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暑いですね。東京は悪意がある暑さです(笑)。先週行った高知県のほうが涼しかったな。
南にある高知県より東京のほうが暑いということは、これはもはや地球温暖化でもなんでもないですね。全体的に熱くなるなら高知県は東京より暑いはず。
結局、ただのヒートアイランド現象だと思う。石って、めちゃくちゃ熱がこもるんですよ。コンクリートジャングルと言われて久しい東京ですからね。そりゃ暑いわ。
あと、冷房の仕組みとかをChatGPTに聞いたら、やっぱり外に吐き出す熱とのトレードオフで中を涼しくするようで、ということはエアコンが東京に何億台あるか知らんけどそりゃ暑くなりまさーね。
とはいえグチグチ言っても仕方ないですから、私個人としては「心頭滅却すれば火もまた涼し」といったレベルの気合で仕事をしております(ウソ)。来週は八戸に出張(わーい、涼しそー)。
ところで、ChatGPTに聞いてみたんですよ。
「心頭滅却すれば火もまた涼し」ってあり得る現象なの?って。脳科学的にあり得る現象なんだそうですよ。
ってことらしいです。似たようなものに「火事場の馬鹿力」とかもありますよね。人知を超えた能力というか。人間って不思議。
さて、私は脳とか脳科学とかが大好きです。好きなだけですごく詳しいわけではないですが、なぜだかすごく惹かれるのです。
最近では、マーケティングとかブランディングが脳科学的にアプローチされてきているようです。「ニューロマーケティング」という言葉もあるそうですよ。
今日は以前購入した脳とマーケティング、ブランディングについて書かれた本の中から、ビジネスシーンで役立てていただけそうな内容のものを3つほどご紹介したいと思います。
また、ChatGPTに聞いた小ネタもご用意しました。
少しアカデミックになるかもしれませんがご容赦くださいませ。
●脳と価格について
●脳と香りについて
●脳と印刷物について
●脳科学小ネタダイジェスト
脳と価格について
「ニューロマーケティング」というものがあると言いました。
これはどういうものかというと、脳の活動をスキャンできる機械(fMRI)を用いて、実際にマーケティングやブランディングに関する実験を行い、それをビジネスに活かす、というものです。
つまり、今までは心理学者とかが一生懸命仮説検証を行ってきたことに関して、これからはfMRIなどを使って脳みそに直接聞いちゃおう、という試みなんですね。
たとえば価格に関して。
何かを買うという行為は、実は脳スキャンをしてみると脳の痛みを感じる中枢を刺激している場合がある、ということがわかったそうです。
買い物のすべてのケースではありませんが、買い物は「痛い」と感じることとと同じ場合があるということなんです。
そして、金額の大小よりも価格が「適正か」のほうが脳みそにとっては重要だそうです。
なので、たとえば車を買う場合に人は、それが適正だと思えばほとんど痛みを感じることなく付属品に何万円、何十万円も費やします。しかし、自販機にお金を入れても何も出てこなければ頭にきます。
200円のコーヒーと1000円のコーヒーがまったく同じ豆、製法からできているまったく同じコーヒーだと知ったら、1000円のコーヒーを出す店に腹を立てるかもしれません。
行き過ぎた心理操作みたいなことはどうかと思いますが、簡単に言えばこの「痛み」を上手にやわらげてあげることができれば商売はうまくいく可能性があるわけですね。
「セット販売」などはこの痛みをやわらげてあげる効果があるそうです。
また、人間ははじめに見たり思い浮かべた数字にアンカリングされてしまう傾向があります。アンカリングとは、脳に錨を下ろすがごとく、あるイメージを植え付けること。
たとえばこんな実験がアンカリングの恐ろしさを物語っています。
とあるコードレスキーボードの価格としていくらくらいがふさわしいかを調査する、と表向きにうたってやった実験です。
被験者、つまりキーボードの価格を回答する人たちに回答の前に社会保障番号の下2桁を思い浮かべてもらいました。
すると、キーボードの価格がいくらが適正かは以下のような回答結果になったそうです。
- 下2桁00−19の人の平均:$16.09
- 下2桁20−39の人の平均:$26.92
- 下2桁40−59の人の平均:$29.27
- 下2桁60−79の人の平均:$34.55
- 下2桁80−99の人の平均:$55.64
わかりますでしょうか。下2桁の番号が大きいほど、キーボードの適正価格を高くしてしまう傾向があったのです!ひ〜、おそろしい!
しかし、痛みを感じるからといって、では安いものを売ればいいのか、というとそれは早計です。
ここが脳の複雑怪奇な部分ですが、高い金額を払った人のほうが商品に対する満足感や効果の実感が高くなるということも実験から明らかになっています。
ある実験では、高い金額を払って栄養ドリンクを購入した人は、同じ商品を割引価格で購入した人よりパズルにチャレンジさせたときに早く解けることが判明したそうな。
さらには、鎮痛剤を1回分2.5$と伝えて渡すと85%の人が痛みが軽減したと報告するのに対し、1回分10セントと伝えて渡すと61%の人しか痛みの軽減を報告しなかった、という実験の結果もあるそうです。
高額商品をむやみに値下げ、値引きしてはいけないという示唆に富んだ実験の結果ですね。
いや〜、これってすごいことですよ。私も最近お酒を呑む前に「ヘパリーゼ」を飲むようにしているんですが、ちょっと高いほうを飲んでますからね(なんのこっちゃ)。
でもどうせ飲むなら効きそうなほうを飲みたい。そして単純に高いほうが効くだろうと思い込んでいる。
たぶん高いほうが有効成分の量が多いのだと思いますが、多いからといってお酒の分解能力が上がるかまではおそらく保証されていないわけです。まあ、プラセボ効果みたいなのは働きそうですけどね。
以下、ChatGPTより。
【脳科学から導く「効果的な価格設定」のヒントまとめ】
テクニック | 脳の反応 | 使い方 |
アンカリング | 最初の価格が基準に | 高い商品を先に見せる |
端数価格 | 数字の“左側”に注目 | 980円・99,800円など |
無料 | 扁桃体と報酬系が活性 | 送料無料・初回無料など |
デコイ効果 | 中間価格を選びたくなる | 3プラン提示、真ん中が◎ |
ストーリープライシング | 理性よりも感情優先 | 「この価格の理由」を語る |
先払い方式 | サンクコストで納得 | 年額プラン、前払い制など |
脳と香りについて
「人間は目の動物」というくらい、脳への情報はほとんどが視覚情報と言われています。
その数値は実験結果によりさまざまですが、7割以上とか、場合によっては87%などとも言われています(ChatGPTは83%と回答)。だからデザインはとても大切なわけです。
ところが最近の調査では、こと「感情を引き起こす」ということに関しては、実にその75%が嗅覚によって引き起こされている、という説が浮上してきました。
もちろん、だからといって視覚情報が重要でない、ということにはまったくならないですが、
「感情を引き起こす」
という点においては嗅覚に軍配が上がるようなんです。
たとえば、何かの匂いを嗅いだときに急に過去の記憶がフラッシュバックしてくることとかはありませんか?私は古い木の床の匂いを嗅ぐと、小学校1年生のときの、それも入学間もないころの映像が浮かんできます。
ちょっと小難しい話をしますと、脳は主に大脳新皮質と大脳辺縁系とに分かれていると言われています。
大脳新皮質は「新」とつくとおり人間にとってはわりと新しくできた脳のパーツです。主に言葉や数字などを扱います。大脳辺縁系は人類が言葉を発明するずっと前からあるパーツで、主に感情や本能的なことを扱います。
五感の中で、嗅覚刺激だけはこの大脳辺縁系に直接伝わると言われているそう。
「ふーん、だから何?」
「うちは匂いが関係する商売じゃないし」
と思われるかもしれません。では、こんな調査結果があるのを聞いたらどう思いますか?
ある実験で、まったく同じナイキのスニーカー2足を別々の部屋で消費者に評価させました。片方の部屋は花の芳香で満たされており、もう片方は無臭でした。
その結果、84%の被験者が、香りがする部屋で評価したほうがスニーカーが優れていると回答したそうです。
さらに、カジノで行われた実験ではフロアに良い香りを漂わせるとスロットマシンに入れる金額が45%増えたそうです。だからカジノっていい匂いがするんだ(汗)。
さらにさらに、あるシャンプーは機能はまったく変えず香りを変えただけで、
「泡立ちが良くなった」
「すすぎがしやすくなった」
「髪のつやがよくなった」
と被験者が感じることがわかったそうなんです。
さらにさらにさらに、今度はちょっと色っぽい話。
普通の映画を見た男性が着たシャツ、エッチな映画を見た男性が着たシャツ、この2つのシャツを女性の被験者に嗅いでもらうという、ちょっと変態っぽい実験(笑)が行われました。
結果は、ほぼすべての女性が「どちらのシャツも何も匂いがしなかった」と答えたのに、fMRIで脳を見てみると、性的に興奮した男性のシャツの匂いを嗅いだ女性の脳は、活性の仕方が明らかに違っていたそうなんです。
ここから言えるのは、聞き取りアンケートなどの結果が必ずしもアテになるとは限らない、ということです(もちろんなる場合もある)。
匂い、あなどりがたし!
独身男性は、女性とデートする前にエッチな動画を見てから行くようにしましょう(笑)。
とにかく香りはビジネスのシーンでいろいろと応用できそうということです。店舗営業をしている場合はもちろん活用できますよね。ちょっと考えただけでも、
- 飲食店
- 美容室
- 不動産屋さん
- 洋服屋さん
- 雑貨屋さん
- クリニック
- マッサージ店
- 一般小売店
などなど(他にもあると思う)。
営業のシーンにおいても、良い香りがする営業マンとそうでない営業マン、逆に臭い営業マンと3つのパターンを考えたら当然ながら「良い香りの人」が好成績を上げるだろうと想像できますが、脳科学的にもこれは実証されているようなものということです。
香りによって、お店が提供するものの質、営業マンが提案するものの質、商品の機能、これらが左右されるって相当すごい話だと思います。
脳と印刷物について
ここ数年、デジタルシフトにより印刷物の需要は減っています。そして、成果物として差別化しづらい印刷業はより価格競争へと陥っています。
ペーパーレスが叫ばれて久しいわけですが、そんな中、デジタル広告と紙の広告の意外な関係性が脳スキャンからわかってきたそうなんです。
調査の結果、まずは印刷広告のほうが脳に「より深い痕跡」を残すことがわかりました。
たしかに、紙のほうが手で触ることができますから、五感のうちの「触覚」も刺激できます。
ところが、その点を考慮して補正を行ってもなお、紙などの有形媒体のほうが有利だったのです!
デジタル広告と紙広告、これらを見たときに脳のどの部分がそれぞれ活性化したかを確認すると、有形媒体のほうが脳にとって「より現実的なもの」であると認識するそうなんですね。
有形媒体のほうが物理的位置を持つので(簡単に言えば3Dなので)、脳内の空間記憶に関わる神経回路網も活性化するそうです。
たしかに以前から、紙で見るのと画面で見るの、同じものでも脳みその使われる部分が違うというのは聞いたことがありました。私はそれから、考えごとなどをするときは極力紙を使ってやるようになりました。
そしてさらには、有形媒体は被験者の脳内の感情的処理を増大させたそう。
どういうことか簡単にまとめると、紙媒体の広告の記憶のほうがより鮮明で、しかも何かしらの感情を伴って残りやすい、ということなんです。
だから、紙質を良いものにしてみたり、型抜きやエンボス加工などをしてみたり、といったことには十分な意味があるんです。良い感情を伴って御社が記憶される可能性が高まりますから。
その逆に、見た目をおろそかにしたり、名刺や封筒、パンフレットなどが安っぽいと、相手に悪い記憶(会社の印象)が強く残るわけです。
これに近い話ですが、私は常々「重さ」と印象は関係がある、と感じていました。
デジタルは重みを感じませんが、紙は感じますよね。
そこから発展して、我々の名刺印刷サービスは、一番安い価格のものでも他社と違い厚い紙を使っています。ペラペラの紙の名刺よりも厚くて重いほうが名刺交換時に絶対に印象が良い!そう思っていたんですね。
なぜそう思ったか。これは私がサラリーマンのときに遡ります。
このお話はこのコラムで何度かしていますが、当時の会社で、あるお客さまのサンドイッチの袋のデザインと印刷をいただいたときのこと。印刷素材の厚みについて、業者さんと打ち合わせしていました。
フィルム包装というのは何ミクロンという単位で素材の厚みごとに仕入原価がかわります。
当然、包装資材のコストは安い(=薄い)に越したことがない、そう思っていたのですが、そう思った私に、その業者さんはある話をしてくれました。
当時、セブンイレブンのサンドイッチがバカ売れしていました。他のコンビニよりもはるかにセブンイレブンのサンドイッチが売れていたのです。
その秘密は、なんと包装資材にあるとのこと。
セブンイレブンは原価が高くなることを承知で、もっとも厚いフィルムを使っていたのです。
そして、他のコンビニよりも20〜30円高くサンドイッチを販売していました。それでもバカ売れ。
手に取ったときの重厚感から、消費者が「質が高い」と判断したのでしょう。まさに今回のテーマを裏付けるようなお話です。
セブンイレブンの大ヒットに慌てた他のコンビニも、それを一斉に真似しました。今となってはこれと逆行するような残念な評判が出回ってしまいましたが。。。
セブンイレブン底上げ問題(ステルス値上げ)
とにかくこの話から我々は前述のように名刺は厚い紙を提供しているわけですが、そもそも人間は脳の構造上、重いものは高品質だと感じるケースが多いと私は仮説を立てています。
世の高級ブランドは広告やロゴ、包装資材になぜ黒や濃紺などをよく使うのか。それは色が重いからです。色から重さを感じるから。そして重いものは高品質だと感じるから。
こういうことをきちんと説明できるデザイナーはいません。なんとなく多くの人が(デザイナーですら)「高級=濃い色」と直感的に思っていますが、こういう理屈があったんです。
と、ここまでは私の理論であり仮説の域を出ませんでした。
ところが、今回ご紹介している本にまったく同様の記述が!脳スキャンをした結果、重量と重要性にはかなりの関係性があることがわかりました。
本にはこんな実験について書かれています。
とある就職希望者の履歴書を社内で検討する際、ある社員たちには軽いクリップボードに挟んだ履歴書を、また別のある社員たちには重いクリップボードに挟んだ履歴書をそれぞれ渡しました。
その結果、軽いクリップボードを持っていた人より重いクリップボードを持っていた人のほうが履歴書の人(応募者)がその仕事により真剣な関心を持っていると判断を下したのです。
デジタルは重みを感じづらいです。そういう観点からも紙媒体はまだまだ重要度が高いといえます。多くの企業がデジタルシフトしペーパーレスを実践すればするほど、差別化できる可能性が高まります。
ちなみに、重さから重要度を感じさせるためには読み手にレンガを持たせながら広告を読ませるだけでも効果があるそうです。
見るものと重さを感じるものが無関係でも、見ているものを重要と感じてしまうということです。すごいですね。
脳科学小ネタダイジェスト
さて、ここからはChatGPTに聞いた小ネタをダイジェストでお届けしてみたいと思います。
1.第一印象は0.05秒で決まる(Google研究)
【内容】
ウェブサイトの「見た目の好ましさ」は50ミリ秒(0.05秒)で判断される。この印象は、その後のユーザーの評価に長期的な影響を与える。
【脳科学的観点】
脳の「扁桃体(感情を司る)」や「視覚野」が瞬時に刺激を受ける。美しいデザインは、脳内報酬系を活性化させる(快感や好意に結びつく)。
これ、私は「0.5秒」と聞いていました。今は「0.05秒」なんですね。合コンでは「0.05秒」だけイケメン、美女に見せる練習をしましょう。
2.好ましいデザインは「使いやすい」と脳が錯覚する(Aesthetic-Usability Effect)
【内容】
視覚的に魅力的なインターフェースは、実際の使いやすさに関係なく「使いやすい」と認知される。
【脳科学的観点】
美しいデザインは脳内の快感報酬系(ドーパミン系)を活性化させ、認知バイアスを引き起こす。
このコラムでも何度か紹介している「美的・ユーザビリティ効果」というヤツですね。
はい、デザインが美しいと品質や機能が優れていると人は思ってくれます。逆に言えば、本当はどんなにすばらしい品質や機能でも、デザインがショボければ正当に評価されていないわけです。もったいねぇ。
3.フォントやレイアウトの違いで「信頼性」が変わる(2006年, プリンストン大学)
【内容】
難しいフォント(手書き風など)で書かれた文章は「信頼性が低い」「理解しづらい」と判断される。同じ内容でも読みやすいフォントの方が、読者は「内容が正確で信頼できる」と感じやすい。
【脳科学的観点】
読解時に前頭前野が負荷を感じると、判断力が変化し、理解度や信頼度にも影響。
プロに頼むべき理由がここにもありましたね。フォントやレイアウトが悪いと、信頼を損なったりそもそも理解しようと思ってもらえないわけです。
これ、「メリコの法則」の「リ」=理解できるかどうかと同義です。
4.視覚情報が記憶に与える影響(ピクチャ・スーパリオリティ効果)
【内容】
文章よりも画像の方が記憶に残りやすい(最大6倍の差という研究も)。
【脳科学的観点】
言語情報は主に左脳、視覚情報は右脳を含む広範囲が活性化。統合的な脳活動が記憶定着を助ける。
見ました?「言語情報は主に左脳、視覚情報は右脳を含む広範囲が活性化。統合的な脳活動が記憶定着を助ける。」ですって。
このコラムでもう何年「言葉と画(え)」と言っているか(15年くらい言ってると思う)。ね、私の言ったとおりでしょ(笑)。
5.脳は“美しい”に報酬を与える(Neuroaesthetics研究)
【内容】
被験者に「美しい」「普通」「醜い」と感じる絵画や写真を見せて脳活動をfMRIで測定。美しいと感じたとき、脳内の内側眼窩前頭皮質(mOFC)が強く活動。
【ポイント】
美的デザインは快感や満足感に直結する。ロゴ、パッケージ、ウェブデザインにもこの影響は応用可能。
これも「美的・ユーザビリティ効果」の話ですよね。デザインをおろそかにするというのは本当に「機会損失」。
6.整ったレイアウトは記憶に残りやすい(2004, Journal of Marketing Research)
【内容】
雑誌広告のデザインを調査し、視線の流れ(アイ・トラッキング)と記憶の関係を分析。視覚的に整理された広告ほど、注意が集中しやすく記憶に残る。
【脳科学的観点】
無意識レベルでも、秩序ある構成は脳の注意資源を効率よく活用。
これも先ほどと近いですが、レイアウトがきれいというのは「メリコの法則」の「リ」を高めてくれます。人は「理解できないもの」に恐怖や不安を抱きますから、「リ」はとっても重要。
ポイントは「無意識レベルでも」というところ。
7.顔のあるデザインは脳を強く引きつける(フェイス・バイアス)
【内容】
人間の脳には顔専用の認知領域(顔領域:FFA)がある。商品に顔っぽい要素があると、より注意を引き、親近感が増す。
【応用例】
キャラクターデザイン、顔アイコン付きのUI、感情表現のあるロゴなどが親しまれやすい。
これ、私けっこう前から知っていました。それこそ起業したてのころからかな。
一説には人間の脳には「顔ニューロン」というものがあって、顔に反応しやすいんだそう(上記では「顔専用の認知領域(顔領域:FFA)」とされています)。よく布団のシワが顔っぽく見えるなんていうのもこの顔ニューロンの仕業とか。
さらにウワサによると「手ニューロン」というものもあるみたいです。ビズアップのロゴは「手」を使っています。
8.“視覚的ノイズ”が購買を遠ざける(2010, Journal of Consumer Research)
【内容】
ウェブサイトでの「色数が多すぎる」「情報が多すぎる」などのビジュアルノイズが購買意欲を低下させる。
【脳科学的観点】
過剰な視覚刺激により、前頭前皮質が疲労し、意思決定を回避しようとする。
選択肢が多すぎると購買率が下がるというデータがありますが、それに近いですよね。前述の「レイアウトが重要な理由」のひとつでもありますね。
9.プロダクトデザインは“使用前”から価値を決める(Bloch et al. 2003)
【内容】
見た目の良い製品は、使う前から「高品質」だと評価されやすい。視覚的デザインが予想的な価値(expectancy value)を決定。
【例】
Apple製品はこの心理を活用して成功した代表例。
これも「美的・ユーザビリティ効果」ですね。アップルはまだ誰も使ったことがないような製品を最高に洗練された美しいデザインで世に出したわけです。
10.「馴染みやすさ」は信頼に変わる(ザイアンス効果)
【内容】
同じデザイン・形・ロゴを何度も見せると、評価が上がる。
【脳科学的解釈】
「既知の情報」は扁桃体の防衛反応を抑え、好意的な処理につながる。
これは有名な心理効果ですよね。とにかく何度も、繰り返し見せる。そうすると好感が持たれるようになる。
このコラムでも「テレビに出はじめたころのダチョウ倶楽部」を例に挙げて何度か取り上げています。
11.動きのあるデザインは脳を覚醒させる(Universal Principles of Design)
【内容】
アニメーションやマイクロインタラクションは、視線誘導や操作の理解に有効。「変化」への反応は進化的に重要で、脳が自動的に反応。
【脳科学的背景】
脳の「視覚運動野」「注意系ネットワーク」が活性化。
特に男性は動きのあるものに弱いらしいですね。
銀座の夜のお姉さんたちは大きく揺れるイヤリングをつけるといいと聞いたことがあります。
なぜなら、男性は動くものを目で追ってしまう習性があるため、イヤリングを見るということはうなじの色っぽい部分を見せることになるからだとか(どこでそんなネタ仕入れてきたんだ笑)。
なので、男性ターゲットであれば弊社の「モーションロゴ」とかはすごく有効です。
さて、いかがでしょうか。
こういう話は「小難しくてわからないという人」と「めっちゃ好き!」という人に分かれると思います。
もし好きということであればこちらの本をおすすめします。本日のネタもChatGPT以外はこちらを参照しました。
商売のヒントもありますが単純な読み物としても面白いと思います。
顧客の購買欲求を生み出す脳と心の科学【脳科学マーケティング100の心理技術】ロジャー・ドゥーリー著
この本の帯には「知らない間に買っている」と書かれています。私はすでにこの本を1冊持っていることをすっかり忘れ、知らない間に2冊買っていました!!
脳科学マーケテイング、おそろしい!(笑)
今回はここまでです。
津久井
投稿者プロフィール

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ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。
かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。
2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。
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