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長崎県に来ております。
リピートコンサルタントの一圓克彦氏や仲間たちと周る、長崎一周すごろく旅のため。サイコロを振って、出た目の数だけ進んでゴールを目指します。
ネタバレになりますのでここでは何も語れやしませんが、動画が公開されたらまたご紹介します。
先週のコラムでもお話しましたが、ご多分に漏れず、我々もチックトック(おじさん読み)がんばっております。
長崎一周すごろく旅の動画が公開されたら、切り抜きをチックトックにあげたいと思います。
そんで、月曜日からは海外に行って参ります。旅先はジョージア。ちょっと前までは「グルジア」って呼ばれていたヨーロッパの東のほうの国ですね。
私の所属する経営者団体では、年に1回は仲間内で研修旅行(主に海外)に行かなければならないという「鉄の掟」があります。休んだら罰金10万円也。
コ□ナが空けてからは、フィリピン(マニラ)、台湾、ジープ島(ミクロネシア)、スリランカあたりに行きました。
これもまたこのコラムで放浪記的にご紹介する予定です。
さて本題。
今日は「ネーミング」について。「ネーミングはコンセプトを内包できると強力なものになる」とお伝えしました。本日はそのあたりも含め、ネーミングについての考察をします。
しかも長いです。あまりに長いので2週にわけてお話しますね。
ネーミングの重要性
このコラムでは何度かお話していますが、ワタクシ休日は少年サッカー(小学生)のコーチをやっております。これが結構忙しくて、土日はまるまる潰れることもザラ。
それはさておき、サッカーのコーチをやっていて自分の時代との違いを感じることがあります。
それはいろいろなことに「名前がついている」ということです。
たとえば、サッカーにはドリブルで相手を交わして抜き去るときに使う「フェイント(ひっかけ)」というものがあります。
これ、いろいろなフェイントがあるのですが、その多くは私がサッカーをやっていた学生時代から存在するものです。
しかし、名前はなかったんですよね。
キングカズこと三浦知良さんが得意な、ボールを蹴るふりをしてまたぐフェイントは私たちの時代はそのまま「またぐ」とか「またぎ」とか呼んでいました。ところが、今は「シザース(はさみの意)」というネーミングがされているんです。
他にも
- ダブルタッチ
- マシューズ
- シャペウ
- エラシコ
- ヒールリフト
などなど。
フェイントの名前以外にもウェーブ(大回りして動く)とかギャップ(敵と敵の間)とか、さまざまな名前がつけられていることをコーチをしていると実感します。
私たちの時代はサッカー用語はせいぜい「スルーパス」という言葉(名前)が新しく出てきたくらいだったとうろ覚えですが記憶しています。
ワタクシのヒーロー中田英寿が試合でスルーパスを出しまくり、そのころ日本が初のワールドカップ出場を果たしたこともあり、「スルーパス」は一気に認知されることとなりました(※余談ですが私が組んでいたメジャーデビューしかけたバンド名が「スルーパス」でした。サッカー同好会のメンバーとつくったため笑)。
キャプテン翼が流行ったのは、「ドライブシュート」とか「タイガーショット」とか「スカイラブハリケーン(実際にやったらファール説あり)」とか、男の子が興奮する(何かしら感じてしまう)技の名前があったからだとマジメに思っています。
少し話がそれましたが、まあ名前をつける(名前がついている)ということは、現実のサッカーにおいてはそう多くなかったと思います。
さて、名前があることによってコーチである私にどんなメリットがあるかというと、それは
- 格段にコーチングしやすい
ということです。これが何を意味しているか。
それは言語化の重要性です。
ネーミングはすなわち言語化のひとつの手法であり、しかも上手なネーミングをつければ相手に格段に伝わりやすくなる効果を生みます。
考えてもみてください。インターネットで何かを検索するとき、名前がないものは非常に検索しづらい。
私たちがインターネットで多くのお仕事をいただけるのは、企業のシンボルに「ロゴマーク」という名前があるからです。これがあるから検索されて探してもらえる。
名前がないものはとても検索しづらいです。質問が文章になっているようなものは、検索エンジンではまだあまり検索できません。
生成AI の登場でやっと質問できるようになりましたが、ちょっと前まではヤフー知恵袋のような人的質問サイトで質問するしかありませんでした。
検索だけではありませんね。
子どもにお使いを頼むとしましょう。たとえば「かたくり粉」を買ってきてもらう。「かたくり粉」という名前を使わずにこれをやろうと思うとどうなるか。
「白い粉買ってきて」
もうこれだけでイリーガルな感じがしますが(笑)、「白い粉」は他にも
- さとう
- しお
- 小麦粉
などありますし、はたまた洗剤を買ってきてしまう恐れもある(場合によってはイリーガルなものも。。。)。
つまり、かたくり粉を買ってきてもらおうとしたら
「その白い粉は食べ物である」
「その白い粉は料理にとろみをつける」
という説明を付け加えなければならず、しかもスーパーに並んでいる商品のどれが食べ物でとろみを付ける白い粉なのかは、その場で体験できないからわかりません。もうコミュニケーションの量が膨大になり、めちゃめちゃになっちゃうわけです。そうすると生産性が著しく低下します。
「何をアタリマエのことを偉そうに語っているんだ」と思うかもしれませんが、逆に言えば御社はさまざまなことにどれだけ名前をつけられていますか?
商品やサービスの名前はもちろんのこと、会社で起こるさまざまな事象や社長の理論など、それらに名前がついている=言語化できている会社の生産性はできていない会社に比べ格段に高いはず。
名前をつけるということは相手に何かを伝える上でコミュニケーションの量を圧倒的に圧縮できます。
先ほどのかたくり粉の例ではかたくり粉の機能や特徴を伝える以上のコミュニケーションは特に必要ありませんでしたが、ネーミングには機能や特徴を伝える以上の情報量を伝える力があります。後述しますが、機能だけではなく、ある特定のイメージを持たせることもできます。
たったひとこと、短い単語でおどろくほどの情報を伝えることができる。コンセプトを内包した上手なネーミングにはこのような効果があります。
ネーミングによって、売上や株価だって変わる
ちょっとアカデミックな話になってしまいましたが、ネーミング次第で単純に売上や株価も変わります。
今では定番商品となった伊藤園の「おーいお茶」は、発売当初は「缶入り煎茶」という商品名だったそうです。
これを「おーいお茶」にしたら売上が6倍(40億)になったそうです。
ティッシュペーパーで有名なネピアという会社が出している高級ティッシュ「モイスチャーティッシュ」をご存知ですか?
「モイスチャーティッシュ」は、保湿性に優れているため鼻をかみ過ぎても痛くならない、そのかわり他のティッシュペーパーよりちょっと高いよ、という商品です。
これ、1996年くらいに発売されたようです。当時は高級ティッシュ市場も確立されておらず売れ行きはいまいちだったそうです。
ところが、ネーミングを変えたことによって売れ行きは3割増し、最終的には4倍にまでなったそうです。
それが今では多くの人が知っている商品、「鼻セレブ」です。
「ダイエットコーラ」は「コカ・コーラ・ゼロ」にネーミングを変えてから、欧州10カ国以上で「ダイエットコーラ」時代の売上を上回っているそうです。
ダイエットコーラ時代は以外にも長く、発売は1982年。2005年にネーミングを変えるまで23年も販売していました。
つまり、市場には十分流通され認知もされていた定番商品の売上がネーミングを変えただけで上回ったわけで、すごいことです。
ちなみに、男性購入比率が35〜40%だったダイエットコーラに対し、コカ・コーラ・ゼロは70〜75%だそうです。
つまり、「誰にとっての価値なのか」がネーミングで変わった事例でもあります。
古い事例だと、「ファミコン」などもネーミングの妙がありました。
当時のゲーム機は発売するとせいぜい10〜50万台くらいしか売れませんでした。「誰にとっての価値なのか」の「誰」が「子ども」だったからです。
ファミコンはネーミング(ファミリーコンピュータ)からもわかるとおり、「ファミリー」にとっての価値だと定義しました。結果、国内販売台数は1935万台だそうです。
当時の世帯数からいったら、すごい割合(もちろん一家に数台のパターンもあるけど)。1989年には全世帯の37%に普及したというデータもあるそうです。
老人夫婦しか住んでいない家も一世帯とカウントしますから、実際にターゲットになった世代に対しての割合だと60〜70%らしいです(チャッピーが計算)。そんな商品あります?って感じです。
「中古車」という呼び方を「認定中古車」と変えたのが「世界に誇るトヨタ自動車(たくろう)」です。この呼び方にしただけで、平均販売単価が10〜15%上がったそうです。
保険業界では「営業マン」の呼び方を「ライフプランナー」としただけで、ソニー生命は営業1人あたりの年間保険料が1.5〜2倍、解約率も10%未満という高水準になったそうです。
先日のコラムでお伝えした、ちょっと変わった「保護猫譲渡会」のお話、覚えてますか?
この保護猫譲渡会は、「シャーシャー猫」という人に懐きづらい、すぐに「シャー!」と怒る猫ばかりを集めた譲渡会です。
そのネーミングを「最強の保護猫譲渡会」とし、「上級猫飼いさん」をターゲットとしたことで、年間に1〜2匹里親が見つかればいいシャーシャー猫を、1回の譲渡会で8匹も里子に出すことに成功しました。
ちょっと変わったところでは、「ムーンウォーク」っていうダンスの技(?)、ご存知ですよね。
マイコー(マイケル・ジャクソン)の得意技ですよね。「ムーンウォーク」っていったら、ほとんどの人がどんな動きかパッと想像できるはずです。
しかしこの「ムーンウォーク」、実は開発したのはマイコーじゃないって知ってました?
ではなんでマイコーが開発したかのごとく語られるのか?
実はこの技はもともと「バックスライド」という名前だったんです。それをマイコーが「ムーンウォーク」と名付けた。
いや、マイコーが名付けたかは知らんけど、マイコーが披露したときには「ムーンウォーク」となっていたわけです。そして世界中に広まった。
これもネーミングの妙ですよね。
ちなみに、ネーミングは株価にも影響を与えます。
ベクトルという会社の西江社長という方は、クライアントや出資先の会社名や商品名を変えることで、その会社の株価まで上げることができる(実際に上げた)と以前講演でお話されていました。
ChatGPTにこれについて尋ねてみました。
西江さんは出資先・子会社のネーミングを
- 重い
- 説明的
- 古い
ものから、
- 短い
- カタカナ
- 子音が立つ
ものへ変えることで市場の評価(=PER)が上がる現象を作ってきました。
代表的なのは、
- 説明的な社名 → 「◯◯テック」「◯◯ラボ」「◯◯AI」
- 英語化・カタカナ化
- 2〜3音化
これは実際に社名変更IR後に短期急騰したケースが複数あります。
たしかに、西江さんの講演を聞いたときにこのようなことを言っておられました。
では、なんでこんなことが起こるのでしょうか?
これにひとつの答えを与えてくれるチックトック(笑)の動画があります。
@noutokokoro ♬ オリジナル楽曲 - 脳と心 - 脳と心
「流暢性の錯覚(流暢性バイアス)」という現象。脳は処理のしやすさを好感度と混同するというもの。
ネーミングに限らず、フォントが読みやすい、資料のデザインがきれい、ロゴが好きなどは、見る人に好感度を与えるわけです。
このコラムでは何度か伝えていますが、私は「わかりやすさ」がめちゃくちゃ大事だと考えています。
師匠である伊吹先生の「メリコの法則」も、「リ(理解できること)」が一番重要だと考えています(伊吹先生は「コ(好感が持てること)」が一番重要とおっしゃっていました)。
それは、脳の負担軽減のために起こるバイアスのせい、というわけです。
そりゃ、ネーミングが重要なわけです。
こんな例は実は枚挙にいとまがありません。私から言わせれば、飲食店のメニュー名なんて、ちょっと工夫しただけですぐに客単価を上げられます。
ネーミングの種類は3種類
さて、ネーミングの重要性のお話(「why」)から、少しずつ「How」のお話に行きたいと思います。
私が考えるに、ネーミングには3種類あります。
- コンセプト型ネーミング
- 語感型ネーミング
- ハイブリッド型ネーミング
ざっくりの説明をすると、
- コンセプト型ネーミングは「目で感じる」ネーミング
- 語感型ネーミングは「耳で感じる」ネーミング
- ハイブリッド型はその両方を持ち合わせたネーミング
です。もう少し詳しく見てみましょう。
【1.コンセプト型ネーミング】
「料理の鉄人」という人気番組をご存知でしょうか。今はもう放送されていませんが、3人の「鉄人」と呼ばれる料理人にさまざまな料理人が料理対決を挑む番組です。
この「料理の鉄人」がまさにコンセプト型ネーミングです。
「料理の鉄人」と聞くとなんとなくイメージが浮かびませんか?
- 男性っぽいな
- すごい修行を積んだ凄腕料理人
- なんか腕組みとかしてそう
- すごく厳しそう
このように「料理の鉄人」は「料理がものすごい上手な料理人」というよりも言葉は短いのにはるかに多くの情報量を含んでいます。しかも何らかのイメージを伴います。なので、耳から入るけど「目で感じる」ネーミングです。
「コンセプト」は私の定義では「イメージを言語化」したものです。なのでイメージ ≒ 画(え)や映像を伴うものがコンセプトになります。
以前、とんねるずの番組でやっていたコーナーで「キタナシュラン」というものがありました。これは「汚いけど旨い飲食店」を紹介するコーナーです。
「汚いけど旨い店紹介コーナー!」というコーナータイトルだったらどうでしょう。それと比べて「キタナシュラン」はどうですか?
おわかりかもしれませんが、これはあの「ミシュラン」をもじったネーミングです。そこには、本物の人や通の人が認めている、というイメージや格付けの最高峰感などが内包されています。
そして誰でも1軒ぐらいは知っているような汚くて旨い店が映像として浮かびませんか?
これがコンセプト型ネーミングです。
コンセプト型ネーミングは商品やサービスの名称にもなりますが、事象につけられることが多いかもしれません(詳しくは来週お話します)。
コンセプト型ネーミングでつけられた名前には、比較的男性が反応することが多いと考えます。
【2.語感型ネーミング】
以前、弊社スタッフが教えてくれました。「ギャランドゥ」の秘密について。。。
主に男性の体毛、特にへそ辺りの下腹部のオケケを「ギャランドゥ」というわけですが、そもそもこの「ギャランドゥ」はご存知かもしれませんが西城秀樹さんの歌の歌詞の一部です。

それがなぜ回り回って男性の下腹部のオケケを表すことになったのかは諸説あるそうですが(ユーミンがラジオで広めた説が有力)、この「ギャランドゥ」は作詞作曲をしたもんたよしのりさんが曲づくりの過程で勝手につけた意味のない言葉なんだそうです。「Gal & Do」ということのようですが、たしかに文法的には意味不明です。
しかし、もはや男性の下腹部のオケケは「ギャランドゥ」で定着した感がありますよね。意味がわからない言葉なのに。
これは語呂や語感から感じるイメージが「それらしい」から定着したと考えます。男性のオケケのイメージとギャランドゥの語感のイメージが「らしさ」でつながったということです。
このように「耳で感じる」ネーミングが語感型ネーミングです。
詳しくは来週お話しますが、子どもが食べそうなお菓子に「パ行」がよく使われたりします。
この語感型ネーミングはなにかの事象に名前がつけられるというよりも商品やサービス、ブランドなどのネーミングになることが多いです。
語感型ネーミングは女性と子どもが反応することが多いと考えます。
【3.ハイブリッド型ネーミング】
1と2を併せ持つネーミングがハイブリッド型ネーミングです。
実は先ほどお話した「キタナシュラン」などは正確にはハイブリッド型です。「シュラン」の部分に語感の良さを感じるからです。
この「キタナシュラン」、後にコーナー名が変わってしまいます。なんと「ミシュラン」からクレームが来たそう。「ミシュラン」とはひとことも言っていないのに「ミシュラン」だと感じてしまうわけですから改めて秀逸です。
で、改名後はどうなったかというと「キタナトラン」です。「汚い」と「レストラン」の掛け合わせ。
どうですか?「キタナトラン」よりも「キタナシュラン」のほうが語感がよくないですか?しかも「キタナ」と合わさると「トラン」が「レストラン」だと分かりづらいし。
イメージが浮かび(目で感じる)、語感の気持ちよさも感じる(耳で感じる)、なので「キタナシュラン」はハイブリッド型というわけです。
さて、1にしろ2にしろ3にしろ、ネーミングは「感じる言葉」になっているかが重要です。
考えて知覚するのではなく、感じてしまうということです。「料理にとろみを付ける白い粉」は考えて知覚することはできても何も感じません(まあ「かたくり粉」からも何も感じませんが)。
相手に感じさせたら勝ち。感じる言葉をつけられるかどうか、聞いた人がどのくらい自然と感じてしまうかが良いネーミングかどうかの指標となります。
長いですが来週もまたこのつづきを。それでは良い週末をお過ごしください。
今回はここまでです!
津久井
投稿者プロフィール
-
ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。
かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。
2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。
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