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  • 【第840回】お客さんは、もう「ググらない」―検索結果はもう◯%しか見られていない―

2026年10月30日 ブランディング マーケティング メールマガジン 所感 【第840回】お客さんは、もう「ググらない」―検索結果はもう◯%しか見られていない―

10月も終わります。ということは2026年もあと2か月。マジで早いですね。今年の正月のこととか、昨日のことのように思い出せますからね。

まさに、光陰ミサイルの如し。烏兎匆匆(うとそうそう)、涙そうそう(なだそうそう)。

そして、月日が流れるスピードと同じかそれ以上に早いのが、AIの発展です。

先週は、「AI?なにそれ食べれるの?」という方に向けて、AIの入門編としてコラムを書きました。

【第839回】今さら聞けない「AI」入門!(わかりやすさ重視!!)

今週は、AIによって「私たちそしてどうなるの?(ザ・マイクハナサーズ)」というお話をしてみたいと思います。

 

2025年末のAI予想、答え合わせ

昨年末に、やはりAIについてコラムを書きました。

そのときにチャッピーに聞いた話をざっくりまとめると、以下のようなものでした。

  • 世界的には一気に広がったと言えそう
  • AIを使用している組織は2024年の55%から2025年は78%と急進
  • 生成AIを少なくとも1つの業務機能で定常的に使う企業が2024年の65%から71%に上昇
  • 個人(働く人)の利用:知的労働では「日常化」が加速
  • 一方、日本では個人の生成AI利用率は「伸びたが、国際比較ではまだ低い」
  • 民間調査では、生成AIを使い始めた企業が25.8%(全社4.0%+一部部門21.8%)という推計が出ている
  • 組織ではなく個人で、業務で生成AIを「使っている/使ったことがある」は31.2%(2025年5月時点)など、現場レベルの浸透が確認できる
  • PwC Japanの5カ国比較は、日本企業は「一定の推進は進むが、期待以上の効果を実感できる企業は限られ、二極化が進む」と整理
  • 2025年の時点では「AIのせいで失業率が急上昇した」というマクロの証拠はまだ弱い
  • ただし「入口(新卒・若手・事務系)」の局所では変化を示す研究・報道が増加(アメリカ)

これが、2026年10月末の今だと、AIの回答はどのように変化しているのでしょうか?クロちゃん(claude)に聞いてみました。

要点をあえて3つに絞るとすると、2025年末の時点のチャッピーの分析は、

  • 失業の証拠はまだ弱い
  • 新卒など入口で変化が出はじめている
  • 成果を出せる会社と出せない会社、日本は二極化が進む

ひとつずつ見てみます。

【失業の証拠はまだ弱い】

これは、2026年10月末の現時点では当たっているそうです。

  • アメリカの解雇率は2026年6月時点で1.1%と、コロナ前(2019年平均1.2%)とほぼ同じで、解雇が増えているわけではありません。
  • 日本の完全失業率は、2026年8月時点で2.5%です。
  • 2024年・2025年の年平均もどちらも2.5%で、ほぼ横ばいです。AIの普及で失業率が上がったという動きは見られません。

つまり、AIが出てきたからといって大量失業は起こっていないということです。ただしこれは、「これからも起こらない」という意味では当然ありません。

そして、ちょっと気になることも情報としてでてきました。

  • 日本も「AIによる大量失業」は起きていません。ただし、日本は法律で解雇が厳しく制限されているため、変化が失業率に表れにくく、「早期退職」という形で出ているのが特徴です。
  • 東京商工リサーチの調査では、2025年度に早期・希望退職を募集した上場企業は46社で、募集人数は2万781人と、前年度の約2.5倍に急増しました。
  • 特徴的なのは、募集した企業の約7割が黒字だったことです。業績が悪いからではなく、将来を見越して人を減らす「黒字リストラ」が広がっています。
  • ただし、2026年1〜9月は22社・5,345人で、前年同期と比べて人数は半減しています。

今年になって早期退職は落ち着いたようですが、何かの足音が聞こえるような気がする。

また、ゲーム開発会社の先輩やストIIをつくった伝説のクリエイターの方のお話をお伺いしたとき、こんなことを教えてくれました(以前のコラムでもご紹介しました)。

  • アメリカでは「AIでつくったゲームはやらん!」という反AI的な人がけっこういる
  • なぜならAIによって解雇されたり仕事を奪われた恨みがあるから

ということは、「【大量】解雇」ではないけれど実際に仕事を奪われた人はいて、それはボディブローのように積み重なり、あるところでティッピングポイント(※)を迎え爆発しそうな気がします。

※ティッピングポイント(tipping point):小さな変化が積み重なり、ある境目を超えた瞬間に、全体が一気に大きく変わり始める転換点のこと

社員が少なくなったら、AIが営業して、その営業を受けるほうもAIとかになるんですかね。もう一部でそうなっているという話も聞きます。

そうなったらどうなるんですかね。売り込みたいAIと断りたいAIが戦ったらどうなるのか。

昔大好きだった「元気が出るテレビ」の「催眠術師vs催眠術師(先に相手の催眠術にかかったほうが負け)」みたいになりそう(笑)。

【新卒など入口で変化が出はじめている】

これもアメリカに限れば、予測が当たっています。

  • アメリカでは、会社が新しく人を雇う割合(採用率)が3.4%と、コロナ前の3.9%を下回っています。つまり「クビにはしないが、新しく雇わない」状態です。
  • アメリカの22〜27歳の大卒者の失業率は5.6%で、全体の4.2%を上回っています。以前は新卒のほうが低いのが当たり前でした。
  • 一方、日本は2026年3月卒の大卒就職率が98.0%で、まだこの変化は見えていません。
  • 日本は人手不足で隠れているだけで、いずれ同じことが起きる可能性があります。

まあ、日本は少子化ですからね。就職世代の人数は減っていくわけで、もし「就職氷河期」と呼ばれた我々(50歳)世代の就職のころにAIが登場していたら、就職率はやっぱり落ちたんじゃないかな。しらんけど。

【成果を出せる会社と出せない会社、日本は二極化が進む】

  • PwC Japanの5カ国比較は、日本企業は「一定の推進は進むが、期待以上の効果を実感できる企業は限られ、二極化が進む」と整理

と2025年末のコラムに載せましたが、これも当たっているようです。

  • 日本企業で生成AIを「活用中・推進中」は87%に達しました。
  • しかし、効果が「期待を大きく上回った」と答えた企業は9%で、6カ国の中で最低でした。

これ、なんだか不思議な現象の気もします。日本だけなんですかね?

たしかに私もAIをぶん回すようになってからのほうがなんだか忙しいです。自分でできると思ってやっちゃうことが増えたのかな?

もしかしたらここに人間にとっては一筋の希望があるかもしれません。

というのは、AIで代替できると思った仕事が思ったよりできない、または代替すべきではなかった、という可能性があるかもしれないと感じるからです。

AIの効果を実感できないのは、人にやってもらいたいからなのかもしれないということです。

これはあくまで私の仮説ではあります。しかし、それに近い話がスウェーデンであるようですね。

スウェーデンの決済会社Klarnaは、2024年に「AIが700人分の顧客対応をこなしている」と発表しました。しかし2025年、CEO自身がコスト削減を優先しすぎて対応の質が落ちたと認め、人間の担当者を再び採用しはじめました。

Klarnaは人を戻しただけでAIをやめたわけではないですが(簡単な問い合わせはAI、複雑な相談は人間、と役割を分けた)、ここに人間の必要性という希望を感じてしまう。

 

「AI部下」を持った会社が、あなたのライバルになる?

前回のコラムでお話ししましたが、これからはAIは「エージェント」の時代になります。

「エージェント」とは、「代わりに作業をやってくれるAI」です。

今までは調べごとくらいはやってくれました。「エージェント」は調べるだけで終わりません。

例で挙げたのは「出張」です。今までは「出張で泊まる博多のホテルを探して」みたいな調べごとしか頼めませんでしたが、今はホテルの予約までやってくれたりします。

カンタンにいえば秘書がいらない感じですかね。他にもプログラミングなんかも朝飯前ですし。提案資料をつくるとかもできます。

調査だけじゃなく調べたことの分析なんかもできちゃいますから、大手コンサル会社のアクセンチュアやマッキンゼーなんかはリストラの計画を発表していますよね。

【アクセンチュア】

  • 2025年9月、約1,300億円規模のリストラ計画を発表し、すでに1万人以上が減っています。
  • CEOは、AI時代に必要なスキルへの再教育が現実的でない人材の退職だと説明しています。AIを理由に明言した、最もわかりやすい例です。

【マッキンゼー】

  • 社員数は、2022年のピーク時の4万5,000人超から約4万人に減っています。
  • 報道によると、CEOは「人間4万人に加えて、AIエージェント2万体が働いている」と語っています。
  • さらに、顧客と直接関わらない部門の人員を、今後18〜24か月で1割減らす方針とされています。

アクセンチュアは社員の総数が増えていて、マッキンゼーも採用を増やす計画らしいです。コンサル会社は仕事自体は増えているんだとか。

つまり、AIが使えない人が会社から去っているということですね。そして残った社員のほとんどが「AI武装」された人たち。

コンサル会社に限らず、こういう人たちが競合になったらどうでしょう?

AIを使わないということは、鉄砲の時代に刀だけで戦いに挑むようなものです。いや、もしかしたら飛行機を竹槍で落とそうとするくらいのレベルかも。

「人間4万人に加えて、AIエージェント2万体が働いている」って、そういうことですよね。今までと同じやり方でこの人たちと戦います?

ちなみに、コンサルタントにAIを使わせたら、できないコンサルほど伸びたという実験結果があるそうです。

米ハーバード大学などが2023年にBCGのコンサルタント約750人で行った実験では、AIを使ったグループのほうが、こなした作業が多く、速く、質も高い結果になりました。特に、もともと成績が下位の人ほど伸び幅が大きく、上位との差が縮まりました。

ということは、コンサルタント間の競争も激化するわけですね。コンサルタントを雇う会社としてはいいことですね。アベレージが上がりますから。

で、今までの文脈だと「AIを使う会社」と「AIを使わない会社」の話のように感じるかもしれませんが、話は【会社】に限りません。

「AIを使う【人】」と「AIを使わない【人】(使えない【人】)」という切り口で考えたとき、当たり前ですが「AIを使わない人(使えない人)」は仕事にありつけないことになってきます。

カナダのネット通販プラットフォーム大手「ショッピファイ」の社長は、次のように言ったらしいです。

  • 「人を増やす前に、AIではできないということを証明せよ」

2025年4月に社員へ向けたメモで、「人や予算を増やしてほしいなら、まずAIではできない理由を示すこと」と求めたらしいです。AIを使いこなすことを、社員の評価基準にも入れています。

言い換えるならば、「採用のハードルが【AIより役に立つか】になった」ということです。

もし今あなたが転職するとして、面接官に「あなたはAIより役に立ちますか?」と質問されたらなんと答えます?想像すると空恐ろしいものがないですか?

まあ、「人数=会社の強さ」ではなくなったという話でもあり、我々中小企業の経営者にとっては、脅威でもあり希望でもある話なんですけどね。

 

お客さんは、もう「ググらない」

最近、お店や業者を探すとき、何を使いましたか?

私なんかは飲食店を探すときはまだ「食べログ」とかを見てしまうのですが、それ以外のなんらかを探すときはAIに聞くようになってきてしまいましたね。

今、検索エンジンの代わりにAIに聞く人がどれくらい増えているかわかりますか?サイバーエージェントの調査によると、

検索の手段として生成AIを使う人は52.3%と、初めて半数を超えました。

ということらしいです。年代別に見ると、

  • 10代:80.6%
  • 20代:61.0%
  • 30代:53.3%
  • 40代:50.2%
  • 50代:46.1%
  • 60代:39.6%

すげえ。。。10代とか、もはや検索エンジンを使ってないんじゃないかと思っちゃう。こんな形でGoogleが終わるとは。。。

いや、終わるとは限りませんけどね。もちろんすべてを生成AIに切り替えたわけではないので、まだ普通に検索エンジンも使われてはいます。ただ、Googleが脅かされていることは個人的には間違いないんじゃないかなと考えています。

検索エンジンの利用率はまだまだ高いには高くて、先ほどのサイバーエージェントの調査によると、2026年8月時点では86.9%あるそうです。

でも、2025年5月の時点では91.9%だった。この短期間で5ポイント下がるって、かなりすごいことだと思う。「併用している」とはいえ、検索エンジンを使う回数は確実に減っているはず。

ましてや、「指名検索(※)」ならまだしも、「調べごと検索」なんてもはや検索エンジンは使われていないのではないかと思います。

※指名検索:たとえば「ロゴ 作成」ではなく「ビズアップ」など固有名詞で検索してもらうこと

これにより、ネットの市場では何が起きているかというと、「検索数の激減」です。

実際に我々の市場でも起きています。先ほどのような「ロゴ 作成」といったようなワードでの検索が激減しているんです。そうするとどうなるか?

広告市場がインフレを起こします。

実は、ネット広告は基本的に「入札式」であることがほとんどです。

「検索エンジン」という池には、今までたくさんの「検索ユーザー」というお魚がいたわけですが、それが半分になったとしたらお魚の値段はどうなるでしょう?

こうして、顧客獲得コストが暴騰したり、注文の数が激減したりといったことがさまざまな業種、業界で起こっています。

「うちはネットで集客していないから関係ないや」と思ったら大間違いです。「とりあえずなんでもAIに聞く」という現象はもはや止まらないと思われるからです。

インターネットが出てくる前まで、「頭がいい人」の中に「物知り」「知識が豊富な人」も含まれていました。

しかし、インターネットの出現で、「知識の価値」は下がりました。記憶していなくても、ネットで調べれば済むからです。

この時代の「頭のいい人」は、「自分で考えられる人」でした。

ところが、AIの登場でどうなったか。「自分で考える必要すらなくなった」のです。

いや、実際は絶対に自分で考える力は必要だと思います。でも、「自分で考えなくてもよくない?」という人は確実に増える。AIこそが正解だと思い込む。

ということは、あなたの会社、お店、商品が「AIに認知されていない」としたら、相当にヤバいです。そもそも勝負の土俵に上がれてすらいないからです。

AIのおすすめをきっかけに商品を買ったりサービスを使ったりした人は、58.7%にのぼります(サイバーエージェント調査)。

それが見てきたように若い人であればあるほどそうです。ということは、数年後には選定や購入において、AIはもっと主流になります。

それでもまだ「AI対策、うちはしなくてもいいだろ」と呑気なことを言えるでしょうか?

ちなみに別の調査では、「検討していた会社がAIの回答に出てこなかった」経験がある人が64.8%もいたそうです。

もっといえば、AIに紹介してもらえなかっただけなら、まだマシかもしれません。

AIはユーザーの要望にある意味で応えようとしすぎます。小さな会社ほどネット上の情報が少ないため、要望に応えるためにAIが間違った情報で「穴埋め」してしまう危険が高いと考えられるのです。

だから、こちらからAIに情報を提供しにいかなければならない。

こういったリスクを考えると、正しく「AI対策」をするのは、人間が生命保険や医療保険に入るのと同様、ビジネスにおいての保険的な意味合いが強いです。

「AIでチャンスを掴む」というより、「AIで知らず知らずのうちに起こる機会損失を手遅れになる前に防ぐ」というのが、「AI対策」の意義でしょう。

我々の業界は「AIによる市場の混乱」がいち早く来ました。これを我々も今さまざまな施策で乗り越えようとしています。御社の業界にも必ず来ます。

試しに今、ChatGPTに「〇〇市でおすすめの△△(自分の業種)は?」と聞いてみてください。あなたの会社、出てきましたか?(怖)

 

今回はここまでです!

津久井

投稿者プロフィール

津久井 将信
津久井 将信
ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。

かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。

2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。

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