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1月も早くも終りが近づいています。
ワタクシ、毎年2月に1週間ほどファスティング(断食)をやっていました。酵素ドリンクと水しか飲まないで1週間。なかなかしんどいですが、体重は確実に落ちますし寝起きも良くなる。
でもですね、結局リバウンドするんですよね。
で、昨年もファスティングをしたのですが、終わってからすぐに半年ほどパーソナルトレーナーをつけて毎週トレーニングしました。家でも2日に1度筋トレ。9月にボディメイクの大会に出たんですね。
そこから家での筋トレは今でもつづけているのですが、大会に出るためにやっていた食事制限は特にしませんでした。そしたらやっぱり体重戻りました。
で、今年はファスティングをやめて、1ヶ月間パーソナルトレーニングと食事制限をしようと思って。体も鍛えられて体重も落ちる。健康になる。
人間には免疫力、自然治癒力がありますから、体を鍛えたり食事に気をつけたほうが、へんな注射打つよりよっぽどいいわけです。
けど、ビジネスにおいては「予防」みたいなものってなかなか売るのが難しいんです。
なぜなら、みんな「このままじゃ困る」と思っても、本当に困ってからじゃないと行動しないからです。「予防歯科」なんていう言葉もありましたが、なかなか流行らなかった。
流行らせようと思ったら、メディアで大量に恐怖を煽るしかないわけです。それが今ですね(「予防」接種)。
というわけでコロコロニュース。手短に。。。
娘さんをなくしてしまったお母さんの悲痛の叫びと無責任な議員(短い動画)
さて、本日のお話です。以前、「霧ヶ峰高原」というところに行ったときのお話をしたいと思います(旅行記ではありません笑)。「陳腐化」というものについてお話します。
●「そういう問題じゃねーんだよ!!」
ワタクシ、長野県諏訪市にゆかりがあります。オカンの出身地であり、おじいさんおばあさんのお墓があるため、毎年ひとり合宿も兼ねて墓参りに行っています。
小学生や中学生のころには、夏休みや冬休みになると、おじいさんおばあさんの家に2週間くらいひとりで泊まりに行っていたので、自分にとっては第二の故郷みたいなところなんですね。
数年前、諏訪市のとなりの茅野市に住む親戚のおじさんが亡くなりました。このおじさんにもお世話になったこともあり、家族総出でお通夜と告別式に行きました。
その帰りに、やっぱり思い出深い「霧ヶ峰高原」に行ったんです。
三菱エアコン「霧ヶ峰」で有名な(?)霧ヶ峰高原は、大好きだったじいさんが住んでいた諏訪の山の上にある家の前をさらに進み、山を登りきったところ辺りにあります。
中学生のころには、冬休みになると祖父母の家に泊まりに行っては、霧ヶ峰高原のスキー場に連れて行ってもらっていました。
高原は「ビーナスライン」というドライブコースが有名で、新緑や紅葉の季節にはとてつもなくキレイな景色が広がります。冬のスキーだけではない楽しみ方ができるわけです。
それからも何度か霧ヶ峰高原には登っていたのですが、そのたびに高原のサービスエリアで飲む牛乳が大好きでした。
普段は牛乳はほとんど飲みません。というかあまり好きではありません。しかし、霧ヶ峰高原の牛乳は特別でした。本当においしい牛乳だったんです。このときもその「想い出の牛乳」を密かに楽しみにしていました。
また、高原には馬もいて、当時1歳半だったムスメを喜ばせたいなと思っていました。
ところがですね、いざサービスエリアについてみると、死んだように活気がない。。。
あれだけ推していた牛乳はどこで買えるのかわからないようになってしまっていましたし、平日ということはもちろんあれど、お客さんもほとんどいません。馬もいない。。。
カンタンに言えば、めっちゃガッカリしたんです。子どもたちにちょっと特別な体験をさせたかったのに、と。
晴れていたこともあり、景色は相変わらず素晴らしかったのですが、それ以外はとてもガッカリでした。
楽しみにしていた牛乳は愛想の悪い兄ちゃんがひとりで突っ立っている売店で名前を変えて売っていました。たしか以前は「しぼりたて高原牛乳」とかだったと思います。売店では「ジョッキ牛乳」に名前を変えて売っていました。
まあ、しぼりたての牛乳をジョッキでグビグビ飲むのはアリだなと思ったのですが、そのジョッキ牛乳はこんな残念な感じだったのです(飲み終わった写真で恐縮ですが)。
居酒屋じゃないんだよ
なぜがっかりしたか。
カンタンに言えば、ジョッキが「Asahi」だったから。生ビールのジョッキだったからです。でも、それはまだ百歩譲れます。
実はその前段もあって、以前は機械からついでいた「しぼりたて牛乳」なのに、数年経ったら、その愛想の悪い兄ちゃんがスーパーで売ってそうな紙パックを冷蔵庫から出してきて、悪びれもせず目の前で普通にジョッキに注ぐわけです。
何が言いたいかというと
「その牛乳、パックに入ってるならここじゃなくても飲めるやんけ!スーパーで手に入るやんけ!」
と感じてしまったわけです。
他にも、売店のメニューもいまいちやる気がありません。
「準備中」多すぎるだろ
もっと言えば、こういう商品とか個人的にはあり得ないです。
それ、ここじゃなくても食えるやつや
これらはですね、デザイン会社のポジショントークで単に見た目の話をしているのではありません。
牛乳を飲んでいるときに、「八十二銀行」という名札をつけた男性2人と、サービスエリアの責任者?らしき男性に対し、偉そうな話をしているおじさんがいました。
そのおじさんは、どうやらコンサルタントのようでした。何か商品開発的な話をしていたようでした。
「まあせいぜいりんごジャムとかブルーベリージャムとかを乗せてプラス50円とか、そんな感じしかないと思うんですよね」
おじさん(コンサルタント)がそう指導しているのを聞いて、うちのヨメが相手に聞こえるくらいの声でひとこと言いました。
「そういう問題じゃねーんだよ!!」
それを聞いて牛乳を吹き出しそうになりました(失礼ですが金融機関が用意したコンサルなんてダメダメで使えないイメージが強いですね)。
ジャムを乗せてどうこうなる問題じゃない、この(さびれてしまっている)問題の本質がわかってない、ということです。それをヨメ(素人)にすら見透かされるという。。。でも、ヨメの言うとおりなんです。
問題解決は、まず「本当の問題は何なのか?」を特定することからはじめなければならない。霧ヶ峰高原は「陳腐化」していました。
●「陳腐化」とは?
「陳腐化」とは前述のとおり、かんたんにいえば「古くなる」ということです。
ビジネスで「古くなる」というと、どんなことを連想されますか?
たとえばスマホの時代になった今ではガラケーは陳腐化しています。好んで使う人ももちろんいますが、多くの人がスマホに切り替えています。
スマホの登場で市場が陳腐化したのが「コンパクトデジカメ」です。スマホのカメラの性能が格段に良くなったことでコンパクトデジカメを買う必要がないと考える人が増えました。
そのさらに前ではインスタントカメラがデジカメの登場で陳腐化しました。さらにさらにその前にはインスタントカメラの登場で家庭用フィルムカメラは陳腐化しました。今では「アナログカメラ」「フィルムカメラ」がデジタル化の影響で完全に陳腐化しています。
このように昔は当たり前のように買っていた、売れていたが今ではなくなってしまった、なくなりかけている、というものがたくさんあります。
「何をアタリマエのことを」と感じるかもしれませんが、「陳腐化という病気」は気づかないうちに企業や商品を蝕んでいくということです。経営者がそこに気づかないと、まさにゆでガエル状態で手遅れになることがあります。
ちなみに、デジカメの例を見ると「技術革新」の話のように感じてしまうかもしれませんが、決して「技術革新」に限った話ではありません。
たとえば数年前のこちらのニュースなどが好例です。
- 「9割が高齢者で胸が痛い」商品券の問い合わせ・金券ショップに相次ぐ 百貨店・大沼倒産の余波 山形
これは3年くらい前の記事でWEBページはすでに見れなくなっていましたが、見出しのとおりお客さんの9割が高齢者だったのです。その結果、山形の老舗大型百貨店大沼は創業から320年で破産することとなりました。コ□ナ禍直前なので、倒産はコ□ナが原因ではありませんでした。
金券云々は置いておいて、「9割が高齢者で胸が痛い」というところに陳腐化の恐ろしさをまざまざと感じてしまいます。
実体験としても似たようなことがあります。それこそ、諏訪の話です。
小学生のころ、じいさんばあさんの家に泊まってよく行っていたのが、JR上諏訪駅前にあった百貨店「丸光」。最上階のゲームセンターやおもちゃ売り場のファミコンでよく遊んでいました。
茅野のおじさんの法事の際に、20年ぶりくらいに丸光に行ったのですが、陳腐化に蝕まれきった丸光はあからさまにお客さんが少なく陰鬱とした雰囲気になっていました。
子どものころの賑わっている丸光の記憶とのギャップに胸が痛んだ数年後、墓参りに行った際に思い出の場所「丸光」はなくなっていることを知りました。
百貨店の例はもっとも「陳腐化」をわかりやすく感じられるものだと考えます。特に地方の百貨店。
このように「陳腐化」は古くなることによりさびれて活気がなくなり、結果お客さんがいなくなる現象を言います。言い方を変えるなら、新しいニーズを持つターゲット層のセンスについていけなくなり、商品やサービスの質が低下し、今までのお客さんも来なくなるということです。
最近の例だと、遊園地の「としまえん」なども陳腐化してしまった好例と言えそうです。
では、なぜ「陳腐化」してしまうのでしょうか。
身も蓋もない話をすれば、陳腐化の根本原因は、私は「センス」だと考えています。ものすごく抽象的な表現となってしまいますが。
センスが陳腐化したときに、それが商品を通して、場所を通して、カテゴリを通して、業種業態を通して、と何らかを通して現れるのだと考えます。
たとえばお店の内装が古い(陳腐化している)とそれだけで客足が遠のいたりする、ということは実際にあります。「そんな単純じゃないだろ」と思うかもしれませんが、単純な話かどうかは置いておいて実際にそういう事例が多いです。
お笑い芸人キングコングの西野さんがAbemaTVでやっている「株式会社ニシノコンサル」という番組内では、以前、西野さんが経営している(?)スナック数店舗のうち、内装費をきちんとかけた店が一番繁盛していると西野さん自身が語っていました。
どうやら居抜き物件で開店していたようですが、それを古いセンスの店のまま使うのか、しっかりお金をかけて内装をセンスの良いものに変えるのか。商売になるのは結局後者だと。
山形の百貨店「大沼」はお客さんの9割が高齢者だった。つまり、「若い人からしたら古い、ダサい」からお客さんが高齢者だけになってしまったわけです。
これは霧ヶ峰高原ドライブインにもまったくもって当てはまる話です。
●ジャムを乗せる前に考えなくてはいけないこと
霧ヶ峰高原は「リブランディング」が必要でした。陳腐化してしまった霧ヶ峰高原を、リブランディングによって「進化系」にする必要がありました。
ここでは、私ならどうするかというお話をしてみたいと思います。私も霧ヶ峰高原に足繁く通って観察したわけではありませんから、どうやっても仮説の域をでませんが。。。
まず、「センスが陳腐化している」わけだから、最先端のセンスでリブランディングすればいいかというと、その前にやらないといけないことがあります。
- それは誰にとっての価値なのか?
ということをはっきりさせる必要があります。つまり、ターゲティングです。リブランディングはきれいでかっこよくつくりかえればいいという単純な話ではありません。ターゲットの再設定からしないといけない。
そして、「その人たちが見たい、触れたいセンスは何なのか」を考えます。
まず、霧ヶ峰高原は誰をターゲットにすべきでしょう?
いろいろな切り口があると思います。
- 県内の人
- 県外の人
とか、
- 家族連れ
- デート
- ひとり旅
などなど。
さびれてしまった霧ヶ峰高原ですが、つぶさに見ていくと、霧ヶ峰高原に来るお客さんはいまだに一定数います。そんな状況になっても来てくれているお客さんは、何かの魅力を霧ヶ峰高原に感じてくれているコアな人たちのはず。
私であればりんごジャムを乗せるかブルーベリージャムを乗せるか悩む前に、そういったお客さんを観察しインタビューをします。りんごジャムかブルーベリージャムかではなく、そんなジャムの乗ったナゾのお菓子をそもそもターゲットの人たちが欲しがるのかを考えます。
ターゲットはちょっと観察するだけですぐにわかりました。
- 老夫婦
- バイカー
- ロードバイク(自転車)好き
この中で、できれば誰をターゲットにするか決めてしまったほうがいいでしょうね。そして、その人たちが体感したいセンスは何か考える。
たとえば、なんでバイカーの人たちは霧ヶ峰高原にたくさん来ているのか。おそらくドライブコース「ビーナスライン」が関係していると思いますが、他にもあるかもしれない。考える。聞いてしまう。バイカーの人たちが手に入れたい価値は何か。
次にやることは、そのターゲットの人たちが「良い!」と感じるセンスを表現できるクリエイターを見つけ、招聘することです。
「どんな表現にするか」は「誰をターゲットにするか」が明確でなければ決まらないはずです。
つまり、「なんでもいいからかっこよくつくりかえればいい」という考えが間違っているのと同様、「有名なデザイナーに頼めばいい」というのも間違っているということです。
クリエイターは何でも表現できるわけではなく、得意な表現は十人十色、百人百様ですから、ターゲットがほしがるセンスを表現できるクリエイターをアサインしなければなりません。
仮にバイカーをターゲットにしたとして、「無印良品が大好きです」というおとなしめの女性デザイナーを招聘しうまくいくでしょうか?いかないですね。
さて、こう考えると牛乳やソフトクリーム、お土産などの商品は霧ヶ峰高原全体を表す「表現」のひとつだとわかります。
お土産ならどんなものをどんなパッケージで売ればよいかも考えやすくなりますし、どんな人をバイトで採用すれば良いかも考えやすくなります。
バイカーをターゲットにするなら、バイク好きな人をバイトで集めやすそうなことは容易に想像がつきますね。バイカー向けのイベントを開催するなど、販促の打ち手も考えやすくなります。
そしてジャムの乗ったお菓子(しつこい)が商品として向いているかどうかも考えやすくなります。
というわけで、今回のお話で一番伝えたかったことは「霧ヶ峰高原ドライブインは私にコンサルさせてくれ」ということです(爆)。
今回はここまでです。
津久井
投稿者プロフィール
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ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。
かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。
2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。
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