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2025年12月05日 ブランディング マーケティング メールマガジン 広告 本の紹介 【第796回】丸亀製麺は何をして業績が復活したのか?

12月に入りました。10月に入ったときに、このコラムで「もはや年末」とお話しましたが、やっぱりあっという間でした。

一応、ビズアップの年末年始休業のご連絡をさせていただきます。

  • 2025年12月27日(土)〜2026年1月4日

年内は26日まで営業し、年明けは5日から始動開始です。

12月はやはり忙しい。普段は会食を入れない土日にもいろいろ入ってきちゃっている。体調管理を気をつけないとです。

ちなみに昨日は会食がなく、家でもお酒を呑まず11時に寝たのですが、めっちゃ体調がいい。蕁麻疹が止まらない以外は体調がいいです(体が悲鳴を上げている?)。

来週からはダイエットモードに入ろうかと、弊社の大内(通称GO/ジーオー/名前がゴウなので)と話しています。彼は身長180cmにして体重100kgというダイナマイトバディの持ち主です。

来年の1月、社員の結婚式までに痩せなければ、着る服がない。。。

さて、今週のお話です。

「刀(かたな)」という会社をご存知でしょうか?森岡毅さん、といったほうがわかるかな?

刀は、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンを奇跡のV字回復させ、その後も大きな発展を遂げさせた森岡毅さん率いるプロフェッショナルマーケティング集団の会社です。

ここ最近、また本をよく読むように少しずつなってきまして(スマホいじりはほどほどにするようになってきた)、先日も出張先でビジネス書を探して書店に行ったんです。

そこで見つけたのが森岡さん(を取材した人)の本でした。

森岡毅 必勝の法則

ここで取り上げられていた「丸亀製麺」の立て直しの事例が、僭越ながら私の考えているブランディングに非常にマッチしているなと思い、紹介させていただこうと思った次第でございますです、はい。

丸亀製麺は刀のコンサルティングが入るまで、客数が16ヶ月連続の前年割れという不調に見舞われていたそうです。

しかし、刀が入って8ヶ月で客数は2桁増。「2割」じゃなくて「2桁」増です。

刀の支援終了後もトリドールホールディングス(丸亀製麺の会社)の業績は好調で(24年3月期で売上2000億円)、2年連続過去最高を上回る快挙を出したのだとか(本書より)。

ちなみに刀が支援したときの丸亀製麺のCMがこちら。ぜひご覧ください。

では、刀は何をしたのでしょうか?それは、超単純化して言ってしまえば

  • 差ではなく違いで勝負する
  • きちんと知らせる
  • 適切な言葉をつける

の3つに集約されます(もちろん刀はもっと複雑に調査なども絡めてコンサルティングしているでしょうけども)。

 

「better than」ではなく「different」

これはこのコラムでは何度も出てきた話です。多くの人が、競合他社と「差」で勝負しようとしています。

たとえば、

  • あのラーメン屋さんよりうちのラーメンのほうがうまい
  • あそこのデザイン会社よりもうちのほうがクオリティが高い
  • あの美容室よりうちのほうがカットが上手

などなど。これはあまり得策ではありません。「違い」ではなく「差」で勝負してしまっているからです。「better than」ではなく「different」じゃないといけない。

「あのラーメン屋よりうまい」ではなく「あのラーメン屋とは違う味」で勝負しなければいけないということです。醤油ラーメンの店が競合なら豚骨ラーメンにするとか、場合によってはラーメンではない食べ物で勝負するとか。

このお話をするときに必ず出している事例が、KIRINの「生茶」のお話です。

今ではすっかり定番商品となった「生茶」ですが、発売当初、ペットボトルのお茶市場を席巻していたのは伊藤園の「お〜いお茶」でした。

KIRINがとった戦略は、「お〜いお茶」よりもおいしい(better than)お茶ではなく、「お〜いお茶」とは明らかに違う味(different)のお茶を市場に投入する、でした。

このお茶が出たとき、「渋いけどおいしい!」「急須で入れたお茶ってこんな感じだよな!」と評判になったことをいまだに覚えています(社会人3年目くらいだった気がする)。

KIRINはこの戦略が非常に上手でした。「生茶」の前にも同じことをして市場をひっくり返しています。それが「午後の紅茶」です。

「午後の紅茶」が出る前までの飲料の紅茶というのは、リプトンの甘ったるい紅茶一強でした。

そんな中、リプトンの紅茶よりおいしい紅茶ではなく、「甘さひかえめ」という切り口でリプトンの紅茶とは違う味の紅茶を出したわけです。

これは私が中2か中3だったと記憶。あまりジュースなどを買ってこないおかんが、午後の紅茶だけはおいしいといってよく買ってきていたことを思い出します。

一見して「一強」の市場に「違い」で勝負をかけたのが、これらの商品でした。

丸亀製麺は、「麺本来のうまさ」を「違い」として打ち出しました。

「おいしいって違いにならないのでは?」と思うかもしれません。

当時のうどん市場においては、多くのブランドは「新商品〜〜うどん」とか、「季節限定〇〇うどん」みたいな広告しか出していませんでした。

つまりこの場合、競合の中でど真ん中の「麺本来のうまさ」を打ち出していたブランドはなかったので、十分違いとして認識されるだろうという判断をしたということでしょう。

当然ながらそれが功を奏します。

ちなみに「森岡毅 必勝の法則」には、日本製粉の乾燥パスタ「オーマイプレミアム」というブランドの話も登場します。

これもかなり近い話なのですが、日本製粉はそれまで競合と差で勝負していました。この場合、「ゆで時間」と「麺の硬さ(アルデンテ)」がそうだったようです。

で、やはり「”ど真ん中”が空いている」ということで、「おいしさ」に原点回帰することが他社との「違い」となり前年比65%増という結果を叩き出したそうです。

なお、「麺は少し硬いほうがよい(アルデンテがよい)」ということが業界の常識だったようですが、消費者の声はそうではなかったそう。消費者が求めていたのは「もっちり食感」だったんだとか。

これも刀の支援により判明したそうですよ。

「こんなに売れるとは思わなかった」とスーパーから驚きの声が相次ぎ、ある大手スーパーは取り扱い店舗数を1.6倍に増やしたそう。

 

なぜその価値を伝えようとしないのか?それは「価値」だと思っていないから

認知を取るっていうのは思った以上に重要です。

多くの人が購入に至らない理由は、実は「それを知らないから」ということがたぶんにあるのです。

もしもコスパを無視してビズアップがテレビCMを打ったら、やっぱりそれだけで(ビズアップを知っただけで)ある程度ロゴの依頼が来るわけです。

我々は「ブランディング」を「選ばれる、選ばれつづけるための施策全般」と定義づけていますが、もっというと、以下の4層構造になっているとしています。

  • 知られる
  • 理解される
  • 記憶される(覚えつづけてもらう)
  • リピートされる

「その商品や会社を知っただけでは購入に至らないだろう、もっとよく理解されないと」と思うかもしれません。そういう購買行動をする人もいっぱいいます。

しかし、実は知っただけで買うという人も一定数(しかもかなり)いるのが現実なんですね。

では、「もっとちゃんと伝えればいいじゃない」という話なのに、なぜ「知らせない」のでしょうか。

いくつか理由はあります。

ひとつはお金の問題。認知を取る活動は非常にコストがかかります。なので「やりたいけどできない」ということはよくあることです。それはちょっとブランディングでは解決できないので置いておきまして。。。

もうひとつのほうが問題でして、「知らせる必要性を感じていない」というものになります。「え?そんなこと知らせる必要ある?」と企業側が思ってしまっているということです。

なぜそんなふうに考えてしまうのか。

これは単純に「自分にとって当たり前すぎて価値があると感じないから」、が理由です。価値があると感じないから知らせる必要性を感じないというわけです。

これはブランディングの相談を受けていて本当に多いのですが、業界人からすると当たり前のことでも、業界人じゃない人間からすると「それってめっちゃ価値あるやん!!」ってなることがあります。

「自分にとって当たり前」なことに価値があるとしたら、超盲点、灯台超もと暗しですよね。

なのでビズアップでは「(お客さまの会社や商品に)価値はすでにある、それに気づかせてあげるだけ」というスタンスです。

これはビズアップのCI(コーポレートアイデンティティ)にも明記されています。

私たちはお客さまの「表現代理人」です。お客さまも気づいていない価値を引き出し、言葉と画(え)で表現することが私たちの仕事だと理解します。

ちなみに、「じゃあその価値って【誰にとっての価値なのか?】」を考えることを「ターゲティング」と呼んでいます。気づいていない「当たり前」がすべての人にとっての価値とは限らないわけです。

さて、丸亀製麺に話を戻しましょう。

丸亀製麺って、各店舗でうどんを打っているって知ってました?私は知りませんでした。「それさー、早く言ってよー」という感じ。

多くのお客さんは丸亀製麺が店でうどんをつくっていると認識しておらず、我々アナリストもその価値に気付いていなかった。経営陣にとってもサプライズだったのではないか。

森岡毅 必勝の法則より

うん、何のためのアナリストなん?と突っ込んでおきましょう。何を分析したんだ?というか分析するまでもなくわかるわ。

経営陣は「自分たちのことだから当たり前すぎて気づかなかったのかな?」というフォローができるけど、アナリストがこれじゃ目も当てられません。私でもこれがすばらしい価値だって気づくぞ。

とにかく、丸亀製麺は「麺本来のうまさ」をしっかり伝える、知らせるということを刀の支援のもと行ったわけです。

 

言葉の強力さを侮ってはいけない

先週のコラムでは、

  • 多くの会社やお店が、自分の会社やお店、商品を表す言葉を持っていない、または持っているとしても間違っている

というお話をしました。まさしくこの話なのですが、刀がやったことはもう少し高度なことでした。

ひとことで言えば「名前をつける」という行為です。

人は「モノ」には名前をつけます(「生きモノ」も含めて)。しかし、「コト」に名前をつけるということに着目できる人はなかなかいない。

たとえば、「2.5次元ミュージカル」とか。

2.5次元ミュージカルは原作がアニメや漫画、ゲームなどのものが、舞台化されたもののことを言います。

  • 漫画、アニメ、ゲーム(2次元)
  • ミュージカル(3次元)

の中間を取って「2.5次元」とファンから呼ばれるようになったそうです。「テニスの王子様」という漫画がありますがこれが2.5次元ミュージカルの代表作。

名前がつくことにより存在が確定し、新しいジャンルができあがりました。

ネーミングは「たしかにそこにあると思うけど存在が確定されていないような何か」の存在を確定させる効果があります。

  • フワフワとした何か
  • でも確かにそこに存在していそうな何か

の存在を確定させる「存在証明」のようなものなのです。名前がついたとたんに「それ」は存在を認められ市民権を得だします。

さらにそれが進むと、市場を創出する可能性もあります。「2.5次元ミュージカル」もそうですし、たとえば「メタボ」とかもそうでした。

「おれ!メタボだ!」という「名前を伴った自覚」をしたとたん、

  • 病院に行く
  • フィットネスに通う
  • ヘルシア緑茶を飲む
  • その他

つまり、メタボを一括りにした市場が誕生するわけです。「クールビズ」とかもそうです。

これらは頭のいい人たちが意図的に起こしています。ちなみに「クールビズ」は博報堂のしわざです。

刀は「麺本来のうまさ」という抽象的なものに「丸亀食感」というネーミングをつけました。「おいしさ」のようなあいまいな基準の場合、このように「名前をつけてしまう」というのは非常に有効な手段です。

「丸亀」とついていることで、丸亀製麺ならでは、丸亀製麺だからこそということが直感的にわかるのも非常に良いです。

「ここのうどんは、生きている」というキャッチコピーもなかなかいいですね。「丸亀食感」や店でうどんを打っている臨場感みたいなものを感じさせる上手な擬人化(擬生物化)。

外食業界に詳しい「いちよし経済研究所」というところの主席研究員の鮫島さんという人も「目からうろこだった」というくらい、どんどん客足が伸びていったらしいですよ(同書より)。

というわけで、刀が行った丸亀製麺の支援が、ブランディングの観点からとてもわかりやすかったので例題として挙げました。

ただ、やっていることの本質は実はそんなに複雑ではないです。冒頭にお伝えしましたが、

  • 差ではなく違いで勝負する
  • きちんと知らせる
  • 適切な言葉をつける

超簡単にまとめると、こういうことです。

我々のやっているブランディングのお仕事もまさにほぼこれです。唯一違うのは、丸亀製麺のような大手企業はテレビCMなどを打つ潤沢な資金があるということです。

ブランディングは、

  • 言葉と画(え)による表現を磨く
  • その磨いた表現を広く知らしめる

という2段階になっていますが、この2段階めが中小企業にとっては非常に難しいというわけです。

 

今回はここまでです!

津久井

投稿者プロフィール

津久井 将信
津久井 将信
ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。

かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。

2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。

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