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2023年11月24日 コピーライティング デザイン ブランディング マーケティング メールマガジン 【第697回】やっちゃダメな事例:何県のプロモーションかわかりますか?

11月も最終金曜日、来週金曜日はもう師走。

気持ち悪いほど予想以上に10月から年末までが早い(速い)。

そして気持ち悪いほど忘年会の予定がつまっていて、無事に乗り切れるのかが不安です。

ここで体調を崩すとせっかくのお正月休みがパァですからね。気合とヘパリーゼで乗り切ろう。

ではコロコロニュースです。

テレビを使って戦争を起こす方法(4:40の動画)

 民主党政権時代には1本も飛んでいないらしい

戦争している国よりも人が死んでいます(母数が違うけど)

【未経験歓迎】ワク●ソを打ったフリをするだけのカンタンなお仕事です

そうなっていることは前から知っていたけど腹立つよね

打っていない人にも危険は及びます

飛行機乗るのちょっと怖いなー

まあ、アホですわな

さて、今日のお話です。

本日はですね、以前(5年前くらい)にもお話させていただいた内容でして、先日たまたま過去のコラムを読み返していたら、我ながらめっちゃいいこと書いてるやんと思い、加筆修正してリバイバル版でお届けしてみたいと思います。

簡単にいえば、ある都道府県のプロモーションを勝手に考察(=ダメ出し)してみるという企画です。

 

●クイズ「ポスターのデザインからこの都道府県がわかりますか?」

弊社芳村とビズアップの元社員と3人で、会社の近くで呑んでいたときのことです。会社の近所の魚が美味しいお店でした。

酒もすすみビジネス談義もお腹も一旦満たされたところで、店内のポスターに目が行きました。数枚貼ってあったのですが、そのポスターがひどかったのです。

どうひどいか。デザインがめちゃめちゃ??

いえいえ、むしろキレイなデザインでした。写真も上手でしたし。でもひどい。

さて、それではここでクイズです。

そのキレイだけどひどいポスターを見て、どこの都道府県か当ててみてください(画像処理で答えの部分を伏せています)。複数枚ありますが、すべて同じ都道府県のプロモーションポスターです。

ヒント1

どうです?もしこのヒント1でわかったら、このポスターの場所の出身者か当てずっぽうのどちらかだと思います。もしくはこのポスターを見たことがあるか(とはいえ5年前とかのですが)。

ヒント2

これはいかがでしょうか。これも地元の方なら当てられるかもです。

ヒント3

なんとなくわかってきましか?「美味しそうな何か」の写真を全面に使ったポスターです。

つづいて、ではこちらは?

ヒント4
 

「あれ?」ってなってます??次のヒント。

ヒント5

そろそろ混乱しているのではないでしょうか?私ならちょっとしたパニックになります(笑)。つづいてこちら。

ヒント6

ここにきて「おや?」となってませんか。上から2段目の写真はなんぞや?青りんご?なし?

さて、おそらくですが次の1枚をご覧になったらびっくりすると思います。この1枚をみればほぼほぼ答えがわかるのではないかと。

ヒント7

いかがですか?わかりましたか?そうです。この都道府県とはなんと。。。

「鳥取県」です!!!

当たりました?外したのではないでしょうか。外してしまうのも無理はありません。なぜなら。。。

 

●鳥取県と広告会社の犯した罪とは?

ではなぜこのポスターがひどいと感じたかについて解説してみたいと思います。

まず、このポスターをデザインした会社が鳥取県の会社ではなく島根県の会社という事実!(爆)

まあそれはいいんですけどね。でも、「地元の企業ががんばってつくってこうなってしまったのかな?」という「許せる拠りどころ」みたいなものが島根県の会社さんの仕事だと知った瞬間台無しに。。。

ただ、プロモーションのクオリティとは関係ないのでそこは一旦置いときましょう(衝撃的だったので伝えたかっただけ)。

ではなぜ「ひどい」と私が考えるか。

それはクイズにしたとおりで、おそらくポスターのデザインだけを見て(答えを伏せて)これが鳥取県の話だと認識できる人は地元の人以外ほとんどいない、ということです。

それと同時に、「これは何県のポスターなんだ?」という認知的不協和という心理効果を起こすような仕掛けもありません。

つまり、心になにも引っかからないキレイな写真とキレイなコピーで、これを目にした人の心を鮮やかに「素通り」していきます。

なぜなら、人には見たものから何かしらを感じてしまうという「デザインの無拒否性©」がありますから、ありがちなキレイな写真ときれいなコピーが仇となり、逆に「よくあるどっかの旅行誘致の広告ね」と瞬時に判断されてします。結果、記憶にまったく残らないわけです。

たとえば、カニのポスターは「福井県かな?」と思いませんでしたか?岩牡蠣なら「広島?それとも三陸?」という感じです。

温泉街のポスターなら関東であれば箱根や湯河原辺りかな?とか。

イカのポスターは福岡県かと思いましたし、大山(だいせん)のポスターも関東なら群馬や秩父辺りかなと感じてしまいます。

今回のポスターは悪い意味で「それっぽい」「なんとなく見たことある」ようなデザインになっています。キャッチコピーも「はいはい、大手の広告会社がつくりそうだよね」というものになっています。

このデザインを目にした人は、無拒否性により「よく見るイメージ広告」という印象しか持たず、おそらくこれが鳥取県だと認識する人はほとんどいません。鳥取県である必然性がないのです。

「うまい やっぱり君は 冬の王様 ーー鳥取県」というコピーは、「うまい やっぱり君は 冬の王様 ーー北海道」でも成立してしまう表現になってしまっているわけです。

女性に「私のどこが好き?」と聞かれて「うーん、髪質」とか言ったらぶん殴られますよね?「同じような髪質なら誰でもいいんかい!!」という言葉とともに鉄拳が飛んでくること請け合いです。

このポスターはそれをやってしまっているわけです。鳥取県でなくてもいいんです。

カニさえあれば、イカさえあれば、きれいな山さえあれば。。。

おそらくこれをつくった制作会社さんや鳥取県のお役所の方々は

【お役所】
「実は鳥取には魅力がいっぱいあるんだよね〜」
「でもみんなに知られていないんだよね〜」

【広告会社】
「ということはいろんなところ行かなくても鳥取にいけば全部体験できるわけですよね?」
「じゃあ、その魅力ひとつずつfeatureしましょう!」

こんな感じのやり取りがあったのではないかと推測します。しかし、

  • 鳥取であること
  • いろいろ行かなくても体験できる

ということは残念ながらこのポスターからはまったくと言っていいほど伝わりません。

なんなら、前述のように他の都道府県と勘違いを起こすデザインになっています。

だからひどいんです。

 

●津久井が考える、鳥取県の秘めたポテンシャルとは?

ではどうすればよかったのか?

たとえばですが、カニのポスターのキャッチコピーが次のようなものになるとまだマシです。

「福井県じゃないよ。私は何県でしょう??」

とかね。

質問形式にし、かつ最初の印象(福井県かな?)を否定する言葉を伝えると、人は思考してしまいます(認知的不協和を起こす)。答えを知らないと気持ち悪い。

ただ、

「カニならわざわざ鳥取に行かなくてもいいじゃん」

という心理を払拭することまではできないのでまだ弱いですね。ターゲティングをしっかりしないといけないです。福井に行くより近い、けどカニが食べられない県の人に訴求するとか。

他にも、こういう切り口はどうでしょう?

  • ワンストップでいろいろ体験できる
  • だからコスパがメッチャいい
  • 時間効率ももちろんいい

これらをコピーで表すと、たとえば以下のような感じ。

「時間がないなら鳥取へ ワンストップ濃縮旅行のススメ」

みたいなね。切り口を変えないといけないわけです。

歴史上、同時に2カ国以上と戦争をして勝利した国はないと聞いたことがあります。しかし、今回のポスターでは鳥取県は

  • 福岡と戦い(イカ)、
  • 福井と戦い(カニ)、
  • 三陸または広島と戦い(カキ)、
  • いろんな温泉街と戦い、
  • いろんな紅葉スポットと戦う。

というすごいケンカの売り方をしている。。。そうではなく、切り口を変えないといけません。

ところがですね。

ただのデザイン会社ってそういった「切り口から考える」ことが実は意外にも苦手だったりします(今回の仕事がデザイン会社の仕事なのか広告会社の仕事なのかは不明ですが)。

ただデザインが好きなだけなのと、クリエイティブな思考ができることとは違う、ということを、行政の方はじめ様々な方にそろそろ覚えていただいたほうがいいかなと。。。

さて、そんなアイデアを出しながらも、私個人としては鳥取県のポテンシャルは「美味しいものがある」とか「なんでもある」とかではないと実は思っていたりなんかします。

ここからは飛び道具的なアイデアになりますが、私は鳥取県は徹底的に「自虐広告」を打つべきだと考えています。

「自虐広告」とは、たとえば代表的なのは、雪国まいたけの商品、「雪国もやし」のCMなどが挙げられます。

普通のもやしよりも20円くらい?高いもやしで(たしか)、これをお笑い芸人のはなわさんが

♪雪国もやしはめちゃめちゃ高いからみんな絶対買うなよ〜

と歌うCMがいっとき流行りました。

これにより、雪国もやしはめちゃめちゃ売れたそうです。たしかにもやしって30円くらいですから、倍近いとは言えまだ50円くらい。

他にも「驚安の殿堂ドン・キホーテ」が家電を売り出したときのキャッチコピーが「その程度の機能なら、ドンキで十分だ!」でした。これもすばらしい。

このようにあえて良くないことを伝えてしまう手法を「自虐広告」といいます(さらに詳しく知りたい場合はこちら「【第667回】面白い!「自虐広告」の事例と分析」をご覧ください)。

さて、鳥取県は日本で一番最後にスターバックスコーヒーの店舗ができたことでも有名ですね。そして、スターバックスコーヒーがないことと鳥取砂丘があることから、スターバックスをパロった「すなば珈琲」が有名です。

他にもネットの世界では、実は鳥取県はこんな扱いを受けています。ここから一気にくだらなくなりますがご覧ください。

 

 

(出典はすべて:ボケて

くだらないのですが、実はこれが鳥取県に対して醸成されつつあるイメージです。これらを見て、どう思われますでしょうか?

これはですね、人間にたとえるとすると完全に

  • いじられキャラ

なわけです。それならばいっそのこといじられキャラを貫きとおしていじられまくったほうがいい。

  • 「鳥取いじり」

という言葉をつくってしまうくらい。日本初「いじられる県」。

だから、こんな他の県でも使っていそうなゆるキャラなんか使っちゃダメ。

出典はこちら

こんな「いかにも」なキャラクターなんか使うのではなく、こっちみたいなのを使わないと。

「トットリーゼット」、最高です(笑)。

鳥取県は「トットリーゼット」の権利をどうにか手に入れて使ったり、「ボケて」でもっといじってもらう。鳥取県の銭湯に協力してもらって、本当に壁の絵を「ラクダとピラミッド」にしてもらう。

このくらいやったほうが逆に鳥取県の認知と好感度ははるかにアップすると私は考えます。

ただ、そこから旅行者がどれくらい増えるかはまた少し考えないといけないですけどね。

鳥取県のお客さま、ぜひ行政の方をご紹介ください(笑)

 

今回はここまでです!

投稿者プロフィール

津久井 将信
津久井 将信
ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。

かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。

2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。

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