカップ、見てますか?

さすがになかなか起きれない時間帯が多いので、日本代表の試合以外はyoutubeのダイジェストで見ています。便利な時代になったもんだ。

そして我らが日本代表は、強豪オランダと2−2の引き分け!初戦で、かつ相手がオランダということを考えると上出来だと思います。

もう、フィジカルが違いますからね。オランダ代表はみんなデカいしゴツい。そんな中、組織でよく戦った!日本はもう強豪国と言っていいはず。

ちなみに、次は日曜日のチュニジア戦です。しかも、13時からなので早起きしなくても見られる!ビール片手に見ようと思います。

同じグループFのスウェーデンとチュニジアは、なんと5−1でスウェーデンが勝利しました。

チュニジアはアフリカ予選無敗、堅牢な守備でワールドカップ出場を決めたそうですが、そのチュニジア相手に5点取るとは。。。強え。

次のチュニジア戦は確実に勝利を収めておきたい。しかしチュニジアもあとがありませんから、「ここが勝ちどころだ!確実に勝点を取るぞ!」という意気込みで来ると思います。

つまり、チュニジアから見てグループFの中で日本が一番勝てる相手だと思われている気がする。

そして、日本の、または日本人の悪いクセなのですが、「相手にレベルを合わせてしまう」ということがあると思います。

強い相手にはかなりの善戦をし、場合によっては勝つのに、自分たちよりも弱いとされるような国にポロッと負ける。前回のワールドカップもそうでした。

私がコーチをしていた少年サッカーチームもそうでしたし、サッカーに限らず、これは日本人のナゾの国民性のきがしています。

なので、個人的には次の試合が一番大事だと考えています。

ちなみに、グループFの各国のFIFAランキングを見ておきましょう。

オランダ 8位
日本 18位
チュニジア 41位
スウェーデン 43位

おっと、マジか。。。スウェーデンよりチュニジアのほうが上だったのか。個人的にはスウェーデンは古豪で安定した強さがあるイメージだったけど。ますます油断ならぬ感じ。

さて、本題にそろそろ入りましょうか(笑)

先週は、ワールドカップ出場国のサッカーチームのロゴを48カ国分見ながら、ロゴについてのいろいろな考察をしました。

しかしながら、そういえばワールドカップ2026そのもののロゴについては解説していなかったなと思い。。。

今週はそのお話を絡めながら、ちょっとアカデミックでマニアックなお話をします。

ロゴの話かと思いきや、人間の能力に関するお話で、デザイン的なことから、仕事ができる人、できない人といったことにまで関係するお話です。

好きな人には好きな話だと思うんですよね。脳の機能的なお話ですので。

さて、「ゲシュタルト能力」って聞いたことありますか?

 

なぜそれが「りんご」だと分かるのですか?

こちらが、FIFAワールドカップ2026のロゴです(FIFAサイトより引用)。

どうでしょう?こんなアレンジバージョンもあるっぽい。

このアレンジ、わたし好きです。

ちなみに過去のワールドカップのイントロ集みたいなのがyoutubeにありました。ロゴも見れます(カタール大会だけイントロが見えないけど)。


歴代FIFAワールドカップのイントロ集
(1966年イングランド大会〜2026年北米大会)

で、2026大会のロゴ、実は海外ではやや炎上気味らしいです。

クオリティが低いとか、ビミョいみたいな批判的な意見が多かったみたい。「ただ26の上にトロフィーを乗せただけじゃねーか」みたいな。

でも、個人的には私はこの批判のセリフからもこのロゴデザインのすばらしさみたいなものを感じてしまいます。

だって、よく見てください。

なんでこれが「2」と「6」だと理解できるのでしょう?理由を説明できますか?

変な質問しやがってと思われてしまうかもですが、でも、ちゃんと見たらこれって「2」と「6」じゃないですよね。小学生のときに書き方を教わった数字の「2」と「6」と違いますよね?

なんで「2」と「6」ってわかるんですかね?

「知らんがな!2と6以外にないやろ!」というしょーもないツッコミしかできないと思います。

じゃあこの画像は?

「2」と「6」以外のものに見えると思うんです。何かの生き物のような。何の生き物かわからないのに「生き物っぽく」見えるのはなぜでしょうね?

以前、電車の中でこんな広告を見ました。

この広告も同じです。「ぱれたん動物園」のロゴタイプ(文字ロゴ)を見てみてください。

「動物園」の「動」の文字には動物の足あとらしきものが入っています。また、「園」の文字には動物の口元のようなものが入っています。犬や猫、ライオンの口元でしょうか。「動物らしさ」を感じるかわいらしいロゴデザインになっています。

でも、なんで「動」という文字を正確に書かず動物の足あとを入れているのに「動」の文字だとわかるのでしょうか?

「園」の文字も動物の口元が入っていて、「園」という字を正しく表していないのになぜ「園」と読めるのでしょうか?

我々が書き方を教わった「動」と「園」ではないのに、なんで「動物園」と読めるんですかね?

もっといえば、なぜ「動」の文字に入っているのが動物の足あとだとわかるのでしょうか?なぜ「園」の文字に入っているのは犬や猫やライオンの口元だとわかるのでしょうか?

さらにさらに、こちらをご覧ください。

この写真は何かわかりますか?はい、りんごです。ではこちらは?

このロゴは何をモチーフにしているか?はい、りんごです。バカにするな、という話ですね(笑)

ではこれも、なぜAppleのロゴを見て「りんごだ」とわかるのでしょうか?

これって、よーーーーーく考えると不思議じゃないですか?

おそらく、りんごを食べる動物(ゴリラとか?)にこれを見せてもりんごだとは認識できません。なのに、なんで人間は「りんごだ」とわかるのでしょうか?

「いやいや、当たり前だろ」と思うかもしれませんが「なぜか?」と言われるときちんと説明できないのではないでしょうか?

これはよくよく考えたら当たり前のようでスゴい能力なんです。

これを「ゲシュタルト能力」といいます。

 

「それはゲシュタルト能力のしわざです」

さて、ここから急にアカデミックになります。気絶しないようにご注意ください。

ゲシュタルトっていうのはゲシュタルト心理学というのがありましてね。

ゲシュタルト心理学(ゲシュタルトしんりがく、Gestalt Psychologie)とは、心理学の一学派。人間の精神を、部分や要素の集合ではなく、全体性や構造に重点を置いて捉える。この全体性を持ったまとまりのある構造をドイツ語でゲシュタルト(Gestalt :形態)と呼ぶ。ー出典:Wikipediaー

ちょっと何言ってるかわからないですね(笑)

まあ簡単にいえばですね、2つ以上のものを見てそれが仲間だとか、どっちが上位概念か(後述します)とかそういうことがわかったりすることだったり、先ほどのりんごの画像のように、見たものが過去に見たことがあるものと仲間だと解釈できたりすることをゲシュタルト能力といいます。

たとえば、小さいお子さんがいるとわかると思いますが、子どもははじめは何でも口に入れてしまいます。食べ物でなくても、です。

これがゲシュタルト能力が身についてくると、見ただけで(口に入れて確かめなくても)それが食べ物だ、または食べ物ではないと認識できるようになります。

他にもみなさん、当たり前のように感じるかもですが、次の2枚の画像をご覧ください。

2枚の画像を見て、どちらの写真も顔が違うのに「犬だ」ということがわかるのもゲシュタルト能力のたまものです。

不思議ですよね。四足歩行の生き物は犬以外にもいますし、同じ犬でも犬種によって顔つきが違うのに、なぜ同じ動物だとわかるのでしょう?

つづいて、こちらはどうでしょう?

この画像を見て「仔犬=犬の子どもだ」とわかるのもゲシュタルト能力があるからです。これを成犬だと解釈してもおかしくないはずなのに、「子どもだ」とわかる。なんで?

さらに言えば、この画像を見てください。

これが鍋ではなく「猫だ」とわかるのも、そして犬を含めて「哺乳類だ」とわかるのもゲシュタルト能力の成せる技なのです。

さらにさらに、この画像を見てください。

「これは猫ではなく人間の女性だ」とわかってしまうのも、なんとゲシュタルト能力のしわざなわけです(画像探すのちょっと恥ずかしかった)。

というわけで、ワールドカップ2026のロゴが「2」と「6」だとわかるのも、「ぱれたん動物園」のロゴタイプが「動物園」と読めてしまう理由も、このゲシュタルト能力のしわざ、ということなんですね。

私たちの「デザイン」という仕事はこのゲシュタルト能力を利用している、と言い換えてもいいわけなんです。

批判が多かったというワールドカップのロゴも、「ただの2と6にトロフィーを乗せただけじゃねーか!」という批判があるという時点で、あの造形を「2」と「6」だと読ませられている、見る人のゲシュタルト能力を利用できているという、何よりの証左となるのです。

さらにもっともっと身近なところにも、人間のゲシュタルト能力を活かしたデザインがあります。

たとえばこちら。

高速道路標識、「不思議な文字」の悲しい運命(東洋経済オンライン)より引用

「宇都宮」の「都」とか、「川越」の「越」とか、「豊田」の「豊」とか、よく見ると正しい字ではありません。特筆すべきは「三鷹」の「鷹」。よく見るとぜんぜん違う。

これは、速いスピードで走っている車のドライバーにとって、正しい漢字では認識が難しいため、ゲシュタルト的に「理解できる」ところまで省略した文字になっているというわけです。

ちなみに、このコラムで何度も登場する「メリコの法則」の「リ」=「理解できること」は、言葉や図を使ってわかりやすく理解させているか、ということもあるのですが、ゲシュタルト的に正しく解釈できるか、という意味も含んでいます。

これは「〜〜っぽい(かどうか)」と言い換えられます。

たとえば超極端な例ですが、缶のブラックコーヒーをオレンジジュースっぽいパッケージデザインにすると、誰もがオレンジジュースだと勘違いし、ブラックコーヒーだとわかったあとでも購入にブレーキがかかります。

ブラックコーヒーには「ブラックコーヒーっぽい」パッケージを使用しないと、ゲシュタルト能力的に脳がそれを理解しようとしてくれないわけですね。

こういう商品は、好奇心で買う人は一定数いますが、売れつづけるのは難しです。だからメリコの「リ」が大切なんです。

 

ゲシュタルトと仕事の能力

ゲシュタルト能力が高い人は「一般的に」仕事ができる人です。

ゲシュタルト能力が高い人は、物事の上位概念、下位概念がわかります。たとえば、

  • 我が家の「ミケ」は三毛猫であり、
  • 三毛猫は猫であり、
  • 猫は哺乳類であり、
  • 哺乳類は動物であり、
  • 動物は生物である

ということがわかるということです。

これは簡単な例で誰もが当たり前と感じるかもしれません。むかし理科の授業で習ったよ、と。

しかし、これ(上位概念、下位概念)が仕事になるとわからなくなってしまう人が多い。仕事でもこれができる人は、仕事に優先順位を付けられる人で効率的に仕事を進められたりします。

優先順位がつけられる人は当たり前ですが、仕事ができる人ですね。

また、「パターン認識」にもゲシュタルトは関係していると考えます(優先順位も一種のパターン認識ですが)。

たとえば、その仕事が過去に手がけたものの応用で行けるかどうかとか、過去の仕事のどれに似ているか、というのはまさにゲシュタルト能力です。

なので、総じてゲシュタルト能力が低い人は仕事ができないことが多いと思われます。職人さんなどの技術職で、ひとつの技術に集中できる人はさほど問題ないかもしれませんが、マルチタスクをこなさなければならない職種の人には必須です。

しかし、ゲシュタルトには注意も必要です。安易にゲシュタルトに頼ってしまうと問題が生まれます。

たとえば、「隠れた前提」を疑わなくなってしまうことがあります。「隠れた前提」とは、以下の例文ようなものです。

「新入社員のあの若い女の子には、若い柔軟な発想を活かしてあの企画をやってもらう」

私が以前通っていたグロービス・マネジメント・スクールの「クリティカル・シンキング」という科目で真っ先に習ったこと、それは「隠れた前提を疑え」ということです。

この例文の隠れた前提はどこにあるかというと、「若い女の子」=「若い柔軟な発想」です。若いからといって柔軟な発想の持ち主とは限りません。これが「隠れた前提」というやつです。

これ、つまり「若い女の子」=「若い柔軟な発想」が安易にゲシュタルトに頼ってしまうということです。

我々の業界では、「デザイナー=クリエイティブな人」という「隠れた前提」があります。実際はデザイナーだからといってクリエイティブな、誰も思いつかないような発想ができる人とは限りません。絵が好きで、絵を描くことが得意だったからデザイナーになった、という人もいるわけです。

ここを「デザイナー=クリエイティブな人」と決めつけてしまうといろいろなところで不具合が出ます。

こういった「隠れた前提」は、実はいろいろなところにはびこっています。その代表格が「レッテル貼り」です。

たとえば「ブラック企業」という言葉。これもゲシュタルト的に解釈するなら、「経営者になるヤツラなんて、だいたいブラックなヤツラだ」みたいな隠れた前提が多くの人にあるのでしょう。

つまり、多くの経営者は法律でしっかり縛らないとすぐにブラックな会社をつくると考えられているわけです。

しかし実際はそんなことはありません。

あえてわかりやすい言葉を使いますが、人間には「ちゃんとした人」と「人間性に問題がある人」がいるわけで、後者のような人が経営者になればブラック企業をつくりますが、会社員になれば「モンスター社員」になる、というだけのことなわけです。これはゲシュタルト的なカテゴライズで本質を見失うパターン。

ゲシュタルト能力は便利です。過去の経験から、さまざまなことを効率的に進めたり時間を圧縮することができます。

なので、仕事ができる人はこの能力が高いといって差し支えありません。「見て、匂いを嗅いで、食べてみないとそれがりんごだと分からない」という人がいるとしたら、明らかにその人は仕事ができませんよね。

しかし、見てきたようにゲシュタルトにのみ頼りすぎると、本質的な何かを見落とすこともあり得ます。ゲシュタルトは「隠れた前提を生みやすい」とも言えるからです。ここが難しいところです。

基本的にはさまざまなことを「切り分けて考える」「分解して考える」という姿勢が大切になります。「分ければ解る」と書いて「分解」です。

ゲシュタルト能力を活かしつつも、ゲシュタルト能力に溺れない必要があるわけですね。

 

デザインやレイアウトにおけるゲシュタルトの実例

デザインやレイアウトに関するゲシュタルトのお話を少しします。

ここからはちょっとマニアックで限定的な話になりますので、必要ない場合は読み飛ばしていただいて構いません。

以下の3つは「プレグナンツの法則」というやつで(覚えなくていいですけども)、人間がゲシュタルトを知覚するときの法則です(※すべてWikipediaから引用)。

【近接の要因】
近接しているもの同士はひとまとまりに感じます。たとえば以下の図では、近接している2つの縦線がグループとして知覚されます。

||    ||    ||

離れた縦線同士はグループにはなりにくいです。

【類同の要因】
いくつかの刺激がある時、同じ種類のもの同士がひとまとまりになりやすいです。たとえば以下の図では、黒い四角と白い四角のグループが交互に2つずつ並んでいるように知覚されなます。黒白と白黒のグループが交互に並んでいるようには知覚されにくいです。

□■■□□■■□□■■□□■■□□■

【閉合の要因】
互いに閉じあっているもの同士(閉じた領域)はひとまとまりになりやすいです。たとえば以下の図では、閉じたカッコ同士がグループをだと認識されます。「 〕」と「〔 」同士では、グループとして認識されにくいです。

  〕〔 〕〔 〕〔 〕〔

ちょっと、マニアックな話しすぎましたかね。。。でも、こういったことを理解してチラシやプレゼン資料のレイアウトを組むと、伝わりやすさが圧倒的に変わってきます。

さらに、ゲシュタルトの話をするときによくでてくるのが、次の2つ。

  • カニッツァの三角形
  • ルビンの壺

こういうの見たことないですか?

不思議なもんで、真ん中に白い逆三角形が見えてますね。

これは、「実際には描かれていない形を、脳が勝手に補って見ている」という状態です。逆三角形を示す線は描かれていないのに。また、逆三角形に色がついているわけでもないのに。つまり逆三角形の存在は確定していないのに。

ルビンの壺は有名なこれです。見たことありますよね?

こちらは、「白」を見るか「黒」を見るか次第で見えるものが変わるということを表しています。白なら壺だし、黒なら横顔ですね。

これらも人間のゲシュタルト能力の賜物なんですね。

ゲシュタルトをうまく利用した実際のデザインを見てみましょう。

たとえばこのロゴをご覧ください。

かなり前に放送していた有名なテレビ番組のロゴですね。ロゴタイプ(文字)のところをよく見てみてください。「S」ってよくみたらSじゃないですよね。「R」なんて左の縦棒「|」がないです。

でも「SPORT」と読めるわけです。これ、見る人のゲシュタルト能力を利用したデザイン。

他にもこちら。

(出典:静岡時代) 

これ、「静岡時代」って読めますよね。でも一文字ずつ見てみるとめちゃめちゃ崩しています。人間のゲシュタルト能力を限界まで利用したデザインです。私はこのロゴ好きです。今は変わってしまったようですが。。。

他にも、

鉄道博物館。文字ではなくマークの部分をご覧ください。これもゲシュタルト能力を利用した抽象化の好例です。汽車の車輪とわかります。このロゴもめっちゃ好き。

卑弥呼。女性の靴ブランドです。ロゴタイプ(文字)を見てもらいたいのですが、これって一見、ただの文字に見えるかもしれません。でも、なんとなく高級感を感じませんか?

これが、こうなったらどうでしょう?

オシャレな靴のブランドとはとうてい感じませんよね。文字から高級感を感じる、または感じないということもゲシュタルトのひとつですね。

ではクイズです。これ、何か(何のロゴか、または何を表した図形か)わかりますか?

正解はこちらのロゴの一部です。

「日本財団」のロゴタイプ(私好きなんです)。「財」も「団」もだいぶ崩しています。「団」の文字だけ見ても「団」と認識するのは難しい。「日」「本」「財」「団」の4文字があるから「日本財団」と読める。

こういう「ゲシュタルト的に理解できるギリギリを攻めたデザイン」というのが、私は好きなんですよね。

 

AIにゲシュタルト能力はあるのか?

さて、目下ものすごい勢いで発展を遂げているAIですが、AIにゲシュタルト能力はあるのか、本人に事情聴取してみました(AIに聞いてみました)。

チャピ夫(ChatGPT)が言うには、「あるにはあるが、人間のものとはちょっと違う」ということです。

AIは画像を認識できますし、画像を生成することもできます。ロゴだってつくれますよ。

しかし、人間のように

  • ない線を補う(カニッツァの三角形)
  • 余白に意味を見る(ルビンの壺)
  • バラバラの要素を経験や文化と結びつけて、ひとつの意味として受け取る

ことは、まだ得意とは言えないそうです。

たとえばカニッツァの三角形では、人間には存在しない白い三角形が見えます。

ところが、画像認識AIにとっては、このような閉合(欠けている部分があっても、脳が勝手に補って「ひとつの形」として見てしまう働き)の処理が意外と難しいことが研究で示されているんだとか。

つまり、人間は画像を「見ている」だけではなく、「意味を補っている」。ロゴデザインとは、その補完能力まで含めて設計する仕事なのです

人間は、見えているものだけを見ているのではなく、見えていない部分まで勝手に補って見ている。AIはそれを理解するのがまだまだ苦手なんですね。

なので、まだまだAIには「それっぽいものしかつくれない」「意味付けが苦手」ということが言えます。

「意味付けが苦手」とは、ロゴデザインで言えば「どこの会社が使っても同じデザインしかつくれない」ということでもあります。「その会社のためのロゴである理由がない」ということ。

じゃあ、AIでいうところの「ゲシュタルト能力」とはどんなものか?

人間の場合、その視覚は、目に入った情報をそのまま処理するという単なるカメラではなく、脳がかなり積極的に、

  • これは何か
  • どこが主役か
  • どことどこがつながっているか
  • 何が隠れているか
  • これは過去に見た何に似ているか

を解釈しているということは、お伝えしてきたとおりです。

だから、たとえばですが、りんごの実物、りんごの絵、りんごのアイコン、Appleのロゴを、全部「りんごっぽいもの」として扱える。形だけではなく、経験・言葉・文化・記憶とつながっているからです。

一方、AIは「りんご」というラベルを当てることはできます。

でもそれは、人間が感じるような「りんご性」を見ているというより、学習データの中で「りんご」と呼ばれてきた画像パターンとの対応を計算している、と考えたほうが近いです。

これが、ゲシュタルト能力における人間とAIの違いです。

じゃあ、Appleのロゴに、もしも「りんご」というラベルがなかったら。もしも私が今、この場で世界初のあのロゴを考案したとして、それをAIに読み込ませたら、りんごだと認識できるのか?

AIはそれを安定して「りんご」とは認識できない可能性が高いそうです。

つまり、Appleのロゴをりんごだと認識できないなら、AIはまだまだ「ゴリラレベル」だということです(笑)。いや、ゴリラのほうがゲシュタルト能力高いかもよ?


手話が使えるゴリラのココ

AIは形を生成できる。しかし人間がその形をどう「見てしまうか」までは、まだ十分に読めていない。これが今の段階のAIです。

※ちなみにAIも人間に近いゲシュタルト能力を少しずつ手に入れはじめているという研究結果もあるそうです。

どうですか?ゲシュタルト能力、個人的にはめっちゃ面白いし、めちゃめちゃすごい能力だと思います。

さて、最後に。。。おまけというか余談というか。

あああああああああああああああああああああああ
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あああああああああああああああああああああああ

これ、ずっと見ていると「あ」の集合体には見えず模様のように感じたり、「あ」の形ってこんなんだっけ?と感じたりしませんか。これを「ゲシュタルト崩壊(通称:ゲシュホ)」といったりします。

さて、今日はとってもお勉強チックなお話でした。なんとか楽しんでもらえるようにお話したつもりですが、いかがでしたか?

 

今回はここまでです。

津久井

投稿者プロフィール

津久井 将信
津久井 将信
ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。

かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。

2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。

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