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今週は火曜日から富山に出張でした。
富山は大寒波襲来ということで覚悟して行きましたが、到着した火曜日は意外にも雪も降っておらず、気温は低かったけど「大寒波」という印象はありませんでした。
そして水曜日もそんな感じ。ただ、水曜日の夜から降り出して朝起きたら一面真っ白だったのは、北陸ならではの風景なんだろうなと思いました。
それにしても富山もご飯がおいしいですね〜。お客さまでもあり、大学の同期でもある北村くんと弊社スタッフの田村と3人で和食に舌鼓を打ちました。
その後、もう一杯呑もうかと田村が探したバーに行ったら、「占いゲイバー」だったのにはビビりましたけど(笑)。
いつもお話してますが、出張大好きなのでどんどんお声かけください!
さて、本日のお話です。
先日、弊社スタッフが新宿駅で見つけた広告について、朝礼で情報共有してくれました。
それは、こんな広告でした。
とてもキュートなデザインの広告
三つ葉のクローバー(ひとつだけ四つ葉)
魚?(ひとつだけ鳥?)
トマト(ひとつだけイチゴ)
かわいい広告ですよね。
この写真を撮って情報共有してくれた弊社スタッフも、とってもステキな広告を見つけましたとうれしそうに報告してくれました。
そのスタッフとしてはとても「クリエイティブ」な広告だと感じたようです。きれいですよね。色もそうだし、シリーズで3パターン展開しているのもいいし、何よりデザインがかわいい。
「幸せは、見つけられる」のコピーとともに、三つ葉のクローバーの中にひとつだけ四つ葉のクローバー入っていたり、トマトの中にひとつだけイチゴが入っているというアソビゴコロも人のセンスをくすぐるポイントかもしれません。
さて、いきなり話は飛びますが、
「ツールミッション」
という言葉を聞いたことはありますか?え?ない?マジですか??
まあそうか。。。私が考えた言葉ですしね(笑)。
先週のコラムは、このコラムによくでてくる言葉の解説「用語集」だったんですが、この「ツールミッション」だけ載せ忘れました(汗)。
パンフレットにしろ、名刺にしろ、ホームページにしろ、広告にしろ、パッケージにしろ、販促のためにつくるツールにはミッションを持たせるべきです。
これを「ツールミッション」と呼びます。
私の師匠である故伊吹卓先生は、「パッケージデザインは売れなければただのゴミだ」という強烈な言葉を残されています。
これは、パッケージデザインのツールミッションは「売れること」ということを示しています。
さて、またさらに話を飛ばします。デザインとアートについて。
私の中ではデザイン(特に商業デザイン)とアートには明確な区別があります。それは言葉で表現すると、
- アートは自分(つくり手)に向き合う
- デザインはお客さまに向き合う
となります。
この場合の「お客さま」はクライアント本人である場合もあれば、クライアントにとってのお客さんの場合もあり、ケースは分かれます。
たとえば、先ほど例に挙げたパッケージデザインであれば、クライアント本人よりもその商品のターゲット、つまりクライアントのお客さんに向き合ってデザインするということです。
では、なぜデザインはお客さまに向き合うのか。それはデザインの目的が、
- 見た人に狙ったとおりの行動を取ってもらう
というものだからです。
アートはそれを見て何かを感じてもらうことがゴールです。感じ方は人それぞれ自由でいいし、たとえば絵画であれば、その絵を買ってもらわなくてもいいわけです。名画を見られる世界中の有名な美術館は、絵を買ってもらう場ではなく何かを感じてもらう場所です。
もっと端的に言えば見ることそのものが目的です。
画風や絵の精密さなどから、その作家がどれくらい自分に向き合いその作品をつくったかなどを感じ、感動する人もいればしない人もいます。
また、小さな子供が描いた絵ですら、広い意味ではアートです。子供が描いた絵を見た人が急にうどんを食べたくなったりゲームをしたくなったりしたら、行動を促していますから、それはデザインと言えるかもしれません(ありえないですが)。
「デザインの目的は見た人に狙ったとおりの行動を取ってもらう」という点について、もう少し掘り下げて解説します。
アートは見た人が何を感じても自由ですし、人によって感じ方がバラバラでも問題ありません。
しかし、デザインは極力たくさんの人に同じようなことを感じてもらう必要があります。みんなに「狙った行動」を取ってもらうためです。
「狙った行動」とは、たとえば、先ほどのパッケージデザインであればその商品の購入です。スーパーのチラシであれば、「狙った行動」は来店になるでしょう。我々のホームページであれば、ロゴマークの無料提案を申し込んでいただく、というのが「狙った行動」です。
つまり、先ほどの
- アートは自分(つくり手)に向き合う → 感じ方はひとそれぞれ
- デザインはお客さまに向き合う → できる限り多くの人に同じことを感じてもらいたい
を言い換えるならば、
- アートにはツールミッションがない
- デザインにはツールミッションがある
ということになります。
どうやってツールミッションを決めるのか?
ツールミッションにはどんなものがあるのでしょうか?
たとえば、名刺だったらどうでしょうか?
- 名前を確実に覚えてもらう
- 顔を覚えてもらう
- パーソナリティを理解してもらう
- 社名を覚えてもらう
などなどいろいろと考えられます。
大切なのはこのツールミッションによって、どういうデザインにすべきかは変化する、ということです。
名刺の例で言えば、
- 名前を確実に覚えてもらう
であれば名前は大きく目立つようにデザインするのはもとより、「お願い!!名前だけでも覚えてください!!」というキャッチコピーがあっても良いかもしれません(話を単純化してますけどね)。
「顔を覚えてもらう」であれば顔写真は必須ですし、「パーソナリティを理解してもらう」であればプロフィールを盛り込む必要があります。
そして「社名を覚えてもらう」ならばロゴの配置の仕方がとても大切ですし、何よりロゴデザインそのもの、さらには社名(ネーミング)も大切になってきます。
繰り返しますが、ツールミッションにより、どのようなデザインにすればよいかが決まります。つまり、ツールミッションがなければどんなデザインが正解かはわからないはずなんです。
さて、このツールミッションは基本的には
- 1ツール1ミッション
であるほうが良いです。
1つのツールには1つのミッションしか与えない、ということです。
こうすることで、そのツールの持つメッセージがとがり強くなります。メッセージがとがって強くなれば、相手に届く、響く確率は高くなります。
1つのツールに欲張ってあれもこれもとミッションを与えるのはあまり好ましくありません。メッセージがボケてしまうからです。
味噌も醤油も豚骨も煮干しも鶏ガラも貝出汁も、とあらゆるものをぶち込んだラーメンがあるとしたら、何味になるかわからないですよね。これに近いです。
ただし、現実的には1ツール1ミッションを実現するのは難しいです。それでも一番言いたい
- キーメッセージ
が何かはわかるようにすべきです。
ビズアップのホームページを例に挙げてみましょう。ビズアップのホームページのツールミッションは、
- とにかくロゴの無料提案に申し込んでもらう
となります。「ロゴデザインをビズアップで購入してもらう」ではないということです。とても微妙な違いですが、ここはとても重要です。
なので、そのキーメッセージがわかるようにTOPページのファーストビューにデカデカと載せています。
しかしながら、無料提案に申し込んでもらうには
- 信頼できる会社かどうか?
も伝わらなくてはなりません。そうするとホームページには副次的なミッションが発生します。それは
- 見た人に信頼感を感じてもらう
となります。自ずと会社概要ページなどをしっかりとつくり込む必要が出てくるわけです。
これがツールミッションという考え方です。
さて、デザインはツールミッションにより変化する、と言いました。では、ツールミッションはどう決めればいいのでしょうか?
それは、「戦略や戦術」によって決まります。
戦略、戦術によりそもそもどんなツールをつくるべきか決まり、それによりツールミッションが決まり、ツールミッションによりデザインが決まります。

になっているわけですね。
ちなみにここまで理解できているデザイナーはほとんどいません。なので、好き勝手なものをつくってしまうデザイナーが多いわけです。
人によっては、自分のデザインを「作品化」してしまっているデザイナーもいます。「先生」なんて崇められちゃって増長しちゃったり。これが「デザイナーって鼻につく」って世間一般の人から思われちゃう理由です。
でも、それは実はデザインを発注する企業側にも責任があります。
ツールミッションを設定しないでデザインを依頼するからそういうことになるわけです。ツールミッションがないからデザイナーが勘違いしちゃうわけです。
ツールミッションは戦略、戦術に基づきます。ということは、デザイナー側ではツールミッションを設定することはできないんです。
なので、発注する企業側にも責任があるというわけです。
ツールミッションがないから、正解がない「アート」のようなデザインが生まれてしまうのです。デザイナーが「アーティスト」になっちゃうわけです。
広告と呼んでいいのか?
さて、冒頭の広告の話に戻りましょう。
弊社スタッフが朝礼でこの広告の話をしてくれたとき、写真はまだありませんでした。弊社スタッフは、
- たくさんの三つ葉のクローバーの中にひとつだけ四つ葉のクローバーがある
- たくさんのトマトの中にひとつだけイチゴがある
- そこに「幸せは、見つけられる」というコピーがある
という情報だけを口頭で話してくれました。とてもステキな広告だったという彼の感想とともに。
これを聞いて、みなさんはどう思いますか?同様に「ステキだな〜」と感じますか?
私がどう感じたのかを率直にお伝えしましょう。
「何の(商品の)広告かわからんぞ??」
でした。もっといえば、スタッフには申し訳ないけど(ごめんね)、「しょーもない広告!」って思いました。
- 何の商品の広告なのかわからない
- 何を言いたい広告なのかわからない
この時点で、これはアートの類です。ツールミッションがないことは明白です。
「いやいや、良い印象を与えることだってツールミッションになり得るじゃん」
という反論があったとして、確かにそのケースはあり得ます。
ここでもう少し考えなければなりません。「良い印象を与える」目的は「企業のイメージアップ」ですよね?
さて、この広告、どこの企業のものか冒頭の写真を見て覚えていますか?
覚えていませんよね?
仮に覚えているとしても、それはあなたが特殊なだけかもしれません。
この広告の「交通広告という媒体特性」を考えるならば、右上のほうに小さく「Odakyu」と載せたところで、通行人はまったく見ません、気づきません。
企業のイメージ向上を狙っているのに、どこの企業の広告なのかわからない、こんなことあるでしょうか。広告としては致命的です。
まさに、「メリコ」の「リ」が崩壊した状態。「コ」はあるかもしれんけど。あと単純にでかいので「メ」もあるけど。
実際に、スタッフはどこの企業の広告かを朝礼で伝えていませんし(たぶん知らなかった)、私も写真を撮ってきてもらって見てはじめて小田急の広告だと知ったくらいです。
つまり、「企業のイメージ向上」というツールミッションも叶えられる広告になっていないわけです。
広告とは、手段です。手段である限り、叶えたい目的とそのための使命があるのは当たり前です。しかし、世の中は手段が目的化した広告もどきのアートがはびこってしまっています。
しかも、アーティストは貧乏な時代や自分との戦いを乗り越え、苦悩しながら作品をつくりますが、この広告に代表されるクリエイターは、人の金(広告主の金)で自分の好きなものをつくっているからたちが悪い(毒舌)。
まあ、小田急はお金が余っているから好きなものをつくっているのかもしれませんけれどね。鉄道会社なんて、観光地への誘致以外、広告を出す意味なんてないですから。出したって乗降客数が増えるわけじゃない。だから好きなものつくれるのかもしれませんけれども。
あ、「見た人をほっこりさせる」というボランティア精神に富んだツールミッションを持っていたなら成立しますね。お金も余ってそうだし!そうであることを願います。うちのスタッフはほっこりしてましたので!
というわけで最後はなんかイヤミな言い方になっちゃいましたけど、みなさまにおかれましては、しっかりとツールミッションを考えたデザイン制作物をおつくりいただきたいと思います。
ツールミッションについては、ご自身で見つけるのは難しいかもしれません。
その場合、「何のツールをつくるのか」よりも先に、「何を叶えたいか」を考えることをオススメします。
その情報さえもらえれば、「じゃあ、こういうツールをつくりましょう。その際のツールミッションはこれにしましょう」というアドバイスが可能です。
- 集客したいのか
- 競合に勝ちたいのか
- 営業マンをお客さまに覚えたもらいたいのか
- 採用応募の数を増やしたいのか
- ほっこりした気分になってほしいのか(笑)
こういった「叶えたいこと」から一緒に考えることもできますよ。
ぜひ、「ツールミッション」という考え方を覚えてくださいね。
今回はここまでです!
津久井
投稿者プロフィール
-
ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。
かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。
2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。
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