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先日ですが、第49回生誕祭を迎えました。生誕祭っていうか、ただの誕生日ですけど。
もう49歳ですよ。。。起業したのが30歳。30歳での起業は当時はわりと早いほうでした。若い社長と認識されていたと思います。今はもっと早くから起業する人がたくさんいますが。。。
人生ってあっという間ですね、ほんとに。起業してもうすぐまるっと19年。生まれた子どもが大学生になる年齢です。
まだまだ成長したい。会社の規模ももっともっと大きくしたい。19年は時間をかけすぎたかも。
ウサギとカメでいえば確実にカメです。しかし、ただのカメにはなりたくない。差ではなく違いを生むカメ。パタパタくらいのカメにはなりたいな。
ちなみにスーパーマリオっていうゲームは世界観がイカれてますよね。カメに羽が生えているとか、キノコゲットしたら大きくなるとか。ラリってますね(爆)。
しかしまあ、自分ではいつまでも青春をしている感覚ですが、やはり体の衰えは隠せません。最近疲れやすい。お酒ももうそれほどいらない気もしてきた。
来年はいよいよ大台か〜。早くいろいろなことを若い子たちにバトンタッチしていかなくては。
このコラムも誰かバトンタッチしてくれないかな(笑)。
というわけで本日のお話。
●仕事ができない証拠もないし彼女がいない証拠もない
いつもお話していますが、人は見たものから何かしらの印象を受けてしまいます。
たとえば、人。こんな人がもし電車に乗っていたらどんな印象を持ちますか?
- 40歳前後の男性
- スーツは一応着ているがしわくちゃ
- ワイシャツも黄ばんでいてしわくちゃ
- 髪の毛がボサボサ
- スーツの肩の辺りに白い粉状のものが付着
- 無精髭のクセがすごい
- 靴が安物で汚れている
- やはり安物で汚いリュックを背負っている
- スマホでアキバ系アニメの動画を見ている
いかがでしょうか?こういった人を見たら、たとえばこんな印象をもちませんか?
- 仕事できない
- 結婚していない
- 彼女いない
- 今までも女性と付き合ったことがない
- 会社で浮いている
- あまり近づかないほうがいい(汗)
実際にこういう方がいたらちょっと失礼な話なのですが、でもやはりこれに近い印象ではないでしょうか?多くの人がこれに近い印象を持つであろうことは想像に難くないです。
でもよくよく落ち着いて考えてみると、ものすごく仕事ができる人かもしれないし、とても美人の奥さんがいるかもしれません。かわいい子どももいてステキな家庭を築いていてもなんらおかしくないわけです。
つまり、仕事ができない証拠もないし彼女がいない証拠もないわけです。
それでも多くの人が似たようなネガティブな印象を持ってしまうのはなぜでしょう?
逆にこんな男性がいたらどうでしょうか?
- やはり40歳前後の男性
- 背が高く体も引き締まっている
- スーツもシャツもパリッと糊がきいている
- 靴もきれいに磨かれた高そうな靴
- 髪の毛もきちんと清潔にセットされている
- カバンも高級そうな革のビジネスバッグ
- 日経新聞を読んでいる
先ほどの男性とは逆の、仕事ができそうな印象を持ちませんか?会社でもそれなりの役職についていそうなイメージですよね。
でも、これも同様にそうである証拠はありません。
もしかしたら家では部屋中にアキバ系のアニメのポスターが貼ってあってもおかしくないのです(別にアキバ系をディスるつもりはないんですけども)。
なのになぜ??
さて、これはひとりの男性に限らず会社やお店などの事業体にとっても同じことが言えてしまいます。
人はポジティブにしろネガティブにしろ、見たものから何かしらの印象を感じてしまいます。平井堅のように瞳を閉じて生活していない限り。。。(古いし、平井堅もそんなことはしていないですね)
つまり「それ」を目にした瞬間に、何かしらの印象を感じてしまうわけです。
私はこれを「デザインの無拒否性©」と名付けています。
●ダチョウ倶楽部的原始人「絶対食べるなよ!」
ここからはかなり個人的な知的好奇心を満たす話になり、人によってはまったく興味がない話かも知れませんが、それにしてもなぜそんなことが、つまり人は見たものから何らかの印象を必ず受け取ってしまうということが起こるのでしょうか?
よくよく考えたら、とっても不思議なことではないでしょうか?
たとえば、人はなぜ花を見て「美しい」という印象を持つのでしょうか?
調べてみると、何かを見て美しいという印象を持つのはおそらく人間だけ(もしかしたらネアンデルタール人も)だということを書いている記事はありましたが、なぜそうなるかまでは書いていませんし、「美しい」以外の印象に関しても調べ方が悪いのかも知れませんがどこにも答えは載っていませんでした。
また、ChatGPTやGeminiにも聞いてみましたが、あまり要領を得る回答ではありませんでした。
他にもたとえば、キレイでオシャレなオフィスでは仕事の生産性が上がるということはよく言われていることです。いろいろな研究の結果生産性が上がるのは事実のようですし、そう書いている記事もたくさん出てくるのですが、
「なぜそうなるのか?」
についてきちんと解説している記事はありませんでした。
というわけで持論を展開してみます(そしてちょっと長くてウザいです)。
私の推測ですが、これは太古の昔からの人間の脳の機能の影響ではないかと思うのです(瞳を閉じないでください!笑)。まだ文字もない、言葉もどこまで発達していたかわからない時代の話。
言葉を司る脳の部位は、「大脳新皮質」といいますが、「新」と付くとおり、実は人間の脳みその中では比較的新しくできたパーツと言われています。
つまり、言葉は人間の脳の中ではまだまだ歴史が浅いわけで、人間の脳は言葉を操る前から存在し、何かしらの機能を有していました。言葉は脳の中でメインの機能ではまったくなかった。
ではどんな機能がメインだったのか。
ひとつは「死なないための危険察知機能」だと考えています。
太古の昔、人間はその辺に生えているものや落っこちているもの、走り回っている、泳いでいる生き物を食べていました。
しかし、中には毒を持つ動植物が多く存在します。
すべての生物がそうとは言えませんが、毒を持つ生物(動物にしろ植物にしろ)はその見た目があきらかに毒々しいですよね。たとえば、毒キノコとか毒ガエルとか。。。
人間はこの「毒々しい見た目」から食べたら危険だと感知していたのではないかと考えています。
つまり「毒々しい色」というのは人間(の脳)が後付けしたもので、色本来には意味はないのかもしれないわけです。
人類の歴史の中で、生命維持のためにその色合いを「毒々しい」というネガティブな印象で後から位置付けするようになり、それが遺伝子の中に情報として残りつづけ今の人類に至っているのではないかという、壮大かつ興味がない人にとっては本当にどうでもよい推測を私はするのであります。
「毒」はネガティブな話ですが、逆にポジティブな印象のものも生命維持に良い方向に働くことから、それが「好き」とか「気持ちいい」とか「美しい」という印象を脳が後付けしたのではないかと思います。
人類の歴史は諸説ありますが400万年前から700万年前と言われています。その長い歴史の中で、見た目から安全か危険かを判別する機能を脳が形成した、というのが私の説です。
これが現代の人間にもずっと残されており、人間は見た目から何かを必ず感じるようになった、何かを感じることで生命維持の機能を果たしているということです。
ここから、いわゆる「ゲシュタルト(能力)」的な話に発展していくのかなと思います。
ちなみに余談ですが、「だとしたら毒がありそうなものをはじめて食べた人がいるのはどうしてなんだ??」という疑問も出ると思います。生命維持のためだとしたら誰も食べないはずじゃないか、と。。。
これにはおそらく2つ理由があって、太古の昔は飢餓との戦いでしたからお腹が空いて食べてみて大丈夫だった、または死んでしまった(人がいる)、などで学習していったというのがひとつ。
もうひとつは、脳の別の機能「好奇心」の為せる技だろうということです。「好奇心」は脳の生命維持装置をすっ飛ばすと言われています。
「これはヤバイ!食ったらあかんやつやーん!!」みたいなものも、なぜか「絶対押すなよ!」というダチョウ倶楽部的な「フリ」だと勝手に解釈してしまい食べてしまう、いわゆるダチョウ倶楽部的原始人がいて、そういう人が「見た目はヤバイけど食べたら美味しかった」みたいなものを発見したのだと思います。
そしておそらくそういう人のかなり多くが死んでしまったと思います。。。
沖縄のハブ酒とかもきっとそうだと思うんですよね。ハブ酒の歴史はわかりませんが、きっと「琉球王朝のダチョウ倶楽部」と呼べるような人たちが、「(ハブを酒の中に)絶対入れるなよ!!」とかなんとか言ったんだと思います(笑)。
●手痛い失敗(面接辞退の電話連絡)
一番主張したいのは、この機能=デザインの無拒否性©がある限り、人も商品も会社も見た目=デザインをおろそかにしてはいけないということです。
もっと言えば、この機能があるから、アートやデザインという分野が生まれたのかもしれません。
見た目の影響力はとても強いです。たとえば飲んだものの味を変えてしまうほど。
これは師匠の伊吹先生に昔聞いた話です。アメリカの学生にコーヒーの実験をしたエピソードです。
同じコーヒーを赤、黄、緑の3種類の色の紙コップに入れて学生に飲ませたところ、
- 赤・・・もっともおいしい
- 黄・・・酸味が強い
- 緑・・・苦味が強い
と回答する学生が多数いたそうです。同じコーヒーにもかかわらず、感じる味に変化があったわけです。
私も昔、刺し身をソースで食べていて途中まで気づかなかったことがあります。ソースはドロッとしたものという先入観があり、ウスターソースだったため醤油だと思い込み刺し身につけて食べていたのです。
気づかず3切れくらい食べてました。舌が鈍感なだけというウワサもありますが(汗)、これも見た目から受け取ってしまった印象により他の感覚に影響を与えた例です。
ちなみにこういった事例は枚挙にいとまがないようです。ChatGPTに聞いてみました。
「ストロベリー」の実験
- 【内容】
例えばストロベリーフレーバーの飲み物を用意して、赤・オレンジ・黄色・透明といった色をつけて飲んでもらう。 - 【結果】
赤い色の飲み物は「ストロベリー味が濃い」と感じる人が多く、透明だと「味が薄い」と感じることが多かった。
プリンの色の錯覚
- 【内容】
黄色いプリン(通常通り)と緑色のプリン(着色)を用意して試食してもらう。 - 【結果】
黄色いプリンは「おいしい」と感じ、緑色のプリンは「苦そう、気持ち悪い」と感じる人が多かった。
白ワインと赤ワインの錯覚
- 【内容】
フランスのブロデュール博士(2001年)による実験。白ワインに赤い色素を加えて「赤ワイン」として被験者に飲ませる。 - 【結果】
ワインの専門家でさえ「赤ワインの香りがする」と錯覚した(実際は白ワイン)。
食器の色と味の錯覚
- 【内容】
同じチョコレートムースを、白い皿、黒い皿、赤い皿に盛りつけて被験者に試食させる。 - 【結果】
白い皿のムースが最も甘く感じられた。黒い皿のムースは苦味が強調されると感じられた。
透明容器 vs. 不透明容器
- 【内容】
同じオレンジジュースを透明グラスと不透明グラスに入れて飲ませる。 - 【結果】
透明グラスのほうが「オレンジの味が濃い」と評価されることが多かった。
ジェリービーンズの色と味の錯覚
- 【内容】
ジェリービーンズを無作為に選んで味わってもらうが、一部のジェリービーンズはわざと色と味を一致させない(例:緑色でストロベリー味)。 - 【結果】
多くの人が「緑色はメロン味だ」と錯覚した。色に引っ張られて本来の味を正しく当てられない人が続出。
伊吹先生が教えてくれた話とほとんど同じです。今やChatGPTに聞いたらなんでもわかりますね。
さて、問題はこの話がビジネスのどんな部分に当てはまるのか、自社に関係ある話なのか、だと思います。
そこで、こんな偉そうなウンチクを垂れている私ですが、過去にした手痛い失敗をお話します。
ビズアップが今の事務所に引っ越す前は住宅街のマンションの半地下の事務所物件にオフィスがありました。デザイン会社らしさもなければ、ただのマンションだし住宅街だし少し古いし、「ここが会社?」という印象があったことは否めません。
あるとき、採用面接の予定が入っていたのですが、面接まであと10分程度のタイミングで、辞退の電話連絡が入りました。
なんと、辞退した人は事務所の前まで来て事務所の印象を見て面接を辞退したのです。事務所の雰囲気が出していた印象がこのような失敗を招いたというわけです。
自社の人、会社、商品。御社はどんな印象をお客さまに与えていると思いますか?
汚いよりはキレイであるべきだし、古いよりは新しいほうが良い印象です。古くても情緒があると思われるのか、ただ古いだけに見られてしまうのかで与える印象はやはり変わります。
価格が高いものが安っぽく見えればネガティブな印象になってしまいますし、同じ価格や機能なら競合商品よりも高級に感じてもらえたほうが有利でしょう。
料理を出す店なら当然、まずそうよりも美味しそうと思われるほうがお店は繁盛します。
「まずは相談を!」というキャッチコピーを使っているのに相談しづらそうな人物写真を載せていれば相談される確率は格段に下がってしまいます。
そういったひとつひとつが、「デザインの無拒否性©」によりどのような印象で受け取られているのか。
お店でも名刺でもパンフレットでも営業マンでも商品でもそうですが、お客さまに「見られている」ものがどんな印象を発信しているのか、一度考えてみると良いと思います。
「自分たちではわからない!」という場合はご相談ください。ちょっと辛口でダメ出しさせていただきたいと思います(笑)。
ちなみに、ビズアップでは「60分ブランディング無料相談」を行っています。
「そろそろそういうことについて真剣に考えないと」と感じているようでしたら、こちらからお問い合わせください。
- 弊社の「デザイン倉庫クラウド」にアクセスし、
- 「60分ブランディング無料相談」にチェックを入れる
- オレンジ色の「問い合わせを送信」ボタンを押す
- ログイン情報を入れて「ログイン」ボタンを押す or 必要事項を入力して「送信する」ボタンを押す
今回はここまでです!
津久井
投稿者プロフィール

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ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。
かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。
2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。
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