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ゴールデンウィーク、いかがお過ごしでしたか?
まだゴールデンウィークが終わっていないという方もいると思いますが、弊社は暦通りの営業なので、本日もコラムをお届けします。
ちなみに私のゴールデンウィークはほとんどが少年サッカーのコーチでした。4日の休みなんてあっという間ですね。
名古屋の大学に進学し実家を離れた長男が連休中に帰ってきましたが、高校卒業間際にできた彼女や東京の友だちと遊び散らかしており、ほとんど家に寄りつきません。子どもなんてそんなもんなんでしょう(私もたぶんそうでした)。
ちなみに本日は札幌におります。北海道は今年初かな。月曜日までおります。
今月末は高知、そのまま愛媛と出張も多くなってきました。行った先々でいろいろなお客さまにお会いできることを楽しみにしております。
では、本日のお話。
先週は、人間の「感じる」という能力についてお話しました。そして最後に「会社の身だしなみが【残飯】だと感じられるようになってしまっていませんか?」という、ちょっと強烈な問題提起で終わりました。
今週はここから少し具体的な話に持っていき、「ブランディング」について、「錯覚資産」というお話をしながら解説したいと思います。
ちなみにみなさんは、「人は見かけによるのかよらないのか?」と聞かれたらなんと答えますか?
私は明確に「人は見かけによる」と答えます。
●人間の「感じる力」はある意味恐ろしい
先週のおさらいも含めたお話を少ししましょう。
はじめて会う人の顔つき、人相から、なんとなく「こんな人だろう」ということを想像してしまうということはよくあることです。
そこから何かを無意識のうちに判断しているということを、人間は自分が思った以上にやっています。
人相学はあながち外れていないと私は考えていて、たとえば目が顔の中央寄りの人は集中力が高いけど視野が少し狭い。逆に目が離れている人は集中力はあまり高くないけど視野が広く、幅広く物事を見れる、なんていいます。
これは動物もまったく一緒なんだそうです。肉食動物は目が中央に近いけど草食動物は目が離れています。
肉食動物は獲物までの距離を正確に測るために目が中央寄りで正面についていて、獲物を獲るために意識を集中します。
草食動物は逆に捕食されないように視野を広くもち危機察知できるように外側に目がついていると言われています。肉食動物と違って集中力はあまりありません。なぜなら集中すると逃げ遅れるからです。
こういうことから、顔つきから集中力が高いとか低いとか、視野が広いとか狭いとかは実は人間にも当てはまっている、だから人相学はわりと当たっている、なんて考えられています。決してスピリチュアルな話ではないということですね。
これに限らず、悲しそうな顔をしている人がいれば「悲しいんだろうな」ということを「感じ」ます。つまり感情を読み取ります。「私、悲しいんです」と伝えなくてもわかる。
当たり前のようですが、これ、よく考えたらすごいことだと先週もお話しました。師匠の伊吹先生曰く、これは人間の持つ特殊能力だと。
だってこれって言葉がなくても相手に自分の感情や心境を伝えることに成功していると言っていいわけです。受け取り手も、言葉で言われなくても相手の感情や心境を理解することに成功しています。もはやテレパシーです。すごくないですか?
で、人間の「感じる力」の中でも特に強いのが、「見て感じる力」です。つまり「視覚」です。
これは、「百聞は一見にしかず」ということわざからもわかります。「視覚は聴覚の100倍感じる力がある」と解釈できますね。
ChatGPTに聞くと、視覚情報は五感全体から得る情報の実に83%とのことです。聴覚は11%。100倍とはいきませんが、およそ8倍の開きがありますね。
その他の感覚も合わせて見てみましょう。
- 視覚(見る) 約83%
- 聴覚(聞く) 約11%
- 嗅覚(におう) 約3.5%
- 触覚(さわる) 約1.5%
- 味覚(あじ) 約1%
「視覚」が圧倒的な上に、「視覚」と「聴覚」で実に94%を占めています。なのでいつもこのコラムで「言葉と画(え)が重要」と言っているわけです。
ちなみに、「舌」はバカですね(笑)。
むかし伊吹先生が言っていましたが、某大手ビールメーカーの役員に「利きビール」をお願いしたら自社のビールがわからなかったらしいです(笑)。
また、かき氷のシロップはメロンだろうがイチゴだろうが味は全部一緒らしいですね。
「食べたことあるけど違うやん!」という声が聞こえそうです。あれ、味は同じで香料を変えているだけだそうです。つまり、舌じゃなくて鼻が「メロン」とか「イチゴ」とかを判断しているわけです。うーん、舌バカ!
ということで、五感の中でも圧倒的に重要なのが、「視覚」なんですね。だからブランディングやデザインは大事!
伊吹先生は常々、「人間は目の動物」とおっしゃっていました。ちなみに伊吹先生は視覚からの情報は87%とおっしゃっていました。このあたりの研究が進む前からこの数字をおっしゃっていました。
そのあと、「視覚情報は60%くらい」みたいなことを言う人も出ていましたが、最新のAIに聞いて誤差程度にしかズレていない数値を何十年も前から把握していた師匠、伊吹先生はやはりすごいです。
あ、個人的には「シックスセンス(第六感)」とかあると思っています。人間の未知の能力、めっちゃロマンありますよね。なんなら「セブンセンシズ(聖闘士星矢)」まであるんじゃないかなと思ってます(笑)。私も早く目覚めないかな。ペガサス流星拳打ちたい。
●とっても残酷かもしれない「勘違いさせる力」の話
「感じる」という「人間の能力」、特に「視覚」についてのお話の次に、「錯覚資産」というお話をしてみたいと思います。
- 人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決っている
という本があります(Amazonはこちら)。
タイトルからもわかるとおり、人生は「勘違いさせる力」が重要で、それを「錯覚資産」と同書では名づけています。
「錯覚資産」にはいろいろなものがあります。たとえば、
- 美男美女
- 本を出版している
- 医者、または弁護士
- イケイケなスタートアップベンチャーの役員
- Twitter(現X)のフォロワーが10万人いる
- youtubeのチャンネル登録者数が30万に超えている
などなど。
もちろん実力があってそうなっている人もいますが、実はたいした実力がない人でも「実力がある」と評価されるケースもあります。「美男美女」なんて、「実力」というより「Gift」ですし。
「Twitter(現X)のフォロワーが10万人いる」なんかも、Twitterのフォロワーを「買って増やしている」という場合でも実力があると評価されてしまいます。
なので、この「錯覚資産」と「実力」は必ずしも因果関係(実力があるから錯覚資産が持てる)があるとはいえないわけです。
「錯覚資産」というのはどんなに頭が良い人でも、脳の機能的にダマされてしまうそうです。
それを思うと、「サピエンス全史」で7万年前に「認知革命」が起きたと書かれていることと符合します。
「認知革命」により人間は「虚構を信じる能力」を手に入れ、今の人類のようになったり宗教が生まれたりしたらしい。「錯覚資産」に脳がダマされてしまうのも、この「虚構を信じる能力」のせいなのでしょう。
さて、「錯覚資産」はいくつかありますが、当然、見た目の力も大いに「錯覚資産」です(視覚情報は全情報の83%)。
そしてこれは、とりも直さず私たちの仕事=ブランディングの話です。ブランディングやデザインを「勘違いさせる力」というと、とっても人聞き悪い感じではありますが(汗)。
とあるTV番組で「採用試験に容姿が関係するか」を調べたところ、ほぼ全ての企業で美男美女が圧倒的に評価されたそうです。
容姿と仕事の能力には因果関係がないことはちょっと考えればわかります。しかし、容姿が美しいと「実力がある」と勘違いしてしまう。「容姿」は「勘違いさせる力」のひとつなのは間違いない事実なんです。
「わかっちゃいる」のに大企業の採用担当者も「勘違い」してしまうほど、見た目には強力な力があるという歴然とした「事実」がそこにあることは注目に値します。
これを知って、
「おれはブサイクだからダメだ。。。」
「わたし、容姿に自信なんかちっともない!」
というのは早とちりもいいところです。私個人としては、顔の造形がブサイクか整っているかは個人的にはあまり気にする必要がないようにも思います。
会社員時代に、お客さま(大手食品メーカー)で当時30歳前後の女性Kさんがいました。新卒で入ったばかりの私からしたら商品開発部で仕事もできるお姉さん、という感じでした。
Kさんは、決して顔立ちが整っているほうではありませんでした。
しかし、当時まだそれほど浸透していなかったネイルサロンにおそらく通われていて、しかもシンプルでシックできれいなグラデーションのネイルをされていたのがとてもステキで印象的でした。
それだけではもちろんなくて、話し方や指先まで意識が行ったようなひとつひとつの所作が美しかったり、使っているボールペンなども、高価ではないかもしれませんが安っぽく感じられないものを使われていました。笑顔もステキでした。
とにかく良い意味でまわりの人にどう感じてもらうかを意識されていて、そしてとても女性らしくて、私はとても好きな方でした。
つまり、生まれ持った顔立ちやスタイルだけが「錯覚資産」ではないということです。努力でいくらでも持てるのが「錯覚資産」なんですね。ボールペンなんか、お金を出せば手に入れられる錯覚資産のひとつです。
さて、なぜ容姿がいい人を「能力がある」と勘違いしてしまうかの理由は、正確にはわかりません。ただ、観察の結果「そうなってしまう事実」があることは間違いない。
ここで、「見た目」に関するある心理効果を紹介しましょう。
「魅力バイアス」というものがあります。
見た目が美しい人は、「知的」で「誠実」で「能力が高い人」だと思われる傾向にあるというものです。
また逆に、「仕事ができる人を思い浮かべてください」という質問に対しては、多くの人が「高身長の人」を思い浮かべると言われています。これも魅力バイアスです。
背が低くて猫背な人でもめっちゃ仕事ができる人はいるはずなのに、誰もがそういう人を連想しないわけです。なぜそうなるかわかりませんが、これは事実なのです。
魅力バイアスを語る上で有名な話にアメリカの元大統領ジョン・F・ケネディの選挙の話があります。
対立候補であるニクソンとケネディの討論会を、ラジオで聴いていた人のほとんどがニクソンに投票し、テレビ(当時はまだ普及しきっていなかった)で見ていた人のほとんどがケネディに投票した、というものです。
その結果、ご存知のとおり大統領に選ばれたのはケネディでした。これは、簡単にいえばケネディの持っている「イケメン」という「錯覚資産」のほうが強かったわけです。
●「錯覚資産」とブランディング
先ほど、
- 容姿と仕事の能力には因果関係がないことはちょっと考えればわかります
とお話しました。実は容姿端麗な人のほうが仕事ができる説(容姿と仕事の能力に因果関係がある説)もあります。
しかし、これは先天的なものではありません。つまり、生まれながらにして能力に差があるわけではありません。
強い、または多くの「錯覚資産」を持っている人のほうが、実はチャンスに恵まれやすいのは確かです。その結果、会社で重要なポジションに就いたり大きな仕事を任されたり。
そのときには実力がなくても、こういったこと=「環境を与えられる」をとおして実力が備わってくると。
このようにして、錯覚資産を持っている人と持っていない人とでは、結果的に能力に差がついてしまうわけです。
しかし逆に言えば、自分の錯覚資産を増やしたり磨いたりできれば、もともとの能力に差があるわけではないのだから、十分に戦えるということです。
さて、ここまでは個人個人の話。ここから私が主張したいのは、
- どんな業種、業態のお仕事でもブランディングにより錯覚資産を持つことができる
ということです。「容姿」の話とか「イケメン」「美女」みたいな話だけだと身もフタもない感があるかもしれませんが、人も会社も努力で錯覚資産を手に入れることは十分可能なんです。
それは、お客さまだったKさんの例のとおりです。決してお顔立ちが美人というわけではなかったKさん。しかし、たくさんの「錯覚資産」を持っていました。それはKさんの錯覚資産を増やして磨く努力の賜物でした。
企業だって同じことができるはずです。錯覚資産を磨くことで、良い仕事に参加するチャンスを得たり、良い応募者と面接するチャンスを手に入れたり。
価格や実力がまったく同じ2社があったとして、チャンスの数がその企業の錯覚資産の強さと多さで決まってしまうということも考えられます。錯覚資産を磨く、増やす努力を怠って、同じくらいの力量のライバルに仕事や人を持っていかれてしまう。こんなに悔しいことはなくないですか?
「錯覚資産」は当然ながら「見た目」だけではありませんが、同じように能力があるのに見た目によりそのチャンスを手に入れることができない会社があるとしたら、これは明らかに努力不足によるチャンスロス(機会損失)なわけです。
これが私たちがブランディングが大切だという理由です。
その高い商品力を、ブランディングをおろそかにすることで活かしきれていないとしたら?会社の容姿を整えていないために、営業マンや販売スタッフが苦戦を強いられている可能性があるかもしれないことに経営者は目を向ける必要があります。
また逆に、会社の「身だしなみ」を整えることで業績の振るわない営業マンに言い訳をさせない、ということだってできるわけです。
御社の商品やサービスが良いものかどうかというのは、お客さまは体験してみないとわかりません。しかし、お客さまは体験する前にその商品を買うか、サービスを受けるかを決断しなければならないのです。
ブランディングに本格的に乗り出すかどうかの決裁権は経営者しか持ち合わせていません。
素人がつくった料理でも、一流レストランのそれのように盛り付けられていれば、凄腕シェフがつくったのではないか、と感じますし、3つ星レストランの凄腕シェフがつくった料理でも、ビニール袋に無残に放り込まれていれば「残飯」だと感じてしまうのが人間です。これは先週のコラムでもお話したことです。
錯覚資産を増やし磨くことで一流の人の料理だと思われるか、それとも残飯だと思われるか、どちらを選びますか?
今回はここまでです!
津久井
投稿者プロフィール

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ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。
かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。
2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。
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