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さて、1月も最終週です。
早いですね。2026年も1ヶ月があっという間に経過。あの年末の忘年会やら何やらからもう1ヶ月が経過したわけです。
あっという間だな。私は50歳の大台に今年の6月に乗るのですが、「あと半年ある」とか言ってられない。
論語では、
- 三十:立つ(而立)
- 四十:惑わず(不惑)
- 五十:天命を知る(知天命)
っていうけど、天命、あと半年で見つかるかな(笑)。一応三十で立つには立ったけど(起業)、四十になってもまだちょっと迷うこといろいろあるな。。。
果たして、五十になって天命を知り、辿り着けるのか、「年齢の向こう側」に!
R-40にはたまらなかったマンガ「特攻の拓」より
さて、本日のお話に行きましょう。
「おいしい」だけじゃ満足できなくなってしまった時代
このコラムでよく登場する「3つの時代」についてですが、先々週のコラムでも「用語集」として解説しました。
ここでもカンタンに説明すると、時代は
- モノ
- デザイン
- 色
と3つあり、それを繰り返すとされています。
モノが不足していた時代は、つくるだけで売れました。自動車がはじめて発売された時、洗濯機がはじめて発売された時、冷蔵庫がはじめて発売された時などなど。
この時はその「スペック(機能)」こそが求められており、イメージ(この場合商品デザイン)はほとんど求められません。みんなスペック(機能)がほしくて購入します。
なので、デザイン性を持たずともモノが売れます。
次に、その商品(=機能)が市場で飽和状態になってくると、イメージが重要視されるようになります。
これが「デザインの時代」です。
この時代は「差別化」がポイントなのですが、その差別化は主にデザイン(見た目)で行われることが多かったわけです。
デザインは、機能そのものにはあまり関係がありません。たとえばデザインが悪いからといって冷蔵庫の食べ物が腐りやすくなる、なんていうことはないわけです(使用感とデザインは大いに関係がありますが)。
つまりこの場合、デザインは完全なる「付加価値」です。このことから、デザインの時代は「付加価値の時代」とも言い換えられます。
デザインの時代も進んでくると、「色の時代」となります。色は「バリエーション」と解釈すると良いかもしれません。
「人とは違う個性を発揮したい」
「人とまったく違うのは怖い」
この2つの心理が、バリエーションを生みます。
- スマホには思い思いにデコレーションをするけど、iPhoneじゃないと仲間からダサいと思われる
なんていうのも、色の時代の特徴でしょう。
外食することに当てはめてこれを考えてみたいと思います。「外食する理由」はモノ、デザイン、色でどのように変化するのでしょうか?
- モノの時代:お腹を満たすため(生きるため)
- デザインの時代:おいしいものを食べるため(味わう)
- 色の時代:希少性や特別感を味わうため
よく、戦後の闇市なんかの描写が映画やドラマでもでてきますが、そこでは「すいとん」などが売られていました。
これらは、まずいとはいいませんが、味よりも食べることそのものが優先される時代だったことは想像に難くないと思います。
現代では、ただ空腹を満たすためだけに食事(外食)をする人はほとんどいないと思います。おいしいものを食べることが外食の目的の人がほとんど。
そしてさらには、おいしいだけでは満足しない人も増えてきました。
- 空間演出
- 店員の態度
- 有名人のお店
- 会員しか入れない
- 予約が1年以上先
などなど、「おいしい」以外にもさまざまな「選択基準」があるということは理解できるでしょう。
「デザインの時代:おいしいものを食べるため(味わう)」は「モノの時代」からみたら「付加価値」だったはずです。デザインの時代は付加価値の時代ですから。
しかし、それがいつの間にか当たり前になってしまった。「おいしい」は前提条件になってしまい、さらなる付加価値が必要になってしまったわけです。
みなさんも高いお金を払っておいしいものを食べても、「いや、高いんだから当たり前じゃん」ってなりますよね。満足度がすごい高いかというと。。。
それよりも何らかのおいしい以外の付加価値があったほうが満足度が高いはずなんです。この時代はね。
面白いのは、一周回ってやっぱり「おいしさ」に戻っていそうな場合があります。
たとえば、「ラーメンの鬼」みたいな店に行きたがる人がいるのは、「おいしさにとことんこだわっている」と感じるからです。
しかし、これは本当の意味でおいしさを求めているのかというと、実はそうではありません。
そういう人が作っているというストーリーに付加価値を感じているということになり、やはり本来的なおいしさだけでなく付加価値を求めているというわけです。
なので、一見不快な、客に怒って店から追い出したり出禁にしたりする店主でも人気なわけです。むしろラーメンに対する真剣さを上塗りする情報となっているのです。
辿り着けるか?「商品の向こう側」
長々と何がいいたいかというと、かつての「デザインの時代」に付加価値だと思っていたものが、現代では当たり前の価値となり、付加価値でもなんでもなくなってしまう、という現象が起こっているのが現代だというお話です。
「いいもの」と言ったとき、それは一昔前の付加価値の可能性があり、今では前提条件、本来的価値になってしまっているかもしれません。
もしそうなら、お客さんの満足度は上がりません。「お金を払って得られる当然の価値」だと思っているからです。その場合「商品力が弱い」ということになり、一度は購入される可能性があっても、リピートはされません。
たとえば、我々のようにロゴマークをデザインしている場合、「ロゴマークのクオリティ」というのはすでに前提条件の価値であり、クオリティが高いものを納品するだけではお客さまは満足をしないわけです。
以前のコラムでもお話しましたが、これだとお客さまの期待値を超えることはできない。期待値を超えなければ満足はしてもらえない。
もちろん「期待値調整(コントロール)」をすることは大切。でも、本当に目を向けるべきなのはどこなのでしょう。
ここで質問です。
- 「商品の向こう側」
って考えたことはありますか?「商品の向こう側ってなんじゃい!?」という感じかもしれませんが。。。
私の「心の師匠」サイモン・シネックの言葉を借りれば「why」がそれに相当するかもしれません。
「why」とは、サイモン・シネックが提唱する「ゴールデン・サークル」に出てくるものです。
「ゴールデン・サークル」とは、3つの同心円からできていて、一番内側が「why」、真ん中が「how」、一番外が「what」となっています。
これは人間の脳の構造にもリンクしているとサイモン・シネックは言っています。
人間の脳みそって、外側にある「大脳新皮質」という部分が言葉を扱っています。「【新】皮質」とあるとおり、人間の歴史からみると、脳の中でも新しい部分です。
ここが言葉を扱うということは、言葉も人間の脳にとっては比較的新しいものなんですよね。
人間が言葉を扱うずっと前から存在する、もっと根源的なもの。これって言葉で表しづらいものだったり、表しきれないものだったりします。
たとえば、誰かを好きになる気持ちって、言葉で表しづらいですよね。
逆に、カンペキに表せるとしたら、それはヤバいパターンです。たとえば、女性が男性に好きな理由として「スリーサイズが〇〇だから」「目と鼻の距離が好みだから」「髪質が良いから」など言われたら、ぶん殴りたくなりませんか?
しかしよく見てください。
- スリーサイズ
- 目と鼻の距離
- 髪質
面白いことにこれらはすべて「why」ではなく「what」なんですよね。
女性が男性を好きな理由が「お金」だと、男性は虚しくなってしまうのも同じです。
サイモンは、この「言葉に表しきれないwhyこそ重要」と考えています。歴史上の偉人や偉大な企業は、みなこの「why」をしっかりと思っていたといいます。
たとえばAppleの場合は(スティーブ・ジョブズには)、「世界を変えられると信じている」という「why」がありました。
その世界を変える方法(how)は、美しく直感的に操作できるデバイスであり、その結果として、MacBookやiPod、iPhoneなど(what)が生まれた、と言っています。
サイモンいわく、多くの企業は、残念ながら逆のアピールをしているそうです。つまり、「こんな製品できましたで〜、こんな機能でこんなことができまっせ〜」というアピール。これではダメ、というのがサイモンの考え方です。
商品やサービスの「why」を考え、難しいながらも言語化することが「商品の向こう側」を考える行為にほかなりません。
「商品の向こう側」を結晶化(言語化)しろ!
- 商品やサービスの「why」を考える
とは、とりも直さず「お客さまはなぜ、我々を選ぶのか?」ということを考えることにほかなりません。
なぜ選んでくれるのでしょうね。もちろん、企業により、業界によりさまざまでしょう。
これを知るためには、お客さまの声をめちゃくちゃ聞くに限ります。
我々のサービスで「お客さまインタビューブック」というものがありますが、これは、クライアントのお客さまに我々がインタビューし、なぜそのクライアントを選んでいるのかを調査するというものです。
これをやると、「ジョハリの窓」という有名な心理学のモデルでいうところの「他人は知っているが、自分は知らない自分(Blind)」を知ることができます。
不思議ですが、お客さまが自分たちを選ぶ理由って、自分たちが想像していることとぜんぜん違ったりするんですよね。
- お客さまが選んでくれている理由を他の人たちに伝える
- 自分たちがウリだと思いこんでいることを他の人たちに伝える
ブランディングとして、どちらが効果があるでしょうね(火を見るより明らかですね)。
あとは、その「選ばれる理由」を「商品の向こう側」として結晶化させる(言語化する)わけです。
結晶化する理由は、お客さまに伝えるためでもありますが、インナーブランディングとして社内のスタッフに伝える意味も大いにあります。
ちょっと抽象的な話がつづいたので、例を挙げてみましょう。自分たちの例で恐縮ですが、ビズアップの場合はどうなるか。
我々の商品は「ロゴ」です。では「商品の向こう側」は何か。
これはまさにお客さまに直接言っていただいたことです。非常に仲良くしてもらっていたお客さまで、何度も一緒に呑みに行った方です。
- ロゴはそれぞれの企業の節目につくることが多い
- その節目に立ち会えるというのは特別な仕事だと思う
これを聞いたとき、めちゃくちゃ感動しました。そしてなんて幸せな仕事をしているんだと感じました。
たしかにロゴって節目につくるんですよね。起業したとき、子会社をつくったとき、新商品ができたとき、新しいブランドを立ち上げたとき、社長が代替わりしたとき、創業から10年とか20年経ったときなど。
- 人生でそう何度も経験しない「ロゴ作成」が、いろいろな企業の節目(大切なタイミング)で行われる
これを知って、我々は「ロゴそのもの(クオリティ)も大切だが、ロゴをつくる体験そのものを節目にふさわしくすばらしいものにするのが我々の使命なのではないか」と気づいたのです。
そして、ここからこれを「結晶化」します。つまりコンセプト化と言い換えていいでしょう。
- 我々の本当の商品(商品の向こう側)は「ロゴ」ではなく「ロゴをつくる体験」
これを社内に伝播させたとき、スタッフひとりひとりがお客さまにどう向き合えばいいかのイメージが揃い、お客さま満足度が向上しました。
たとえば、前述の「ラーメンの鬼」の商品の向こう側は何でしょう。「ラーメンそのものではなく、ラーメンに人生をかけた店主の生き様」と言ってもいいかもしれません。
人生をかけたラーメン、そりゃあ「鬼」と称されるほど厳しいのも頷けます。お客さんだって店主が多少ぶっきらぼうでも選ぶでしょう。店主からしたら「お前らは俺の人生を喰らってるんだ!」という感じ。食べるほうも身が引き締まります。
羽田空港の清掃技術指導者の新津春子さんは、「清掃とは優しさ」という信条(商品の向こう側を結晶化した言葉)を掲げています。
清掃は汚れを取り除くだけでなく、その向こうにある利用者の快適さや安全を思いやる心のこと。人への配慮、環境保全、そして自分自身の心を整える行為として、優しさを形にする行動と定義しています。
結婚式なんかもわかりやすいかもしれません。結婚式って、そのサービスを平たく言ってしまえば「式場を貸してあげて料理を提供する」というなんとも味気ないものになると思います。
しかし、参加する人の誰もが「式場でご飯を食べるサービスを受けている」とは認識していません。
そこに集まるお祝いする人、される人の感謝とか感動が会場に満ちて、誰もが幸せな気分になったり身近な人に感謝する時間を過ごせます。
結婚式は「商品の向こう側」がとてもイメージしやすいですね。ここをさらに結晶化(言語化)すると、どんな言葉になりそうですかね。「結婚式とは・・・」とか「私たちの本当の商品は・・・」と言い換えると。
さて、御社の商品の向こう側はなんですか?それを結晶化(言語化)するとどうなりますか?
御社が思っている以上に大切な作業となります。社員全員が同じ方向を向くために必要な言葉。ぜひ考えてみてください。
今回はここまでです!
津久井
投稿者プロフィール
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ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。
かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。
2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。
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