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2022年01月21日 インナーブランディング ブランディング メールマガジン 商品開発 経営 【第609回】ブランディングの大成功事例、木村石鹸工業さんのお話

先週のコラムでもお話しましたが、先週は金曜日から日曜日まで、青森県は八戸に出張に行っておりました。

八戸では地元の会社の社長さま2名をご紹介いただき、その方たちと連日5軒はしご(昼とは別に2日で計10軒)。八戸は控えめに言ってサイコーでした。

地方の良さは食べ物が美味しいということがもちろんありますが、ここ最近はそれ以上に人の温かさだと感じます。3日間、本当に良くしていただいて感動しました。地方への出張で人でイヤな思いをしたことって本当にないな。

やはり直接人に会うってめちゃくちゃ大切。もっともっと出張に行きたいなー。

そんな中、新コ□問題はオミちゃん大活躍!もはやただの風邪という呼び声が高いですが、テレビが正しいと信じている人のおかげ(?)でまたマンボーが出てしまいましたね。

ただ、オミちゃんは電光石火でピークアウトに向かっているようです。

ビジネスもお笑い芸人も、誕生して流行りはじめて衰退するまでは正規分布を描くと言われています。ライフサイクルというやつですね。

流行ってピークに行くまでの時間と、ピークから消えていくまでの時間は同じ。あっという間に流行ればブームが去るのも早い。今回のオミちゃんは芸人で言えば一発屋というわけです。

ワク◯ンパッケージとかいうわけのわからないものが導入されようとしていましたが、いったん停止になったようですね。なによりです。

ただ、まだ油断はできませんね。以下の画像は真偽のほどは定かではありませんが、ネットではやっています。以下はFacebookからですが、Twitterでも拡散されています。

Facebookより

ソースがわからないので本当の情報か不明ですが、国会議員がぜんぜん打っていないというニュースは以前もこのコラムでお伝えしました。

こういう情報があるというだけで、少なくともメディアや行政がワクを勧めてくることに疑問を持って自分で考えてみたほうが良さそうですね。

ちなみに「セッタネ率」とは「接種率」のこと。こういう書き方をしているのは、SNS側の検閲から少しでも逃れるためです。ワクにとって都合の悪い情報は削除されています。異常なことです。

なんでもそうですが、人の情報や意見の鵜呑みは危険。自分の頭で考えないと。

というわけで、できれば鵜呑みにしてほしい情報を本日もお届けします(笑)

本日はブランディングの成功事例として「木村石鹸工業」さんを取り上げてみたいと思います(弊社のお客さま事例ではありません)。

木村石鹸工業さんは、石鹸や洗剤などのOEM中心の会社でしたが、自社ブランドを立ち上げ商品開発をしたことによって成功を収められています。

 

●木村石鹸工業さんの概略

木村石鹸工業さんは1924年に大阪で創業された、まもなく創業100年の超老舗企業です。

社長は4代目となる木村祥一郎氏。木村社長は学生起業家として大学卒業後も18年間もIT企業の創業メンバーとして活躍した経歴があり、当初は家業を継ぐ予定はなかったそうです。

木村社長のお父さんは木村石鹸の3代目社長で、息子である木村社長が家業を継がないということで当時の工場長を一度4代目社長にしたそうです。

ところがこの工場長が営利目的に走りすぎ、他社商品を仕入れて売る方向にシフトしはじめてしまいました。つまりメーカーではなく商社のような商売の形態に変えていこうとしたということです。

木村社長のお父さんがこの行動に疑問を呈したことがきっかけとなり、この「3.5代目社長」は社員を数名引き連れて独立してしまったそうです。

その後お父さんは社長に復帰しますが、高齢で持病があるため長くはつづけられないからと、息子である木村社長に助けを乞うため東京に出向く途中で駅で倒れてしまいます。

それがきっかけで放っておけないとなり、木村社長はご自身の事業をつづけながら週一程度木村石鹸に顔を出しはじめます。

しかし週一程度では社員さんの信頼も得られず。。。そこで木村社長は常駐して経営を担う人として、元外資系化粧品会社の社長を役員として木村石鹸に招き入れます。

お父さんとの相性もよく、これならうまくいくだろうと思ったようですが、やはりダメだったそうです。

原因は、外資系企業の能力主義、成果主義の評価制度を導入したから。これにより、評価基準に満たない社員がたくさん生まれてしまい、社内は混乱し、多くの人が去ったり取引先とのトラブルが増えるようになり、業績は悪化。

外資系企業の評価基準が悪いわけではありません。ではなぜ失敗したか。

木村社長のお父さんは「能力や数値実績ではなく、不器用でも一生懸命やる正直な人を応援したい」という考えを持たれていたそうです。

つまり、そういった社員さんが多く揃っている中で急激に数字だけで人を評価するルールになったことによる拒否反応のようなものだったのでしょう。ワク◯ンの副反応のようなものだと思います。

人事評価っていうのは、その会社の「らしさ」をしっかり反映したものを自分たちで考えないと失敗すると、私も経営者仲間の話を聞いてつくづくそう思います。

そしていよいよ覚悟を決めた木村社長が木村石鹸工業に入社します。

ここまでをまとめると、後継者問題で打ち手をまちがえた結果、さまざまな問題が起きてしまった、ということです。

 

●木村石鹸を救ったのはブランディングだった(1)

ビズアップのコアバリューには次のようなものがあります。

私たちはお客さまの「表現代理人」です。お客さまも気づいていない価値を引き出し、言葉と画(え)で表現することが私たちの仕事だと理解します。

「お客さまも気づいていない価値」というところがポイントです。「価値がない」のではなく「価値に気づいていない」のです。

また、私は会社が苦しくなると、次の言葉を思い出すようにしています。

今必要なものはすでに手に入れている、未来に必要なものは必ずこれから手に入る(by津久井)

そして、外に答えを求めたくなる自分を律して目の前の本当に解決すべき問題から逃げないように気をつけています。

さて、木村社長は2013年6月に常務として木村石鹸工業に戻ります。そしてまず手を付けたことは「よく見ること」からだったそうです。

  • IT企業でバリバリ働いていた社長の息子が帰ってきて、いきなりバーンと何かをやりだしたら、また社内が混乱するのではないか
  • 石鹸のことを何も知らない社長の息子に、社員は「コイツ何者や、何ができるのや」と不安に思っている

こういった点から、木村社長は改革に着手したり新しい何かをはじめるのではなく、まず社員一人ひとりとふれあい、業務の内容を詳しく教えてもらうことからはじめたんですね。

そんな中、木村社長は木村石鹸の「釜炊き」という製法にものすごいポテンシャルを感じます。

「釜炊き」はとても手間のかかるため、この非効率な製法を採用している同業はごく少数だったそうです。

しかしこの製法でできる石鹸はとても品質が高い。職人さんの技術も相当なものだったようです。また、海外から石鹸の素となるチップを輸入して生産する一般的な方法に対し、釜炊き製法は小ロット多品種の生産が可能でした。

木村社長は「これは木村石鹸のウリになる!」と直感したようですが、多くの社員は内心は「こんな非効率なやり方は恥かしい!」と思っていたそうです。

まさに「当たり前過ぎて自分たちで気づいていない価値」です。人と違うことを後ろめたく思うのは、本当はとてももったいないことなんですね。

マーケティングのプロ、森岡毅さん(USJや丸亀製麺をV字回復させた)は、ネスタリゾート神戸(旧グリーンピア三木)という施設を大復活させるときに、「山しかない」と嘆くグリーンピア三木のスタッフさんに「山がある!」と言ったそうです。

ネスタリゾート神戸は自然のアクティビティを満喫できるテーマパークとして、コロナ禍にも関わらずグリーンピア三木時代にはなし得なかった営業黒字を達成しました。

「今必要なものはすでに手に入れている、未来に必要なものは必ずこれから手に入る(by津久井)」というわけです。

さて、木村社長がまずはじめに行ったこと、これは実はブランディングです。中でも「インナーブランディング」と呼ばれるもの。会社の価値や魅力をしっかりと再確認し、言語化し、再度社内に浸透させるということから取り組んだわけです。

 

●木村石鹸を救ったのはブランディングだった(2)

木村社長はつづいて「アウターブランディング」に取り組みました。「アウターブランディング」とは、世間一般の方々が思っている、いわゆる「ブランディング」だと思っていただければわかりやすいです。

まず、会社のホームページやパンフレットなどはすべて「釜炊き」にフォーカスしたものにつくりかえました。それにより、

  • メディアからの取材は急増
  • 取引先からも「こんなに手間をかけて石鹸を作っていたのか」と評価される
  • 工場を見たいという見学客が格段に増えた

という結果が得られたそうです。

これについて、木村社長は

「釜炊きがウリになるという発想は、外から戻ってきたから気づけたのでしょう。最初から木村石鹸にいたら、おそらくわからなかったし、逆にいうと、他社に劣っているとネガティブに捉えていたかもしれません。」

と語っています。

ここに重要な示唆があります。我々のCIの中には「お客さまも気づいていない価値」とあるとお話しましたが、自分の価値は自分では当たり前過ぎたりコンプレックスだったりするため、気づきづらいんですね。

だから我々のような第三者の視点が必要になるわけです。これは売り込みと捉えていただいて構いませんが、でも本当にそうなんですよね。

ちなみにもっと正確にいうと、「本当の価値」に気づくのはお客さま自身です。しかし不思議なもんで、こういったことは第三者の視点をとおして「一周」してみないと気づけないことが多いです。

その後、木村石鹸は自社ブランド「SOMALI(ソマリ)」を立ち上げます。

SOMALIの立ち上げは、どちらかというとリスク分散の意味合いのほうが強かったようです。OEMを中心にビジネスをしている木村石鹸は、生活協同組合(生協)一社に売上をかなり依存している状態でした。自社ブランドの開発は、一社依存に危機感を持っていたことに端を発していたということです。

はじめは社員のほとんどが半信半疑。「価格は一個1,200円くらいの感じで、この販路で売ろうと考えている」とお披露目をしたときの営業担当者の反応は、「こんな価格の高い石鹸どこで売るんですか?」「売れる気が全くしない」というものだったそうです。

社歴が長い社員に至っては「あなたは会社のお金を浪費して何をしているんだ。自分の好きなことばかりやってうまくいくわけがない」とわざわざ呼び出して叱りつけたといいます。

転機は「DESIGN TOKYO」という国際デザイン展への出展で訪れます。

インテリア雑貨、家具や照明、アパレル関係の出展が多い中、「石鹸ははじめてだけど、面白い」ということで出展の審査がとおります。

営業社員は全員乗り気ではなく、不安で怖がっていたようです。ところが結果は社員の予想に反します。初日からさまざまな小売店企業のバイヤーが口々に絶賛。価格や取引条件の話はほとんどなく、「うちでこれを取り扱いたい」「店舗でブースをつくって売りたい」と即決で商談が次々に成立。三日間の展示会が終わったときには営業社員はすっかり元気になっていたそうです。

おまけに営業に行っても過去には「もっと値段を安くできないか」という交渉ばかりだったのが、SOMALIは「これはいい商品だね」と褒められる。そうすると営業社員はうれしくなり、「どんどん説明に行きたい」と積極的な姿勢になる。

さらには、SOMALIがLOFTやフランフラン、中川政七商店などの有名店に並んだことで、社員の自尊心も高まります。売り場にSOMALIが並んでいるのを親子で見つけた社員は、「これ、パパの会社の商品だよ」と説明できて誇らしかったと話したそうです。

さらにさらに、SOMALIのおかげで結果的にOEMのほうも好調となります。「そんなことをやっている会社ならこんなもの作って欲しい」という依頼が増えたそうで、アパレルブランドのOEM、タレント平野レミさんとのコラボ商品などの、今まで想像もしなかった仕事が増えたそう。

SOMALIの成功は営業担当の社員のみならず開発部署の社員たちを勇気づけ、「自社ブランドに力を入れよう」というムードが社内に生まれました。業績も当然上がりました。

さて、これはたしかにブランディングの大成功事例かもしれません。しかし、御社でも同じことはできるのではないでしょうか。たとえメーカーでなくても。

  • 自社の価値や魅力を再確認する
  • 世間から高い評価を受ける商品やサービスを開発する

すんごく平たく言ってしまえば、この2つだけなんです。これにより、社員が誇りを持って働けて、お客さまから喜ばれて、会社の業績も上がる。誰か損していますか?

ワク◯ンのように、多くの人に強引に「必要だ」と思わせて買わせて儲けるよりも、多くの人が「素敵だからほしい!」と思える商品をつくって儲けるほうが、社員は何百倍も幸せなのではないでしょうか?

さて、デザインやブランディングにかかるお金は、本当に「費用」なのでしょうか?私にはもはや「資産への投資」にしか感じません。

「費用」になるか「資産」になるか。ブランディングの成否は経営者がどれくらい自社に向き合ったかなのかもしれません。

 

今回はここまでです!

津久井

投稿者プロフィール

津久井 将信
津久井 将信
ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。

かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。

2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。

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