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2021年08月27日 メールマガジン 人間の能力 法則・ノウハウ 【第589回】クリエイティブ思考を学ぼう(2)真のクリエイティブは〇〇から生まれる

8月も終わりますね。ということは今年の3分の2が終わるということです。

世の中は相変わらずですがみなさんはどうお過ごしでしょうか。

さて、今週は本編が長いので、コロコロニュースは軽めです。こんな情報があるよ、程度にお伝えします。

Facebookのある投稿より

ここに書かれていることはすでに1年半前くらいに私自身も突き止めていたのですが、話す相手を選ぶなということはもちろん感じておりました。

ここに書いてあることすべてが本当とはいいませんが、すべてがウソだとするのもまた乱暴な話です。そもそもコ□ナ禍の前から知られていたことも多くありますし。「ふーん」といった程度で構いませんし、ファンタジーの一種だと思ってもらっても構いません。情報のひとつとして見てみてはいかがでしょうか。「信じるか信じないかはあなた次第です」(笑)。

そして、アフガニスタンに多大な貢献をしながらも武装勢力の凶弾に倒れた中村哲先生のお言葉(画像はネットより拝借)。

さて、先週のお話は「インプットとアウトプットについて」でした。

  • 人は無意識のうちに何かしらをインプットまたはアウトプットしてしまう(思考もアウトプットのひとつ)
  • インプットよりもアウトプットのほうが大切
  • インプットとアウトプットは上限があるため、インプットが多くなればアウトプットが減り、逆も同様(インプット+アウトプット=24)
  • インプットしかしていないとアウトプットのできない頭になる(インプットばかりすると人はバカになる)
  • さまざまなアウトプットをたくさんして(量と種類)アウトプットできる頭をつくろう
  • 質の良いインプットに時間の長さは関係ない
  • 質の良いインプットはアウトプットが教えてくれる
  • テレビを見たりスマホを触る時間を減らそう
  • 「なぜ?」と考えるクセをつけよう

こんなお話をさせていただきました。そして、クリエイティブ思考とはアウトプットが源泉だよ、と結論付けさせていただきました。

今週もクリエイティブ思考について。

クリエイティブというと、デザインや芸術の話を思われがちですが、クリエイティブな思考、発想とは仕事、生活のさまざまな面で現れるものです。

もし、クリエイティブがデザインや芸術の話に限られるのであれば、私が過去にバンドでデビューしかけたり、今デザイン会社をやっている説明がつきません。なぜなら、私の学生時代はデザインや芸術とはほど遠かったからです。中学の通知表を見返すと、

  • デザイン会社を経営しているのに美術の成績が「2」
  • 本気でバンドをやっていたのに音楽の成績が「2×(バツ)」

でした。。。ちなみにいまだに楽譜はほぼ読めません。

しかしこの「クリエイティブ」っていうのはそもそも何なんでしょうね。

 

●クリエイティブは「自由」ではない

「クリエイティブ」っていうと、

  • 自由な発想
  • 斬新な発想

というイメージがありませんか?

辞書でクリエイティブを調べると、「創造的、独創的」だそうです。また、「クリエイティビティ」という言葉がありますが、「創造的なこと、創造性、独創力」ということで、クリエイティブの名詞がクリエイティビティだということです。

「彼はクリエイティブだ」は「彼は創造的、独創的だ」ということになり、「彼がつくったものはクリエイティビティが高い」であれば、「彼のつくったものは創造性が高い、独創力が高い」ということになります。

独創的、創造的という言葉が自由なイメージを生むのでしょうか、はたまたつくるものが斬新だから自由なイメージを持たれるのでしょうか、とにかく「クリエイティブ」は自由の象徴のように使われることがあります。

なので、クリエイティブになれない、クリエイティブな発想ができない人の一部は、それを「自由ではないから」「自由にやらせてもらえていないから」だと主張します。

しかし、私はこの考え方でいる限り本当の意味で「クリエイティブ」には到底なれないと思っています。

なぜなら、「クリエイティブは制限から生まれる」からです。自由とはある種逆の環境がクリエイティブな発想を生みます。

多くの人がここを誤解します。自由な発想こそがクリエイティブだ、クリエイティブは自由な環境が生むと。違いますね〜。制限があるからクリエイティブになれる、こっちが正解なんです。

どういうことか。

絵画などは、2次元(グラフィック)で何かを表現するという制約があるから、その画法や技術が「クリエイティブ」になるわけです。

「猫」を表現しようと思ったときに、ただ単に「猫」であることを伝えるならば写真で十分です。しかし、画(え)で表現しなければならない、という制限がかかったときに猫の表現方法が考え出され、そこにクリエイティブが存在します。人によっては写真のように緻密な猫を描くかもしれませんし、はたまたものすごく抽象化されているのに猫だとわかる絵を描くかもしれません。どちらもクリエイティブであることには違いありません。

しょうもない例えですが、修学旅行で先生にバレずに女の子の部屋に行きたいと思った途端、どうすればバレずに忍び込めるのか、という考えを持ちはじめるようなものです。そこで考えつく方法もある意味クリエイティブです。学校を卒業してしまうと、女の子と旅行に行ってもそもそもバレるも何もないから考える必要性すらありません。そこに制限はありませんから。

少し手前味噌ですが、我が家の子どもたちは比較的クリエイティブな子たちだと思います。発想も面白いですし、何かを描いたりつくったり考えたりするほうです。特に長男(中3)の発想力や創作力はなかなかのものです。美術の課題を見れば、美術の成績が2だった私では到底足元にも及びません。

では、私が彼らに何をしたか。クリエイティブについて教えたり、デザインの講義という「インプット」をしたことは一度もありません。上手に制限をかけただけです。

小さいころは、テレビで仮面ライダーを見れば変身ベルトのCMが流れ、当然のように子どもは「買ってくれ!」というわけです。それに対し私は買い与えることはせず、「つくろうぜ!」といってダンボールとハサミ、マジックを持ってきて一緒につくったりしました。

当然ですが、ダンボールとハサミとマジックでつくる変身ベルトなどはたかが知れています。ダンボールとハサミ、マジックでは制限がありますから。でも制限があるから創意工夫がはじまるんですね。あるときなどは私の知らないところで卵の空きパックをつかってベルトをつくっていて、思わず感心してしまいました。

この場合、つくったものの仕上りや出来栄え、つまりアウトプットの質にはまったくこだわりません。アウトプットすることこそが大切です(アウトプットの量と種類)。こういった制限をかけた結果、子どもたちはものづくりが好きになり、得意だという意識も持つようになりました。

ちなみに我が家は壁にシート状のホワイトボードを貼っています。ホワイトボードは宿題でわからないことがあったときに聞いたり、好きな絵を書いたり、家族でクイズを解いたりとさまざまな用途で使われています。

私が子どもに買い与えるものは、本(マンガ含む)、またはアウトプットするためのなにか(紙やペン、工作道具など)がメインです。ホワイトボードもそのひとつ。こういうものはほしいといえばいくらでも買い与えます。仕方なくゲームを購入するときもありますが(汗)。

さて、どんな仕事でも「クリエイティブ」、「クリエイティビティ」は存在します。

たしかに「クリエイティブな仕事」というものはあると思います。我々のようなデザインの仕事はその最たるものだと思います。だからといって、クリエイティビティが発揮できない仕事があるかというと、私はないと思います。

  • 仕事がクリエイティブな種類ではない
  • 自由を与えられてない

だからクリエイティブになれない、クリエイティブな人でいれない。もしこう考えている人がいたら、それは大間違いだということを知ってほしいです。

不自由だからクリエイティブになれる。なので、本当にクリエイティブな人は、「自由にやらせてほしい」ということは私の経験上ほとんど言いません。「自由にやらせてほしい」という人ほど、そこにかかる制限に立ち向かうことをせず、結果から目を背ける傾向にあります。そういう人に組織をメタメタにされた経験もあります。

 

●制限だらけだった社会人時代

武勇伝のように聞こえてしまうかもですが、ちょっとだけ私の昔話をさせていただきます。

私は大学卒業後、新卒でデザインと印刷の会社に入社しました。そこでその会社のT社長の目に留まることに成功しました。社長に「選ばれる」ための施策(セルフブランディング)が成功していたので、ある意味狙いどおりでした。

思い返すと、当時の私こそ「クリエイティブ=自由」という勘違いを強くしていたタイプだったかもしれません。

入社3ヶ月したころです。T社長が独立する前からのクライアントを「津久井に引き継ぐ」と言いました。社長が10数年、誰にも引き継ぎたがらなかった、その会社でもっとも売上の高い最重要クライアントでした。承認欲求も満たされ、やる気もみなぎりました。

しかし、引き継いですぐに社長に言われた言葉が次のものでした。

「お前は、わしのロボットになれ」

バンドをやっていたし、自由な発想が大好きだった私はこの言葉を言われてそれなりにショックを受けました。そして実際に、言葉だけでなく本当に強い制限の中で仕事をすることになったのです。どんな制限があったか。。。

T社長は普段は名古屋の本社にいます。東京支店の私のもとには、毎日20回くらいT社長から電話がかかってきました。

「あれはどうなった」
「この件は進めているだろうな」
「あれも調べておきなさい」
「すぐに〇〇さんに連絡しなさい」

T社長の許可がなければ、見積書ひとつ、仕掛り書ひとつ、お客さまに提出することができませんでした。

さらに、その会社は当時はまだまだアナログ環境でパソコンなども十分にはありませんでした(営業6人で1台しかなかった)。順番待ちしてやっとパソコンを触れると思いきや、お客さまから電話がかかってきて、対応している間に先輩に使われているという、今思うと信じられないようなことも毎日でした。

印刷物の見積りを出すには、まず原価計算をします。この方法は社内で決まっていてみんなそのとおりに行っているのですが、私の場合はお決まりの原価計算をしただけでは社長の決裁はおりませんでした。

過去の似たような案件を探し出し、その価格との比較を何通りも行い、それを名古屋にいるT社長にFAXで送り、電話をしてお伺いを立てる。価格が決まった後も手書きで見積書を作成し、その内容に不備がないかをまたFAXを送ってT社長に確認。というのが私の「見積り作業」でした。

前述のとおり、パソコンは十分になく、会社全体の管理体制がアナログのため、過去の実績は紙の書類を全部ひっくり返してひとつずつ見て探さなければなりませんでした。他の人の倍以上かかることはザラでした。

こういった条件の中で、お客さまから「急いで見積り出してほしい!」という要望があったときにはまず何をするか。いきなり原価計算をはじめたりはしません。

まず、名古屋本社に電話します。そこで仲良しの経理の先輩にT社長のスケジュールを聞きます。社長に外出の予定がある場合は、それまでに先ほどの原価計算と実績からはじき出した売り価格を仕上げ、名古屋にFAXを送ります。FAXを送ったら、すぐに名古屋に電話。先ほどの先輩にFAXの前に立っていてくれとお願いし一旦電話を切り、1分後くらいにすぐにT社長宛に電話をして決裁を仰ぎます。こうしないとお客さまの希望の時間までに見積書を出せないわけです。

ちなみに、商品点数はオンシーズンだと100点くらいあり、すべてとは言いませんがほとんどがこんな調子で見積りを作成していました。

もちろんその他にもデザインの仕事もあります。文字校正の仕事も100点×数バリエーション行い、それらの商品の請求関係の書類もすべてつくらなければなりませんでした。

また、印刷物の在庫管理もしていましたので、在庫を切らさないように仕掛りのタイミングを見計らって工場に発注をかける必要があります。Aという商品があれば、それを生産しているクライアントの全国の工場の購買部に連絡を入れ、日にいくつくらい生産しているかをお伺いし、日産数と印刷物の在庫数から残り日数をはじき出し、それをまた社長に根拠とともに説明し、追加仕掛りの決裁をもらいます。前述のとおり管理している商品数は100点くらいあります。

請求のために経理に回す書類は、この100アイテム×それを納品しているクライアントの工場分あります。請求はお客さまの本社一括ではなく、納品しているクライアントの工場に立てなければならなかったからです。パソコンがないときは、請求先だけ違うこの似たような書類を手書きですべて書いていました。

新しい仕事の話やデザインの修正の話などをいただくため、クライアントのもとには毎日3〜4回訪問しなければなりません。新卒3ヶ月目から、仕事は連日、夜10時11時は当たり前。金曜日は我慢できずに呑みに行くぞとなっても、早くても夜9時とか10時とかからスタート。そういうときはだいたい翌日の土曜日も仕事しに会社に行っていました。

こんな出来事もありました。入社して半年くらい。

その日はクライアントからの電話もT社長からの指示も比較的落ち着いていたのですが、先輩がクレームを出してしまいました。検品作業が必要だったため、その処理にもうひとりほしいと社内で話が出ました。私は普段お世話になっているし、先輩を助けられるチャンスだと思い、支店長に許可を取って先輩と客先に行きました。

すると、私が会社にいないことにT社長は激怒し、先輩と支店長を怒り飛ばしました。誰の許可で津久井を勝手に動かしとるんだ!!と。そしてその後、ものすごく書き殴られた文字で

「津久井を動かす時は社長の許可を取ること!!!」

と書かれたFAXが誰宛ともなく届いたようで、私は翌朝、壁に貼ってあるそのFAX用紙を見てゾッとしました。

外出からちょっとでも帰りが遅いとすぐに携帯に電話がかかってきますし、メモが取れる環境かどうかなどお構いなしで指示を飛ばしてきます。

質問されたときに外出先で資料が手元にない状態で回答に窮していると、「そんなことも覚えておらんのか!」と怒られます。どんな状況下でも質問には即答できなければなりません。

もちろん、こういった経験が今の自分をつくっており、ものすごく感謝をしています。が、ひと言で言えばものすごい制限の働いた環境で仕事をしていたということです。

私がこの状況を打破するために行った、いわゆる「工夫」はいくつもあります。

  • 書類の管理方法
  • 書類作成時の時間短縮方法
  • 社長の指示を先回りする方法
  • 大量のタスクの管理方法
  • 営業として結果を出す方法

とにかくこのきつい制限下でも、

  • なるべく早く家に帰り
  • 土日も出社せずにすみ(その会社の営業はほとんど土曜日か日曜日、または両方に休日出勤していた)
  • 社長に怒られることなく
  • 結果をきちんと出す

これらをクリアするためにどうすればよいか、ということがクリエイティブな仕事の進め方のスタートとなる考えでした。

大学まではパソコンが大の苦手でネットもまともに使ったことがない、卒論もパソコンではなくワープロで書いた私は、まずはパソコンスキルをあげつつ、自分の仕事のフローにどう絡ませれば状況が改善するかを考え、結果、オリジナルのデータベースシステムを構築してしまいました。

これにより、過去の案件は紙をひっくり返さなくても検索で一瞬で呼び出すことができ、似たような書類は複製することで圧倒的に作成時間が減りました。

サイボウズやグーグルカレンダーなどのスケジュールソフトがない当時に、日々のタスクやスケジュールを管理するツールをデータベースソフトを使って構築。どんな文献を読んでも答えがなく、詳しい先輩に相談しても「今の技術ではそれはムリ」と言われていた日付と曜日に関するプログラムを関数を駆使して自作してしまったほどです。

また、一日の営業にかかる移動時間をすべて計算したところ、移動だけで日に3〜4時間かかっていました。これは、その日に提出予定のデザインが出かけるまでにあがっていないために、客先に一度行ってもデザインを受け取りにまた事務所に戻る必要があったために起こっていました。

そこで、デザインの締切は必ず時間ではなく日にち単位で区切るようにしました。「10日の15時までに仕上げて」ではなく、「10日中に仕上げて」または「11日中に仕上げて」という形にし、営業先で提出するデザインはその日の朝出社したときにはすべて手元に揃っている状況にしました。

これで、いちいち会社に戻らずともお客さまのところに一度に回れます。これによって、1日の営業にかかる移動時間は2時間にすることができました。

結局、私がつくったデータベースは数人の後輩の目にも留まり、後輩用にカスタマイズしたものを私が提供する、みたいなことがはじまり、それにより会社側も無視できなくなり、ひとり1台のパソコンと全社的なシステムを導入することになったのです。

クリエイティブとは本来こういう制限下で発揮されるものだと思います。そして、デザインやキャッチコピーを考えることだけがクリエイティブではなく、どんな仕事でもクリエイティブに行うことはできる、という持論を持つことがこれらの経験からできました。

多くの人が「自由にやらせてくれ」というとき、制限に立ち向のではなく制限から逃げたいと思って言っていることがほとんどです。

しかし、制限から逃げていたら絶対にクリエイティブになれません。

ユニクロだって、お客さまにどうやって安く商品を提供するか、という制限があるからイノベーションを起こせたのです(今ちょっと人権問題で印象が良くないですが。。。)。Amazonだって制限だらけの環境をどうクリアしていくかを徹底的に考え抜いて今の形になったはずです。

 

●制限が生み出す2種類のクリエイティブ

ところで話は変わらないようで変わりますが、クリエイティブには2種類あると思っています。

  1. 制限のもとで最大のパフォーマンスを出すためのクリエイティブ
  2. 制限の外に新しいものを創り出すクリエイティブ

サッカーで例えてみましょう。

サッカーは、足を使って行うスポーツです。というか正確には「手以外」を使って行うスポーツです。

この制約条件のもとで試合に勝つために、選手はボールコントロールの訓練を行い、パフォーマンスを上げようとします。You Tubeなどで見てもらうとわかりますが、ボールコントロールのうまい選手のドリブルやパスは文字通り芸術的です。そして、ボールコントロール以外の面で制限下でも試合に勝つために考えられたのが「ポジション」「フォーメーション」などの戦略、作戦です。

11人で手を使わずにいかに相手より多くの点を奪うか、この制限のもとさまざまな技や戦略が「創造」されました。

これが「1.制限のもとで最大のパフォーマンスを出すためのクリエイティブ」です。

そして、この「手を使わずに」という制限があったからこそ、この制限をあえてやぶる人が出てきました。ボールを手で持ってゴールまで走るというルールムシの人が現れたのです。

実は、これが「ラグビー」の起源だと言われています。制限をムシすることで新しいものが生まれたということですが、制限がなければムシもなにもありません。「2.制限の外に新しいものを創り出すクリエイティブ」はこれに当たります。

「イノベーション」と言われるとき、ほぼほぼこの2に当てはまっていると私は考えています。

しかし重要なのは、どちらもやはり「制限があるから」生まれたものだということ。

絵画もそうです。

前述のとおり2次元で表現しなければならないという制限があり、かつ、見たものを正確に表現しなければならない、という制限(人々の思い込みですが)がありました。その中で絵のクオリティ(スキル)をいかに上げるかということが1に当たります。もしかしたら筆選びや絵の具選びもこの中に入るかもしれません。

そして、「絵画はこうあるべきだ」という制限を超えた作品をつくったのがピカソだと考えます。「こうあるべきだ」の制限を超えたとき、抽象画という新しいジャンルが創造された、ということです。

ご存じの方も多いと思いますが、ピカソは抽象画ではない絵を描くことでもものすごい実力を持っていました。ピカソが8歳で描いたデッサンは大人でも描けないくらいのレベルのものです。しかし、一般的な絵という制限からなかなか抜けられなかったのではないかと私は思うのです。その制限と立ち向かいつづけたときに新しいジャンルが生まれたと思うんですね。

そして、「発想が自由だ」と言われるのもこの2のときだと思います。

ピカソの抽象画は、自由な発想から生まれたというより「いかに今までの制限(絵画はこうあるべき)を打ち破るか」から生まれたと思うのです。

結果としてできあがったものが今までにないものだからこそ「自由な発想」をそこ感じるわけですが、この「自由」だけがあげつらわれてうらやましがられる傾向があって、それを生み出すための制限に目を向けない人が多い。

仕事をする上でそういう人が好んで使う言葉が「だって」「でも」です。私はこの言葉を多用する人があまり好きではありません。クリエイティブと対極にある人だと感じてしまうから。

長男にはおもちゃをあまり買い与えなかった、とお話しました。しかし、実はこれは私自身もそうでした。

両親は「我慢」を覚えさえさせたかったのだと思います。

共働きで会社を経営していた両親。仕事から疲れて家に帰ってきますから、一緒に遊んでと言ってもあまり遊んでくれませんでした。土日が休みになるとは限らない仕事をしていました。

ひとりっ子で兄弟もいない、おもちゃもあまり持っていない、両親も遊んでくれない、ファミコンは1週間で1時間しかさせてもらえない(1日ではなく1週間 笑)。そういった環境から、私は「自分が楽しい何かは自分で生み出す」しかありませんでした。結果、自分でゲームを考えたり、自分で遊び道具をつくったり、そんなことばかりしていました。好きでやっていたというよりもそういう制限がかかっていた、という言葉のほうが正確です。

それが、制限と立ち向かう力をつけてくれたと私は考えています。この制限と立ち向かう力こそクリエイティブの本質であり、そこから生み出されたものが「自由に見える」だけなんです。

デザインやアートだけがクリエイティブでは決してないし、クリエイティブは自由ではない、生み出されたものが自由に見えるだけで、その本質は制限に立ち向かう力だ、というお話でした。

もし今、結果を出していないのに「自由にやらせてくれ!」と主張するスタッフさんがいたらこの文章がちょっとでも役に立てば幸いです。ちなみにそういう意味では、ビジネスってなんてクリエイティブなんでしょうね!

さて最後にステキな言葉をご紹介します。

失われたものを数えるな!残されたものを最大限に活かせ!

今、パラリンピックの真っ最中ですが、これは「パラリンピックの父」と呼ばれる医師の言葉なんだそうですよ。

 

今回はここまでです!

津久井

投稿者プロフィール

津久井 将信
津久井 将信
ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。

かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。

2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。

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