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2026年10月09日 ブランディング メールマガジン 法則・ノウハウ 【第837回】偉そうに話しているくせにブランディングで失敗したときの話

ここのところの海外も含めた出張ラッシュが一段落(北海道→オーストラリア・パース→オーストラリア・シドニー→三島)。かと思いきや、来週、再来週もまた出張が入ってきております。

なんか、毎週の勢いでどこかに行っている気がする。そんなことしている場合なのか?なんて自問自答したり。

というわけで、10月も第2週です。もはや年末です。毎年恒例となってまいりましたが、今年も言います。「こっから年末まであっという間でっせ!」。

しかもAIの登場で、来年は産業革命かそれ以上の社会変革が起こります(というかもう起こっています)。

2027年は、倒産数、失業率がめっちゃ上がると予測。どうやって会社を変態、変身させていくか。日々、相当頭を悩ませております。だから出張ばっかり行っている場合じゃない気がするんです。

AI、便利だけど、なんかAIが仕事に導入されるようになってからむしろ忙しいんだよな。うちの顧問弁護士もまったく同じことを言っていました。AIに振り回されている感じ。

というわけで、本日のお話。

今朝、たまたまこんなショート動画を見つけたんです。

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こちら、ドッキリになっているので面白い動画(編集)になっていますが、見る人によっては気ぃ悪い動画ではありますね(汗)。

とりあえず「ブス」のほうのお姉さんが明るくて気丈な人でよかった(書類は拾ったれよとは思いましたけど)。

で、これで思い出したテーマを本日のネタとしたいと思います。

 

まずはくだらないお笑いの動画から

このお笑いトリオ、知ってます?ワタクシ、彼らのこのシリーズのコントが好きなんですよね。

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同じシリーズでこちら。

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なんで笑えるんでしょうね(笑えない人もいると思いますが)。

登場する「BEAMSの店員」が本当にそれっぽいですよね。よくこんなネタを思いつくもんだ。お笑い芸人って本当にすごい。

しかも1本目なんて、ほとんどセリフが出てこないのに笑える。

つづいて、こちらはどうでしょう?

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このコラムでも何度かこすらせてもらっていますが、「水曜日のダウンタウン」に出ていた「ヤバめ素人」という人。

たしかにヤバそう(笑)。なんでこういうネタを考えつくんですかね。そして、なんでちゃんとヤバめの人を用意できるんですかね(笑)。

そしてもう1本見ていただきたいと思います。今度はお笑いの動画ではありませんが、違った面白さがあります。

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「ウソつきは嫌いだが、金目当ての女はもっと嫌いだ」。痛快です。そんなこと言ってみたい(爆)。

今度は一転、ぜんぜん違う話をしてみたいと思います。

会社の部署の人たちにお土産として買っていくとしたら、どちらを買いますか?

多くの人が、左の「りんごパイ」を選ぶのではないでしょうか。もちろん右の漬物だと「社員で分けられない」という問題はありますが、その問題を除外したとしても、「りんごパイ」に軍配が上がると考えられます。

なぜでしょう?

 

5本の動画やお土産の話に共通していることとは?

さて、お気づきかもしれませんが、4種(5本)の動画にも、お土産の話にも、ある共通点があります。なにかわかりますか?

それは、

  • 人は見た目から何かしらの印象を持ってしまう

ということです。

不思議ですよね。なんであの服装の人が「BEAMSの店員」に見えるのか(ファッションが好きではない人だと分かりづらいかもしれません。ちなみに私はSHIPSの店員も出てきた瞬間にわかりました笑)。

なんで、あの見た目(サンタ男)だと「金を持っていなさそう」と感じ、スーパーカーで乗りつけたスーツの男だと「金を持っていそう」と感じるのか。

なんで「りんごパイ」のほうが、会社に買っていくお土産としてはふさわしいと感じるのか。

身も蓋もないことを言えば、「それが人間だから」ということになるのですが、もう少し具体的な言葉で言うと、先ほどの

  • 人は見た目から何かしらの印象を持ってしまう

となるというわけです。これを私は「デザインの無拒否性©」と名づけています。「©」とあるとおり、私が考えた言葉です。

たとえば、ちょっと汚い例えで恐縮ですが、電車の中にこんな人がいたらどう感じますか?

  • 40〜50代の男性
  • 太っていて、上着とズボンの間から腰回りや下着が見えている
  • 歯が黄ばんでいる
  • 髪の毛が脂ギッシュでフケも落ちている
  • 靴が汚く、かかとを踏んでいる
  • スマホで萌え系アニメを見ている
  • 呼吸が荒い

どうでしょう?多くの人が、「近寄りたくない」「気持ち悪い」「ヤバい」と「感じる」と思います。先ほどのヤバめ素人よりもヤバそうです。

つまり、「何らかの印象を持ってしまっている」ということですよね。

そして、「何らかの印象を持ってしまっている」にはもうひとつ重要な示唆があります。それは、「持った印象が事実かどうかは関係ない」ということです。

前述の「電車の中にいたら・・・」の人は、もしかしたらめちゃくちゃすごい人かもしれません。ノーベル平和賞の受賞経験があるとか。または、実は大企業の社長とか、資産数十億の人とか。

ビニール袋に無造作に放り込まれている料理を見たら、デザインの無拒否性から人は「残飯だ」と認識します。

仮にそれが、三つ星レストランのカリスマシェフがつくったばかりの料理をビニール袋に入れただけだとしても、です。事実は「残飯」ではないのに「残飯に見えてしまう」。

つまり、持った印象と事実はまったく別なのに、なぜかその印象に引っ張られて人は「評価」してしまうのです。

サンタ男の例はもろにそうでしたね。女性はサンタ男のはじめの服装を見て「大した男ではない、金もなさそう、わたしの求めているハイスペ男ではない」という「印象を持った」わけです。評価したわけです。

しかし、事実(この場合はドッキリなので本当にそうかはわかりませんが)は、「金持ちの大社長」だったわけです。

 

ビジネスにおける「デザインの無拒否性©」とは?

さて、これらは「お笑い芸人」だったり「ヤバめ素人」だったり「美人かブスか」だったり「ナンパ男」だったり「お土産」に限った話ではないということはご理解いただけていると思います。

そうです。ビジネスが人間活動である限り、「デザインの無拒否性©」はビジネスに大きく影響します。

たとえば、「会社の身だしなみ」はどうでしょうか?

これは、いつもブランディングについて偉そうに語っているクセに私自身が犯したミスの話です。

かなり前になりますが、ビズアップは面接の直前で採用応募者に断られたことがあります。「面接の直前」とは、面接開始5分前です。なぜか。

当時のビズアップの事務所は、住宅街にあるマンションの半地下のようなところにある物件でした。

採用応募者は、面接のためにビズアップの事務所の目の前まで来て、電話で辞退したのです。

そうです。それは「デザインの無拒否性©」によるものでした。ビズアップの事務所を外から見て、「この会社は自分の求めているレベルの会社ではない」と「評価」したわけです。

いや、事務所物件は致し方ない場合もあります。創業まもなくてお金がないとか、いろいろと事情はあるでしょう。

しかし、

  • 事務所に入ってみた様子とか、
  • 社員さんの服装や態度とか、
  • 社用車とか、
  • 看板のデザインとか、
  • 店舗の入口の雰囲気とか、

なんでも構いませんが、「デザインの無拒否性©」を与えてしまう場所はいくらでもあるわけです。

営業マンの身なりや雰囲気だってそうです。「無拒否性」を感じる重要な顧客接点なわけです。

これは、いつもお話ししている「メリコの法則」の「リ」のお話でもあります。

「メリコの法則」をかんたんに説明すると、商品やデザインが優れているかどうかは、「メリコ」の3つで評価できるというフレームワークです。これは私の師匠である伊吹卓先生が考案したもので(もうお亡くなりになられていますが)、「メリコ」は

  • 目立つこと
  • 理解できること
  • 好感が持てること

の頭文字を取っています。

「リ」は「理解できること」とありますが、これは「意味がわかる」ということだけでなく、「そう感じる」ということも含みます。言い換えるなら「〜〜っぽい」ということです。

冒頭の動画やお土産の「リ」がそれぞれどうなっているかを見てみましょう。

  • BEAMSの店員っぽい
  • SHIPSの店員っぽい
  • 素人のヤバい人っぽい
  • お金もステータスもないただのナンパ男っぽい
  • お金もステータスもあるハイスペ男っぽい
  • 大当たりはないが大外れもない、会社に持っていくのにうってつけのお土産っぽい

ということなんですね。

メリコの法則を考案した伊吹先生は、「コ:好感が持てる」が一番重要とおっしゃっていました。しかし私の解釈では、【現代では「リ」が一番重要】です。

さて、ブランディングは

  • 選ばれるため、選ばれつづけるための施策全般

です。それは「言葉と画(え)」を使って行われます。「言葉と画(え)」を使って何をすることなのか。それは、

  • 人の「感じる」をコントロールすること

です。言葉と画(え)を使って「感じる」をコントロールするうえで、メリコの「リ」を考えることは超〜〜〜〜〜重要なわけですね。

そういう意味では、「BEAMSの店員っぽさ」や「SHIPSの店員っぽさ」を表現できる彼らはかなりすごいです。

ネタとしてはマニアックではありますが、ちょっとした差や言語化できない感覚で「BEAMSの店員っぽい!!」と感じさせているわけです。我々の「感じる」をコントロールしているわけです。

さて、御社の身だしなみは残飯になっていませんか?

 

【番外編】営業マンの最適な服装は?

会社の身だしなみのひとつとして、営業マンの服装があると前述しました。では、営業マンの服装は整っていればなんでもいいのでしょうか?

実はそうではありません。

もちろん、整っていればOKという会社もあります。しかし、すべての会社がそうだとは限らないのです。

たとえば、植木屋さん。とある植木屋さんは、服装が成約率に影響を与えるかを調べました。

1.スーツ
2.ジーパン+ジャケット
3.ジーパン+Tシャツ
4.作業着
5.作業着+地下足袋+頭にタオル

どの服装が一番成約率が高かったと思いますか?驚きの結果は以下のとおりです。

  • 「1.スーツ」「2.ジーパン+ジャケット」は本当に論外で、この上なく疑いのまなざしを浴びせつづけられるだけだった。いずれも、1回ずつ試してやめた。
  • 「3.ジーパン+Tシャツ」は可もなく不可もなく。実験した地域が湘南だったので、地域柄OKだったのかもしれない。
  • 「4.作業着」「5.作業着+地下足袋+頭にタオル」がダントツの成約率で、特に地下足袋&タオル付きだと、成約率100%に近かった。
  • 実験により、「5.作業着+地下足袋+頭にタオル」が一番ということが分かったので、以降、どんな状況であろうとも、初回訪問にはこの服装で行くことになった。

驚きです。

「1.スーツ」、「2.ジーパン+ジャケット」が成約率が悪いなんて!しかも「3.ジーパン+Tシャツ」よりも悪いというのが本当にびっくり。

多くの人が、次のような仮説を持っていたはずです。

  • 【仮説1】「デザインの無拒否性©」から、服装は成約率に影響する
  • 【仮説2】だから(スーツなど)きちんとした服装で営業に行くべき

しかし、植木屋さんの実験から言えることは、

  • 【仮説1】「デザインの無拒否性©」から、服装は成約率に影響する → おそらく正しい
  • 【仮説2】だから(スーツなど)きちんとした服装で営業に行くべき → 間違っている

ということになります。つまり、

やはり服装は成約率に影響する。しかし、業種によって最適な服装は違う。

ということです。そして、

  • 実験により、「5.作業着+地下足袋+頭にタオル」が一番ということが分かった

ということから、植木屋さんの最適な服装は「作業着+地下足袋+頭にタオル」の可能性が高い、ということも言えそうです。

実はこれとまったく同じ経験をした友人がいます。

その友人は23歳と若かったころ、工務店に勤めていました。ターゲットは不動産屋さんです。

飛び込み営業をつづけてもなかなか仕事が獲得できなかった友人は、成績が悪かったために現場仕事と兼務させられることとなってしまいました。

午前中は現場に、午後は着替えて、シャツとスラックスにネクタイを締めてきれいな服装で営業に出向ていましたが、やはり結果は出なかったそうです。

そんなある日、現場仕事が延びたために作業着のまま営業に出ることとなってしまいました。すると、いつも社長とまともに話すらさせてもらえない不動産屋さんで、その日はお茶を出され座るように言われるのです。

席についてゆっくりと話すことができれば、要望をすべて聞き出すことが可能です。その後、その不動産屋さんからは定期工事を受注するに至ったそうです。

いつもと同じ内容、時間、話し方、どう考えても違うのは服装だけでした。

そこで、別の営業先にも作業着で営業に伺ったところ、なんとやはり社長の警戒心が解け、しっかりと要望を聞き出すことができた。

それから友人は常に作業着で営業に行くようになったそうです。

なぜ、「作業着+地下足袋+頭にタオル」や「作業着」のほうが成約率が上がるのでしょうか?

また、どんな業種の人でも、「作業着+地下足袋+頭にタオル」や「作業着」で営業したほうがいいのでしょうか?そんなことはないですよね。

ここに、メリコの「リ」が潜んでいるというわけです。

「そんな単純なことで??まさか」

と思うかもしれませんが、人間のノンバーバル情報(非言語情報)からの影響を侮ってはいけません。事実かどうかに関わりなく、人間は見たものから影響され、評価してしまう生き物なのです。

 

今回はここまでです!

津久井

投稿者プロフィール

津久井 将信
津久井 将信
ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。

かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。

2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。

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