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6月16日。今日は私の父親の75歳の誕生日でもあります。
父親が自分の今の年齢(47歳)のとき、私は19歳でしたから、もう大学生でした。そこから75歳まであっという間。ということは自分のここから75歳までもあっという間なのでしょう。
それまでに、いやできればこの数年から長くても10年以内に、なにか大きな成果をあげたいと考えています。思っている以上に時間はない。
みなさんはどうですか?自分のビジネスマンとしての寿命があと10年しかないとしたら、この10年をどう過ごすでしょうか?
まあ、この10年は世界的に激動になるでしょうけどね。
というわけでコロコロニュース。手短に。
今日、LGBT法案が参議院を通過して成立してしまいますね。そんな日に、俳優の永山絢斗が大麻所持で逮捕という速報が流れてきました。
このように、メディアというのは政治的に突っ込まれたくない事案が発生したときに、国民の目をそらすためにちょっと盛り上がるネタを出してきます。これを「スピン報道」と言います。
私は今はテレビは「水曜日のダウンタウン」しか見ないのでわかりませんが、どうせ朝からこのネタで持ちきりなのではないでしょうか?これでいかに芸能人の不倫報道でどうのこうのとやっているのがくだらないか(放送するほうも見るほうも)わかるのではないでしょうか?
テレビ、捨てましょう。そうすればスポンサーもテレビ側にお金払わなくなるし。NHKも解約しましょう(うちもまだしてないけど)。
この2つを見てもらえれば、LGBT法案が誰の差金かわかるのではないでしょうか?マイノリティのため?そんなわけないでしょう。
というか本日のコロコロニュースはコ□ナのことでもなんでもないな(笑)。でも全部つながっているんですよね。仕組んでいるのは同じヤツらなんですよ。
それにしてもコロコロニュースだけでけっこう時間を取られます。何度も言ってますが、ちょっとずつ短くしていこうと思います。。。
では本題。
●「比較戦争」を知っていますか?
何らかの購買欲求が生まれたとき、ほとんどの人が
- 買うか買わないか
- 買うならばどれを買うか
を選択しなければなりません。
つまり、商品を提供している側からしたら「選ばれなければならない」わけです。
ビジネスの場は「比較の戦場」だと私は名付けています。
このコラムで何度かご紹介している、
- モノの時代
- デザインの時代
- 色(バリエーション)の時代
という、私の師匠の伊吹卓先生の理論があります。
「モノの時代」はまだモノが圧倒的に足りていませんでした。たとえば「食べ物を腐らせずに保存する箱」や「洗濯板を使ってゴシゴシこすらなくてもかんたんに洗濯してくれる機械」などが登場しはじめたばかりの時代がこの「モノの時代」です。
この時代は、とにかくつくれば売れました。「比較する」という行為はそれほどありませんでいた。「買うか買わないか」の選択があっただけでした。
しかし、売れるものはほどなくして競合商品が登場します。いくつもの競合商品が生まれてくると、消費者からしたら「買うか買わないか」だけでなく「買うならばどれを買うか」という選択を迫られるわけです。つまり比較されるようになった。
高度経済成長の時代において「比較の戦場」はどこだったかというと、そのほとんどが「売り場」です。通販なども当然ありましたが、ほとんどが小売店の棚で戦いが繰り広げられていました。店舗であれば繁華街が戦場。どの店に入るかを比較されます。
言い換えると、ほとんどが「モノ(サービス)が売れる現場」が戦場だったわけです。
この「戦場は現場」の時代を
★第一次比較戦争
と名付けています。本当の戦争で言えば、槍や刀で戦っていたような時代です。
そして1990年代後半から戦場が変わります。その戦場はインターネットです。現場に行く前に情報戦が繰り広げられるようになりました。当然、ネット上での通販も盛んになりました。
価格ドットコムに代表されるような比較サイトが多数出現し、比較戦争は熾烈を極めます。
この時代を
★第二次比較戦争
と名付けています。「銃」が発明されて戦争の様式が変わっていったことに似ています。
第二次比較戦争の特徴は、「選ぶ」ための情報収集に必要なコストが圧倒的に下がった点です。現場に行かなくても比較ができてしまうわけですし、ネット上では有益な情報もタダ同然で出ています(もちろん玉石混淆ですが)。
そして今は、
★第三次比較戦争
の時代です。これは「飛行機」が発明され、戦争において空中戦が行われるようになったことに似ています。
ここでの戦場は主に「SNS」です。またスマホの台頭も大きな影響を及ぼしています。いつでもどこでも比較ができてしまうわけです。
第三次比較戦争の特徴は、「売り手から以外の情報」が重要な鍵を握ります。
数年前ですが、仕事中に筋を痛めて首が回らなくなってしまったことがあります。街で美人さんとすれ違っても振り返れないほど重症でした(笑)
その様子を当時Facebookに投稿しました。すると、たくさんの人たちから
「どこどこの治療院がオススメです!」
「第一頚椎だけのカイロプラクティックがあるよ」
「鍼灸がいいんじゃないですか?」
「◯◯駅の◯◯治療院がいいよ!そこはね〜〜」
「△△に世界の名医100人のひとりがいますよ」
「自分でメンテナンスできる治療法があるよ」
という書き込みをもらいました。どれも信用できる人たちからの書き込みでした。信用できる人たちが自分が本当に一番だと思うものを情報として提供してくれる状況。
これって、すごく恐ろしくないですか?比較のレベルが超上っているわけですから。いろいろな競技の「チャンピオン大会」みたいな話です。たとえば、さまざまなクイズ大会のチャンピオンしかいない大会で予選を勝ち抜く自信はありますか?
さらに、選択のための思考力を失った人がインフルエンサーなどの言うことをすんなりと聞いてしまうという事態も多発しています。
現代はこういう状況なんですね。その中から選ばれなければならない。
しかし、第一次から第三次までかわらない本質があります。
それは、どの時代においても「選んでもらわなければならない」ということです。時代によって(もちろん商材によっても)「選ばれ方」が変わっただけです。
そこで、私が定義した「ブランディング」は「選ばれるための施策全般」となっています。
実際の戦争でも、槍や刀をもって戦争していた時代もあれば飛行機や核兵器が戦争の鍵を握っていた時代もあります。比較の戦争もまったく同じで、時代によって選ばれる場所(戦場)と選ばれ方(武器)が変化、進化しているわけですね。
●比較戦争を生き抜く方法
では、比較戦争をどのようにして生き残れば良いのでしょうか。つまり、どうやって消費者に選ばれれば良いのでしょうか。
その方法は2つあると考えます。ひとつ目が、
- 比較されたときに負けないように価値を高める
というものです。
すごく平たく言ってしまえば、人は「価値を感じたとき」に選びます。
ということは、「競合商品よりも価値があると感じてもらえるように、自社や商品の表現を磨き上げる」ということを行えば良いわけです。
では、価値を高める(磨く)ための具体的な手法や切り口はどんなものがあるのでしょうか?
- 実績を見せる
- 品質を高める
- 資格を持つ
- おまけをつける
- 価格を設定する
- 手に入りやすくする
- デザインを施す
- バリエーションを用意する
他にもまだまだあるかもしれませんが、ざっと挙げてみました。ちょっと解説してみます。
【実績を見せる】
実績が多いことにより、人はそれを選んでも失敗の確率は低いと感じます。「失敗を避けることができる」というのは、ほとんどの人や商材にとっては価値を上げるための重要な切り口です。お客さまの声を紹介するのはまさにこれに該当するといえます。
【品質を高める】
たとえば食品なら、競合商品よりもおいしいと感じてもらえるように品質を高めます。ラーメン店ならスープと麺の質を上げるとなるでしょうか。スマホならバッテリーのもちがいいとか使いやすいとかでしょうか。ごくごく一般的な「良い商品をつくる」に当たる部分でしょう。
【資格を持つ】
「影響力の武器」という本でも紹介されていますが、人は「権威」に弱いとされています。お医者さんや各士業の方々が信頼されやすいのはこのためです。テレビのインタビューやコメントでお医者さんが白衣を着ていたり弁護士さんが書棚の前で話をするのは権威を感じさせるためとされています。
【おまけをつける】
通販番組などでよくあるアレです。商品そのものの価値というよりもオプションの価値を付加することで全体の価値が高いように見せる手法です。
【価格を設定する】
安くても高くても意図のある価格設定には価値を感じやすいです。安ければ、お財布があまり痛まないという価値を感じてもらえますし、高ければ「品質が高い」と評価されやすくなります。「高いお金を払いたい欲求(ステータス)」を満たすという価値もあります。
【手に入りやすくする】
ある商品を手に入れるまでにかかる手間を「取引コスト」と言います。「手に入りやすくする」とはまさに取引コストを下げることを意味します。代表的なものが自動販売機。スーパーまで行けば88円で買えるペットボトルのお茶が自動販売機では120円で売っていても、喉が乾いている人にとっては価値が高まった状態となります。
【デザインを施す】
人間は美しいデザインのものを価値が高いと感じる心理が働きます。これをデザインの「期待効果」といいます。逆に言えば、商品の機能が超よくてもデザインがその価値を落としてしまう危険性もはらんでいるということです。また機能よりもデザインが優先されることもあります。家具などは機能性よりもデザイン性が優先されがちな商品です。
【バリエーションを用意する】
「色の時代」の人々の心理は、「みんなとまったく違うのはイヤだけどまったく同じのもイヤ、ちょっと個性を出したい」というものです。色の時代に突入した業界や商品はバリエーションを出すことで価値が高まることがあります。
●差ではなく違いで勝負する
比較戦争を生き抜くためのふたつ目の方法は、
- そもそも比較されないようにする
です。「え?」ってなりますよね。たしかにこれは非常に難しいです。ただ、理論的には可能です。
たとえば、3つの時代の「モノ」の時代になぜデザインが重要ではなかったかというと、それは比較されなかったからにほかなりません。
つまり、「新しいモノ」をつくることができれば、比較はされないということです。
iPhoneが出たとき、ほしいと思っていた人はそれまでのガラケーとどちらが良いかなと比較したでしょうか?そういう人も中にはいたかもしれませんが、ほとんどが何かと比較して、つまりロジカルに考えてiPhoneを選んだわけではなかったはずです。
しかし、実際にはこのようなまったく新しい商品により市場を創造することは現実的ではないでしょう。そこで、「比較されづらい」ということでお話をつづけてみたいと思います。
比較されづらくなる方法、それは
- 差ではなく違いで勝負する
です。どういうことか。
多くの企業やお店が、競合商品と「差」で勝負しています。たとえば、「向かいのラーメン屋よりもうちの【ほう】がおいしい」とか、「競合の◯社の製品より、当社の製品の【ほう】がいくら安い」などです。
私はこの「差ではなく違いで勝負する」という話をこのコラムで10年以上前から言っておりますが、最近のYou Tube広告にて、スティーブ・ジョブズも同じようなことを言っているみたいで、「なかなかやるやんけ」と思っております(笑)。
- 美しい女性を口説こうと思った時、ライバルの男がバラの花を10本贈ったら、君は15本贈るかい??そう思った時点で君の負けだ。
でもまあ、そういうことです。ライバルの男がバラをプレゼントしたら違う花を、もしくは花ではないものをプレゼントすべきなんです。
どんな些細なことでもいいので、競合との違いを出せるかどうか、これが比較戦争で「比較されづらくなる方法」です。ちょっと例を出してみましょう。
キリンビバレッジの「生茶」という商品があります。
当時、伊藤園の「おーいお茶」がダントツで売れている中で、「生茶」は「おーいお茶」よりもおいしいお茶ですというメッセージではなく、「あえて苦味を活かしたお茶です」という明確な、かつ体感できる違いで勝負をしかけました。
結果、大ヒット商品かつロングセラー商品となりました。
実は、キリンビバレッジは「生茶」よりも前に、同じ方法で大ヒット商品を生み出しています。それが「午後の紅茶」です。
「午後の紅茶」も「差」ではなく「違い」で勝負した商品でした。
当時の缶紅茶の市場はほとんどがリプトンの独壇場で、40代以上であれば黄色いリプトンのスチール缶を覚えている方も多いと思います。
味は覚えていますか?私ははっきり覚えています。とにかく「甘い」。でもそれしかないから、誰もが「缶の紅茶はそんなもんだ」と思っていたことと思います。
そんな中、「リプトンの紅茶よりおいしいですよ」ではなく、「甘さ控えめの紅茶ですよ」というメッセージとともに売り出されたのが、「午後の紅茶」です。
午後の紅茶はまたたく間に大ヒットしました。ジュース類をめったに飲まない、飲ませない家庭だった我が家(体にあまり良くないから)でも、午後の紅茶だけは1.5リットルのペットボトルでよく買っていました(当時は2リットルではなく1.5リットルのペットボトルが主流、500mlもほとんどなかった)。
「午後の紅茶」というネーミングもいいですよね。よくよく考えると「アフタヌーンティー」を直訳しただけっぽいにも関わらず(笑)
他にも「ウォークマン」や日清食品の「カップヌードル」、初代iPodなども「差」ではなく「違い」により大ヒットした商品です。
ただし注意点があります。その「違い」がユーザーのメリットになっていることが望ましい、というです。
以前、高級なお寿司屋さんに行きました。美味しかったですが、正直、他の高級なお寿司屋さんとどちらがいいかと言われると判断できませんでした。つまり味に違いと呼べるほどの圧倒的な差はなかったということです(私がバカ舌なのかもですが)。
で、そのお寿司屋さんは大将がルイヴィトン好きなのか、ヴィトンのフェイスガードをつけていたり、ネタケースがヴィトンのモノグラムスーツケースで、マグロのブロックとかそこから出てきたりしていました。
たしかに他のお寿司屋さんにはない、明確な「違い」でした。印象にも残った。でもその違いは食べる人にとって意味があるのかと言われると。。。
ということなんです。その「違い」が消費者のメリットになるのか。
生茶や午後の紅茶は「新しいおいしさ」を提供しました。ウォークマンは外出先で音楽が聴けるというメリットを、カップヌードルなら外出先で(丼を持ち歩かなくても)気軽にラーメンを(スタイルの提供)、iPodならCDやカセットテープを持ち歩かなくても、こんなユーザーメリットがある「違い」をそれぞれ生んでいたわけです。
さて、ではどうすれば「違い」を出せるのでしょうか。いくつかあると思いますが、ここでは3つ挙げてみたいと思います。
- 手に入りづらくする
人は手に入りづらいものに高い価値を感じると言われます。高価なものはもちろんのこと、レアなアイテムを手に入れたいと感じるのは「希少性」に反応しているためです。
究極の「希少性」は「この世にひとつしかない」です。ひとつしかなければ比較されません。そして、その商品に本当に「違い」があるかどうかに関わらず、人は「違うはず」とイメージを補完してしまいます。
「数量限定」などはこの希少性を使って価値を高めている例です。「数量限定」と言われると、他に似たような商品があったとしても、比較する気持ちが弱まると感じませんか。
- 専門特化する
不思議なもので、普通のパン屋さんにも食パンは売っているにも関わらず、「食パン専門店です」と言われた途端に人は勝手に普通のパン屋さんの食パンとは「違う」と思い込みます。これも人間の「補完の原理」がうまく働くわけです。
私たちも「ロゴ専門のデザイン会社」とうたっています。他のデザイン会社と「違う」と認識してもらうためです。他にもたくさんの「他との違い」を散りばめています。
なお、「専門特化」のすばらしいところは、専門特化することでたくさんのノウハウやデータが溜まり、「差」でも勝負しやすくなるということです。
- ターゲットを変える
ブランディングを考える上で重要なのが、ターゲティングです。言い換えるならば、「それは誰にとっての価値なのか(誰にとっての価値を提供するのか)を考える」ということです。
ある人たちにとっては価値がないと感じるものでも、別のある人たちにとっては価値を感じるということは往々にしてあります。
わかりやすい例は、「海外の人」です。日本人にとって当たり前のものでも、彼らにとっては価値が上がります。それは、彼らの国にはそれがないからです。彼らの中では、それは「モノの時代」なんです。
たとえば、外人さん向けの銭湯がいっとき流行りました。シャワーしか浴びない彼らにとっては、明らかな「違い」です。「料理」などもわかりやすいですね。
さて、「人間関係を使う」というのも、実は比較されづらくなる方法としてかなり強力なものでした。
仲のよい人からの「紹介」、信頼している人からの情報は比較されづらいですよね。また、有名人が紹介している商品なども同様でしょう。
ところが、最近はどうでしょうか。
話が振り出しに戻るようですが、第三次比較戦争では、SNSをとおして信頼できる人たちのバラバラな意見が一度に集まり、比較されてしまうという現象が起きているわけです。
今回はここまでです。
津久井
投稿者プロフィール
-
ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。
かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。
2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。
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